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太陽の塔と仲間たち
¥2,200
予約商品
太陽の塔と仲間たち つちやあきお 画 土屋敏子 文 2024年11月30日 初版第1刷発行 2,000円+税 タテ222mm×ヨコ283mm 上製 48ページ ISBN978-4-909819-19-2 C8771 【予約くださったお客さまにはささやかなプレゼントをご用意】 ※※発送手数料にかんして※※ 本書は2冊までならクリックポストでお送りできます。 本書のみお送りする場合です。ほかの書籍との組み合わせの場合はこの限りではありません。 * 見たまま 感じたままの色づかい ちょっぴりのユーモア 自然と生きものたちへの讃歌 (以上、帯の言葉) 『太陽の塔と仲間たち』の絵を描いたのはダウン症をもつ、つちやあきおさん。それぞれの絵にテキストをつけたのは、彰男さんの母、土屋敏子さん。 あきおさんのクリエイティヴィティ(創造性)を見逃さず、褒めて、励まし、助け、叱咤もし、ともに歩んできました。親子の歩みの象徴ともいえる絵画作品を厳選して編んだのが本書です。 《私は土屋彰男の母です。彰男は一九七一年生まれ。その誕生から今日まで、私はダウン症の彰男と片時も離れず、いつも一緒に過ごしてきました。 彰男は生来とても明るい性格で、なによりも友達との時間を大切にする元気な少年に育ちました。成長するにつれ、音楽やダンスなど自己表現が豊かになり、とりわけ絵を描くことに熱中するようになりました。》 《修理のため地上に下ろされていた太陽の塔の顔を、家族みんなで見にいったのです。太陽の塔の顔を見て、彰男は強い衝撃を受けたようでした。帰宅するやいなやキャンバスに向かい、見てきたばかりの太陽の塔を一気に描きあげたのです。太陽の塔が、彰男の内の何かを揺さぶったのでしょう。》 《彰男は、これらの絵画に彼自身のメッセージを込め、動物たちそれぞれの物語を背景として思い描いています。 私は、彰男のメッセージをきちんと文章にしようと思い立ちました。 ひとつひとつの作品をよく見て、彰男の思いに耳を傾けました。 親子のコラボレーションがようやく実ったこの画文集、『太陽の塔と仲間たち』をお楽しみいただけたら幸いです。》(土屋敏子「刊行の言葉」より) * 収録作品 太陽 子犬 イノシシ キツネ ヒツジ ウシ オオサンショウウオ サワガニ ピラニア アカウミガメ タツノオトシゴ ヒョウザメ シロナガスクジラ クラゲ ペリカン ジャイアントパンダ 太陽の塔 ・刊行の言葉 土屋敏子 ・土屋彰男 制作歴 ・掲載作品リスト * 好奇心が旺盛で、ひとたび手順を覚えると夢中になって制作に打ち込むつちやあきおさん。絵画以外にも、陶芸や手織り、フェルト手芸などさまざまなものづくりにトライし、あきおさんならではの表現で傑作を生みだしてきました。美術表現だけでなく、小さな頃からピアノを習っていたあきおさんは楽器演奏やダンスが大好きで、オカリナも吹きます。まさにマルチアーチスト。 『太陽の塔と仲間たち』は、あきおさんの描いた動物たちに息子を支え続けた土屋敏子さんの思いが存分に注がれ、生命力にあふれた一冊となりました。制作にあたっては、親子の創作活動を長年にわたって支え応援してきたグループ、PENKI FACTORYの監修と協力を得ました。掲載作品の撮影には写真家の平井豪さん、装幀はウーム総合企画事務所の岩永忠文さん。それぞれの尽力を得て完成にこぎつけました。 * 画家紹介(本書掲載文から抜粋) つちやあきお(土屋彰男) 1971年大阪府生まれ。生後3か月時に受けた検査の結果、21トリソミー(ダウン症候群)と判明する。 1991年 高槻市美術展工芸部門で京都近鉄百貨店賞を受賞。 1992年 高槻市美術展洋画部門、工芸部門ともに入選。 2008年 「アール・ブリュット 表現の欲望展」(塔本アトリエ)。 2014年 あさご芸術の森美術館「干支展」。 2015年 ボーダレス・アートミージアムNO‐MA「アール・ブリュット日本展」に出品、入選。 2017年 枚方市平和の日記念事業企画展「枚方に煌めくアール・ブリュットの星座30人」に選抜されて出品。 2019年 京都知的障害者福祉施設協議会創立50周年記念「絵画・ポスターコンテスト」サポート協会賞受賞。
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おすよ おすよ I push and go
¥1,430
おすよ おすよ I push and go よしだるみ さく 定価 本体1,300円+税 ISBN 978-4-909819-18-5 C8793 ヨコ178mm×タテ152mm 上製 40ページ 絵本作家よしだるみ、待望の新刊絵本! 何と今回は……楽しさふくらむ日英バイリンガル絵本♪♪♪ 可愛いクマが、大事な たからのハコを押して歩きます。 すると……。 ぼくは おす、おすよ I push and push and go. いいもの いれて、 ぼくは おす、おすよ I put it in my box and push and go. あ、あのこも おしている Hey, she’s pushing a box, too. ……愛らしさ200%! 可愛すぎて失神しないでね! ________________ 気に入ったもの、大好きなもの、大事なものをいっぱい入れた、 自分だけの箱をおしてあるく。 だけど、行く手にはいろいろなことが待ってる。 思いがけない出来事に、あう。 誰もが身に覚えのある一場面。きっと、あなたも。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 装丁は『ルルオンザルーフ』と同じ、デザイナー堀内仁美。 よしだるみの眼差しと優しさを知り尽くした装丁家が、いつくしみながら手がけました。 【作者プロフィール】 よしだるみ(吉田瑠美) 画家、絵本作家、中国武術講師。東京生まれ。ニューヨークで幼少期を過ごす。青山学院女子短期大学芸術学科卒業。著書に『ルルオンザルーフ』(エディション・エフ/2022年)、絵本に『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店/2019年)、『いつかはぼくも』をはじめとする「よしだるみの どうぶつのかぞくえほん」(国土社/2020年)などがある。 日本・台湾合作映画「青春18×2 君へと続く道」の作中絵画を担当するなど、活躍の場を広げている。京都在住。
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ものがたり白鳥の湖
¥2,200
絵 ガブリエル・パチェコ 文 ものがたり白鳥の湖編集室 巻末エッセイ 吉本真悟 260 mm×336 mm 48ページ 定価:2,000円+税 ISBN 978-4-9908091-6-4 2017年12月25日初版第一刷発行 呪いを解くことができるのは、永遠の愛の力だけ。 空をゆく白鳥は、じつは美しい姫だった―― ひとめでひかれあい愛を誓った王子と姫の、命を懸けた恋物語。チャイコフスキー作曲のクラシックバレエ作品として知られる「白鳥の湖」の世界が、幻想美あふれるガブリエル・パチェコの絵とともに深く、大きく、感動的にひろがります。いつまでも色褪せない、恋人たちのおとぎ話。 ロシアの大作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーのバレエ楽曲として「白鳥の湖」はあまりにも有名です。世界中のバレエ団が競って上演し、王子や姫の素晴しい踊りが観客を魅了しています。 じつは、バレエ「白鳥の湖」の初演は評判が芳しくなかったと伝わっています。その後、演出や振付などを再構成した公演が成功をおさめたのは、チャイコフスキーの没後2年後でした。以来、名だたる振付家が工夫を凝らしてさまざまなヴァリエーションが生まれています。 絵本『ものがたり白鳥の湖』は、子どもから大人まで、どなたにもお楽しみいただけます。ページをめくるほどに、森と湖を幻想的に描いた美しい絵が、悪魔に翻弄される王子と姫の恋物語の世界に誘(いざな)います。お話は現代に受け継がれるバレエ「白鳥の湖」に沿っていますので、バレエ「白鳥の湖」をご存じの読者ならもちろんその舞台を思い浮かべ、わくわくしながら読んでいただけることでしょう。 巻末には、バレエダンサー・吉本真悟氏による、バレエ作品「白鳥の湖」のみどころ紹介を収録しました。演ずる者の立場から、ジークフリード王子についても言及しています。 [絵] ガブリエル・パチェコ Gabriel PACHECO 1973年メキシコ生まれ。イタリア在住。 メキシコ国立芸術学院で学んだのち、1998年からイラストレーターとして活動を始めた。もともと演劇を学んでいたが、妹の著作への挿絵をきっかけに、絵を描く仕事を始めることになったという。詩的で繊細かつ大胆な画風が高く評価され、数多くの国際コンクールに入賞している。これまでに30冊を超える絵本を世界各地から出版するほか、さまざまなアートプロジェクトにも参画し、活躍の幅は広い。 日本での出版には『水おとこのいるところ』(イーヴォ・ロザーティ作、田中桂子訳、岩崎書店2009年)がある。 [巻末エッセイ] 吉本真悟(よしもと しんご) 1995年日本人男性として初めてフランス国立パリオペラ座バレエ学校に入学。1998年第6回ジャクソン国際バレエコンクール男性ジュニアの部スカラシップ賞受賞。第18回ブルガリア・ヴァルナ国際バレエコンクール男性ジュニアの部金賞受賞。京都府文化奨励賞を歴代最年少で受賞。1999~07年アメリカサンホセバレエ団、ヒューストンバレエ団にて活躍。帰国後、ダンス公演にとどまらず、ジャンルを超えた舞台でも活躍している。 ●近年の出演作品 2016年『Baked Hotel』(作/大野幸人、振付/新上裕也、大野幸人etc) 2017年『ダンスリハーサル!』(振付/大野幸人、吉本真悟etc)
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サンドイッチをたべたの、だあれ?
¥1,980
ジュリア・サーコーン=ローチ 作 横山和江 訳 A4横変型(280mm×216mm)36ページ 定価:1,800円+税 ISBN 978-4-9908091-5-7 2017年10月10日初版第1刷発行 2017年11月22日初版第2刷発行 「え、サンドイッチ? うん、ぼく、しってるよ!」 “ぼく”が語る、サンドイッチに起きた出来事とは? おいしそうなサンドイッチの入った真っ赤なランチボックス、それを好奇心いっぱいの目で見つめるクマ。食いしん坊で陽気なクマとサンドイッチが出会うお話……と思いきや、意外な展開が待っています。お子さんをお膝にのせて、読んであげてください。幼稚園や保育園、学校での読み聞かせにもぴったり。お友だちどうしで一緒に読んだら、すごく楽しいことうけあいです! 作 ジュリア・サーコーン=ローチ Julia Sarcone-Roach ニューヨーク在住の絵本作家。優れた絵本作家に贈られるエズラ・ジャック・キーツ賞で次点につけた本作は4作目。筆のタッチを存分に生かした画風は爽快さと温もりをあわせもち、高い評価を得ています。 訳 横山和江(よこやま かずえ) 山形市在住の児童書翻訳家。原書の魅力を存分に引き出した安定感のある訳文で、これまでに多くの海外絵本・児童文学を日本の読者に届けてきた横山さん。本作においても、ウイットに富んだお話を楽しくリズミカルに仕上げています。訳書には『サンタの最後のおくりもの』(徳間書店)、「クマさんのおことわり」シリーズ(岩崎書店)、「サラとダックン」シリーズ(金の星社)、『300年まえから伝わる とびきりおいしいデザート』(あすなろ書房)など多数。 【帯のことば】 なるほど、そうきたか! 話せば長ーいサンドイッチ(とクマ?)の物語に、 思わずにやり。 ――美馬しょうこ(児童書翻訳家) 訳書に、絵本『わたしのすてきなたびする目』(偕成社)、『ペネロペひめとにげだしたねこ』(徳間書店)、『ジャガーとのやくそく』(あかね書房)など多数。
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鳥の一年シリーズ イエスズメ
¥1,760
【【【増刷出来!!!】】】 鳥の一年シリーズ『イエスズメ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-00-0 2018年9月25日初版第1刷発行 2020年2月1日初版第2刷発行 “子どもたちが、絵本の世界をたしかめようと外へ飛び出して、自然や生きものと親しむようになる……絵本作家として、これほどうれしいことはありません。” (「日本の読者のみなさんへ」より) ドイツのベテラン絵本作家、トーマス・ミュラーが描く鳥の一年。リアルで美しい絵が自然への興味をかきたてます。好奇心あふれる子どもたちに繰り返し読んでほしい一冊。 * わたしたち人間にいちばん身近な鳥といえば、スズメですね。 ヨーロッパでは、日本のスズメとよく似たイエスズメが、 町のいたるところでチュンチュンと鳴いています。 鳥たちは、どんな暮らしをしているのでしょう? 家さがし、結婚、子育て、巣立ち……。 絵本をひらいて、イエスズメといっしょに、春・夏・秋・冬、 めぐる季節をたどりましょう。 (裏表紙より) * (著者、訳者紹介) 文と絵 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 訳 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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鳥の一年シリーズ ツバメ
¥1,760
【【【増刷出来!!!】】】 鳥の一年シリーズ『ツバメ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-01-7 2018年10月10日初版第1刷発行 2020年2月1日初版第2刷発行 “子どもたちが、絵本の世界をたしかめようと外へ飛び出して、自然や生きものと親しむようになる……絵本作家として、これほどうれしいことはありません。” (「日本の読者のみなさんへ」より) ドイツのベテラン絵本作家、トーマス・ミュラーが描く鳥の一年。リアルで美しい絵が自然への興味をかきたてます。好奇心あふれる子どもたちに繰り返し読んでほしい一冊。 * ツバメが飛ぶのを見かけたら、季節は本格的な春。 子育てをするため、暖かさをもとめて、南の国からもどってきたのです。 ツバメの巣づくりを、見たことはありますか? もし見つけたら、やさしく観察してくださいね。 ツバメは、秋の気配を感じるころに、暖かい場所へ旅立っていきます。 わたしたちの土地からはなれたあと、ツバメはどんな旅をしているのでしょう? 越冬地では、どんなふうに暮らしているのでしょう? 絵本をひらいて、ツバメといっしょに1年をすごしてみませんか。 (裏表紙より) * (著者、訳者紹介) 文と絵 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 訳 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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鳥の一年シリーズ メンフクロウ
¥1,760
鳥の一年シリーズ『メンフクロウ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-02-4 2018年11月13日初版第一刷発行 真夜中、古い教会の塔のまわりをとんでいるのは、なんでしょう? 神秘的なすがたをしたその鳥は、メンフクロウ。自分の住みかに、もどろうとしているのです。 メンフクロウは、教会の塔のてっぺんや、納屋の屋根裏のような、見つかりにくい場所を巣にします。卵を産み、ひなを育てるのに、安全だからです。 親鳥は、子どもたちが自分でネズミを狩り、なわばりをもつようになるまで、大切に育てます。 さあ、絵本をひらいて、メンフクロウの暮らしをのぞいてみてください。夜行性鳥類は、どんな一年をすごすのでしょうか。 (裏表紙より) * 昔ばなしや童話の中では「森の長老」や「物知り博士」の役割を担うことの多いフクロウ。そのまなざしが何でも見通すように感じられるのでしょう。じっさい、フクロウは夜目が利き、聴覚もよく発達しています。その能力によって、草むらにひそむ小動物のかすかな動きを聴きとってつかまえることができます。 一般には、専門家の調査や高度な技術による撮影などを通してしか、フクロウの生態を知ることはできません。作者のトーマス・ミュラーさんは、可能な限り自分自身で観察をし、鳥類研究家に詳しい取材を重ね、膨大な文献や資料をも参考にしてこの絵本シリーズをつくりました。 読者には、絵本をひらいて鳥たちの姿を楽しんでもらうのはもちろん、鳥たちを取り巻く自然環境にも関心を向けてほしい。ミュラーさんの願いです。 【文と絵】 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 【訳者】 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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ジャーニー 国境をこえて
¥2,200
『ジャーニー 国境をこえて』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 【特報!】 著者のフランチェスカ・サンナさん、来日! 2023年10月、大阪で講演とワークショップが開催されます! 10/7(土)13:30~16:00 大阪府立中央図書館(東大阪市) 国際講演会「イタリアの絵本作家フランチェスカ・サンナ、自作を語る」 定員60人(先着順) 参加費1000円 10/8(日)13:00~16:00 大阪府立中央図書館(東大阪市) ワークショップ「フランチェスカ・サンナさんと絵本をつくろう!」 定員 小学生30人(先着順) 参加費500円 両日とも、申し込み・問い合わせはこちらへ ⇒ 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団 http://www.iiclo.or.jp/ ********************** 『ジャーニー 国境をこえて』 作 フランチェスカ・サンナ 訳 青山 真知子 タテ215mm×ヨコ286m 44ページ 定価:本体2,000円+税 ISBN 978-4-908214-10-3 2018年9月15日 第1刷発行 ★★2017年アムネスティCILIP特別賞(ケイト・グリーナウェイ賞)★★ ★★全米イラストレーター協会ゴールドメダル★★ ★★エズラ・ジャック・キーツ賞次点★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第24回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉 推薦文】 「ただいま」といえる故郷はありますか? 戦争が奪うのは命だけじゃない、笑顔も居場所も奪った。 それでも彼らは、そして私も生きようとしている。 ―――――サヘル・ローズ(タレント・女優) * 美しい色彩、現代的なタッチ、構図の取りかたやデフォルメのしかたに若さのにじみ出る、躍動感の溢れる絵が魅力です。どんな楽しいお話の絵本なんだろう?と想像させる力があります。けれど、この絵本に描かれるテーマは、難民。 * 絵本の冒頭です: 《ふるさとの町は、海がちかい。 夏になると毎週のように、家族そろって海へいった。》 (中略) 《戦争がはじまったんだ。 くる日もくる日も、こわいことがおこって、 あっというまに、めちゃくちゃになった。》 《そして、ある日、戦争は、とうさんをうばった。》 * おかあさんと二人の子どもは途方に暮れます。 あるとき、おかあさんは友達から「よその国をめざす」という話を聞きます。 それでおかあさんは、自分もそうしよう、子どもを連れてここを出よう、と決意します。 《「安心してくらせるところよ」》 《「わたしたちもいきましょう。もう、おびえてくらさなくてもよくなるわ」》 親子3人の長い長い旅が始まりました。危ない危ない旅。どれほど想像をたくましくしても、その苦しみと恐怖に思い至ることは、私たちにはできません。 おかあさんは平静を装い、「すごいぼうけんができる」なんて言って、子どもたちの不安を取り除こうと懸命です。 そして、絵本の中では、どうにかこうにか、旅の終わりが近づいて――。 《いっしょにここまでこられて、ほんとうに運がよかったと、かあさんがいう。》 《安心してくらせるところへ、たどりつけますように。 そこが、新しいふるさとになってくれますように。》 * サヘル・ローズさんの推薦の言葉を読んだ時、岡真理さんの著書『記憶/物語』を思い出しました。岡真理さんはアラブ文学研究者で京都大学の教授です。 本書の最後のほうで、岡さんが、自身の友人でユダヤ系フランス人の女性にインタビューをした時のことが綴られています。 その女性の両親はユダヤ系ポーランド人で、ホロコーストを命からがらなんとか生き延び、新生国家イスラエルでその女性ら子どもたちを産みました。その後家族はフランスへ移住。女性は11歳でフランス国籍を取得しました。その後、日本人と出会い結婚し、日本に住んでいます。 岡さんは、生まれたイスラエルと10代を過ごしたフランスと、どちらを故郷ととらえているのだろう、という気持ちで、「あなたの祖国はどこ?」と尋ねました。すると女性は、長い沈黙と逡巡ののち、「……ポーランドかな」と答えるのです。 戦争がなかったら、ヒトラーがいなかったら、なにごともなく、彼女はポーランドで生まれ育っていたはずなんです。 女性の心に去来するもの……。想像を絶します。 * 「ふるさと」と呼べる「居場所」のあることの、なんと貴重なことかと思います。 そして、仮にそう呼べるものを失くしたとしても、生き抜いていかねばと踏ん張り、生き抜いていきたいと希望を捨てない、人間の命が誰にあっても等しく輝いていることを、思い知ります。 『ジャーニー 国境を越えて』は、「かあさん」の表情が秀逸です。ぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 フランチェスカ・サンナ Francesca Sanna 1991年、イタリアのサルデーニャ島生まれ。州都カリアリをはじめとし、様々な国でイラストレーションを学ぶ。スイスのルツェルン応用科学芸術大学で修士課程を修了。2016年にイギリスで発表された本作は、ケイト・グリーナウェイ賞候補から選ばれるアムネスティCILIP特別賞ほか、全米イラストレーター協会ゴールドメダル、エズラ・ジャック・キーツ賞次点など、名だたる賞を受賞。これまで20か国語に翻訳されており、世界的に注目されるデビューとなった。スイス、チューリッヒ在住。 〈公式サイト〉https://francescasanna.com/ 【訳】 あおやま まちこ 青山 真知子 1951年生まれ。2004年から灰島かり氏の絵本翻訳講座を継続して受講、講座終了後も仲間と子どもの本の翻訳を楽しんでいる。現在は文芸翻訳講座に通う。本作で第24回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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たびネコさん ぐるりヨーロッパ街歩き
¥1,584
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『たびネコさん ぐるりヨーロッパ街歩き』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ケイト・バンクス 絵 ローレン・カスティーヨ 訳 住吉千夏子 タテ235mm×ヨコ260mm 44ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-06-6 2016年9月30日 第1刷発行 2017年1月10日 第2刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第22回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「あ~いいなあ。うらやましいなあ。 ネコさんみたいに、暮らすように旅がしたいな。」 ―――――中島京子(作家) * 「たびネコさん」というタイトルどおり、ネコさんが旅をします。 でも、ネコさんはスーツケースに着替えをつめたり、なんて旅支度はしていません。 いつものとおり、好きな場所から場所へ、歩くだけ。 中島京子さんの推薦の言葉どおり、暮らすように、無意識に旅をしているんです。 うらやましいですね、ほんとに! * 旅の出発はローマから。 絵本の冒頭です: 《さあ、おきて ネコさん。日の出だよ。 みてごらん、一日が みじたくをして 街の色。 茶色、黒、こげた茶色に ねずみ色。》 2ページ進んで: 《自動車 ぶるるん、のど ごろろん。 どこでも へいきな たびネコさん。 ねえねえ ネコさん、どちらまで?》 * 自家用車で旅行に出かける家族連れのクルマにちゃっかり乗り込んで、たびネコさんはローマをあとにします。たびネコさんは、この家族の飼い猫ではないのです。だから行く先々で勝手に降りて、好きに街を散策?します。 毎回毎回、この家族のクルマに乗り込むのではなく、船に乗ったりトラックに乗ったり列車に乗ったりと、なかなか旅慣れた様子を見せてくれます。 《ねえねえ ネコさん、どちらまで?》 このフレーズ(またはよく似たフレーズ)が繰り返され、ネコさんの旅が続きます。 * ローレン・カスティーヨさんの絵は優しく穏やかで、ヨーロッパ各地のおなじみの風景を描いていながら、たびネコさんがそこにいるだけで、なんだか初めての場所のように見えたり、あるいは、懐かしく郷愁を誘う風景に感じたりもします。行ってみたくなる。また訪れたくなる。読む人をそんな気持ちにさせます。 * ケイト・バンクスさんの巧みな構成で、それとは知らず旅ガイドの役割を果たす「たびネコさん」と一緒に、読者はヨーロッパの街歩きを楽しめます。巻末に、たびネコさんの訪れた各国の街についての解説も付いています。抜かりなし! 文章も、歌うように楽しめます。 きっと原文も韻を踏んだ、リズミカルで詩的な文章なのでしょう。 《せまい通りを どうどう歩き、 ためいき橋では いそぎ足。 広場の ハトを からかって、 「仮面が あったら いいのにニャ」》 (イタリア、ヴェネツィアのページより) * あれれ、今ネコさんはどこにいるかな? あらら、ネコさん、今度はどこに行くのかな? そんな会話をしながら、子どもたちと一緒に読んで、楽しめる絵本です。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ケイト・バンクス Kate Banks アメリカ・メイン州に生まれ育つ。コロンビア大学大学院にて史学を専攻。絵本からYAまで多数の児童書作品を手がけ、『おつきさまはきっと』(講談社)でボストングローブ・ホーンブック賞、“The Night Worker”(未訳)でシャーロット・ゾロトウ賞を受賞。『ねこくん、わが家をめざす』(BL出版)、『こぎつねはたびだつ』(ブロンズ新社)、『ぼくたちの相棒』(あすなろ書房)など邦訳も多数。イタリア人の夫との結婚を機にローマに移り住み、現在は南フランスで家族と暮らしている。 【絵】 ローレン・カスティーヨ Lauren Castillo アメリカ・ニューヨーク州生まれ、メリーランド州育ち。メリーランド美術大学在学中のイタリア短期留学を糧とし、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツで美術学修士号を取得。“Nana in the City”(未訳)にて2015年コルデコット賞オナーに選ばれる。日本で紹介されている作品に『サッカーがだいすき!』(岩崎書店)、『アルフィーのいえで』(ほるぷ出版)がある。“That's Papa's Way”(未訳)でケイト・バンクスと初めてコンビを組み、本書の誕生につながった。カリフォルニア州ロサンゼルス在住。 【訳】 住吉千夏子 すみよし ちかこ 1984年島根県生まれ、広島県育ち。広島大学総合科学部・京都大学大学院農学研究科卒。社会人経験後、語学への強い思いからイギリスのリーズ大学大学院に留学、応用翻訳を学ぶ。現在、ドイツ・ケルンに住む。本作で第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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おやすみなさい トマトちゃん
¥1,232
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『おやすみなさい トマトちゃん』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 エリーザ・マッツォーリ 絵 クリスティーナ・ペティ 訳 ほし あや 訳 タテ256mm×ヨコ205mm 36ページ 定価:本体1,400円+税 ISBN 978-4-908214-09-7 2018年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第24回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「最後のページをとじると、6歳の娘は「ごちそうさま!」と、にっこり。 アニータといっしょに、トマトちゃんとの時間を楽しんだみたいです。」 ―――――齊藤千恵さん(カゴメ株式会社 広報グループ) * 表紙は全身で「トマトなんか嫌い!」「トマト食べたくない!」を表現しているのに、タイトルは「おやすみなさいトマトちゃん」??? いったいなにがどうなって「おやすみなさい」にたどりつくのか? 興味津々となりませぬか?(笑) カゴメ株式会社の広報担当さんから帯文もらってらっしゃるのが、またいいですね! つまり……トマトを食べたくなるんですよ! * 絵本の冒頭です: 《アニータ! わがままは いいかげんに して! トマトを もって あっちに いってなさい。 ぜんぶ たべおわるまで もどってきちゃ だめよ!》 《トマトを たべるなんて むりってば むり! わたし、このトマト、ぜったいに たべないから! あしたに なるまで もってるもん。》 * この絵本の主人公アニータは、もうひとり(?)の主人公「トマトちゃん」をもって、自分の部屋でトマトちゃんと遊んでいるうちに……さて、どうするでしょう? 《かわいいトマトちゃん、 いいこ いいこ してあげる。 ゆーらゆーら してあげる。》 《トマトちゃんは ねむたくて しかたがないのね。 わたしは おなかが すいて しかたがない。》 * 「わたし」アニータは線画で、「トマトちゃん」は写真で表現されています。そして背景は写真や図案を用いたコラージュ。理屈で考えるとミスマッチっぽい技法が、絵本の中ではシンプルに連携して「トマトおいしそう!」という気持ちにさせます。面白い作品です。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 エリーザ・マッツォーリ Elisa Mazzoli 1973年イタリア、チェゼーナ生まれ。作家。1996年より子どもの本の作家として活躍するかたわら、イタリア各地で読み聞かせ、芝居、ワークショップなど、児童・教員向けのイベントを多数開催。2014年に差別をテーマにした “Noi”(未邦訳)でジュリット賞(イタリア、ビトリット市主催による児童文学賞)を受賞。翌年には、同書が国際児童図書評議会トロント支部の障害児図書推薦リストの1冊に選ばれる。4児の母。 【絵】 クリスティーナ・ぺティ Cristina Petit 1975年イタリア、ボローニャ生まれ。作家、イラストレーター。幼稚園のほか小中学校などでの教員体験をもとに、子どもの本を多数手がけている。イラストと写真を愛する3児の母。人気ブロガーでもある。https://blog.libero.it/maestrapiccola/ 【訳】 ほし あや 星 文 1971年横浜市生まれ。テンプル大学ジャパン卒業後、イタリアに移住。イタリア企業での翻訳業務などを経て、日本の会社からの依頼で、英語・イタリア語での調査などを行っている。2児の母。イタリア、ボローニャ在住。本作で第24回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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こねこのジェーン ダンスだいすき!
¥1,408
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『こねこのジェーン ダンスだいすき!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 バレリー・ゴルバチョフ 訳 あらいあつこ タテ286mm×ヨコ222mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-02-8 2015年8月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第21回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉 推薦文】 「この絵本を読んだみなさんの心に バレエの楽しさとお友だちとの 大切な絆のあたたかさが伝わりますように。」 ―――――森下洋子(松山バレエ団 プリマバレリーナ) * 生まれたときからずっと踊ってる、こねこのジェーン。 ほんとうに踊るのが大好きな、こねこのジェーン。 ステップを踏んだりくるくる回ったりするジェーンの楽しそうな様子、嬉しそうな顔には、絵を見ているだけでこちらの頬も、緩んでしまいます。 ところで、日本バレエ界の至宝、森下洋子さんの推薦の言葉には、 「お友だちとの大切な絆のあたたかさ」 とあります。 ということは、この絵本は……? * 絵本の冒頭です: 《こねこのジェーンは ダンスが だいすき。 まいあさ ぴょんと とびおきて、 いちにちじゅう バレリーナみたいに おどっています。》 (中略) 《あるひ、おかあさんは「バレエを はじめてもいいころね」と ジェーンを バレエスクールに つれていってくれました。》 * おお、とうとう始まったぞ、ジェーンのバレリーナへの道! 苦難を乗り越えて、あの華やかなステージに立つのね、ジェーン! ……というお話では、なさそうですよね。 初めて行ったバレエスクール。先生の言葉に、ジェーンはがぜん、はりきります。 だから、仲良しのカエルのケロくんが、 《どこにいってたの? ずーっと まってたんだぞ! サッカーしようよ」》 と声をかけてくれても、バレエの練習で忙しいからと、ジェーンは断ってしまいます。 なら一緒に踊ろうというケロくんに、そんなのバレエじゃない、なんて言うジェーン。怒ってそっぽを向く、ケロくん……。 ほかのお友だちも寄ってきて、いつしか好き好きに踊り始めるのですが、ジェーンはひとり離れて、くるくるとバレエの練習。やがておかあさんがどうして一人でいるの、と声をかけます。ジェーンははじかれたように飛び出して……。 * 踊るって、体を動かすって、とにかく無条件に楽しいもの。 腕を振り、足を上げ、飛び跳ねて、寝転んで。 これらの動きはバレエにも、ジャズダンスにも、ヒップホップにも、歌舞伎や能の舞にもあります。だから、いいんですよ、なんでも。動こう、動こう。子どもと一緒に読んだらそのあとはしぜんと一緒に動きたくなる、そんなお話です。 そして、この、ジェーンのお母さんが地味にかっこいいんですよね。 絵本を最後まで読んでくだされば、わかります。 元気に遊ぶ子どもたちを、優しくおおらかな気持ちで、そして無理せず、見守っていきたい。そんなふうに思わせてくれる絵本なのです。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 バレリー・ゴルバチョフ Valeri Gorbachev 1944年、ウクライナのキエフ生まれ。キエフ芸術アカデミー卒業。雑誌イラストレーターを経て、絵本作家となる。ソ連崩壊後、1991年に米国へ移住。米国でのデビュー作『おかあさんがいちばん』(講談社)以降の出版点数は50作を超える。水彩とインクを用いた明るい画風と生き生きとしたキャラクター描写で、世界中に多くのファンをもつ。邦訳作品は他に『ゆうびんやさんおねがいね』(徳間書店)、『クリストファーのしあわせないちにち』(偕成社)、『ほら、ぼくペンギンだよ』(ひさかたチャイルド)など多数。家族とともに、ニューヨーク市ブルックリンに暮らす。 【訳】 あらいあつこ 新井敦子 東京都生まれ。上智短期大学英語科卒。イギリスで6年間暮らす。帰国後、英会話講師、通訳ガイドを経て、翻訳講座に通っている。第21回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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とびっきりの おむかえ
¥1,056
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『とびっきりの おむかえ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ニコラ・チンクエッティ 絵 ウルスラ・ブッヒャー 訳 やまね かずこ タテ216mm×ヨコ216mm 32ページ 定価:本体1,200円+税 ISBN 978-4-908214-04-2 2016年2月28日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第20回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「寂しさと不安のなか、 約束を信じる 子どもの想像力―― この絵本には愛があるね!」 ―――――セイン・カミュ(タレント) * 迎えに来てくれるお父さんお母さんあるいはそのほかの誰でも、その人が来るまでの時間って子どもにはものすごく長い長い時間なんでしょうね。 『とびっきりのおむかえ』は、いっこうにお迎えの大人の現れない待ちぼうけのジョバンニが、猫や犬や鳩などを相手に想像をふくらませる……というお話。 子どもはお話づくりの名人ですし、現実逃避の名人でもあります。 * 絵本の冒頭です: 《ギギーッ。ようちえんの もんが あきました。 こどもたちは いっせいに もんのほうを みます。 おかあさん、おとうさんたちは だれよりも はやく こどもの かおが みたくて、 おしあい、へしあい、おにわに はいってきます。》 《おかあさん、おとうさんを みつけると こどもたちは まっしぐら。》 * 「まっしぐら。」 いいですね(笑)。そう、親を見つけると無条件に飛んでいきますね。ダッシュで抱きつきに行きますね。怒ると怖いとうさんかあさん。今朝だってすごく叱られた。でもそんなことは忘却の彼方。幼稚園の一日はすごく面白かったし、友達と遊んで楽しかった。でもそんなことはおむかえの瞬間に過去の出来事。 自分自身が幼稚園児だった時のことは憶えていないけれど、自分が母親として乳幼児だった子を保育園に預けていた日々のことは、まざまざと思い出されます。 いつも、ウチの子は、ひとり最後まで残ってて、保育士さんに遊んでもらっていました。 しかも夜間保育園だったんですよねー(懺悔) 《ジョバンニは がっかり。 だって、ひとりぼっちは つまらないもん。》 そうだよねー(泣)ごめんよー。 * 朝、おじいちゃんはジョバンニに言ったのです。今日はじいちゃんが迎えに行くぞ、びっくりすることがあるぞ、って。ジョバンニは、だから、とっても楽しみなんです。なんだろう、びっくりすることって? 《だって、おじいちゃんの びっくりは いつも びっくりぎょうてん。 とびっきりの びっくりなのです。》 わくわくするのをおさえられないけれど、その一方で、早くもジョバンニは諦めモード。 《おじいちゃんは いつだって さいごなんだもん。》 * おまけに、 《「おじいちゃん、 まだ おむかえに きてくれないの?」 せんせいが たずねます。 そんなこと きかなくたって わかるのに。》 ほんとよね、ジョバンニ。 ここ、幼稚園・保育園・児童館の先生がたにはしっかり、行きつ戻りつして、読んでほしいところです。 * 長いことひとりで待たせるのは、たしかに子どもが可哀想。 だから迎えに行く保護者は全速力で駆けつけなくては。そこに異存はありません、ハイ。 でも、ひとりの時、子どもは手近なにあるどんなものでもおもちゃにして、あるいは友達にして、勝手な即興物語をつくって遊んでいます。空の雲、飛んできた葉っぱ、列をつくる蟻、寄ってきた野良猫。ジョバンニは、おじいちゃんを待つ間、屋根の上で追いかけっこしたり、車を走らせたり、海賊になったりします。 子どもたちってほんとうに、とびっきりの物語作家なのです。 彼らの想像の翼を削がないためにも、ひとりの時間を楽しむ子のことは、そっとしておいてほしい。 (あ、いや、でも、親はさっさとお迎えに行きなさいよ!) * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ニコラ・チンクエッティ Nicola Cinquetti イタリア・ヴェローナ生まれ。高校で歴史と哲学を教えるかたわら、作家として子ども向けの作品を多数発表。邦訳作品に『ラファエロ 天使に愛された画家』(西村書店)がある。 【絵】 ウルスラ・ブッヒャー Ursula Bucher スイス・イタリア語圏ロヴェレード生まれ。スイス・ルガーノ、フランスのエミール・コール美術学校でグラフィックアートとイラストレーションを学ぶ。ルガーノ在住。 【訳】 やまね かずこ 山根和子 兵庫県生まれ。神戸大学教育学部卒業。イタリアのシエナへ留学、中世の美しい街並みの中でイタリア語を習得。独学にて翻訳を学ぶ。第20回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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船を見にいく
¥1,760
『船を見にいく』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 アントニオ・コック 絵 ルーカ・カインミ 訳 なかの じゅんこ タテ292mm×ヨコ205mm 28ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-05-9 2016年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第22回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「船は決して鉄のかたまりなどではない。 じゃ、何なの?と聞かれたら、この絵本を読んでみて、と 僕は静かにおすすめする。」 ―――――幅 允孝(BACHブックディレクター) * 幅允孝氏の帯文がいいですね。わたしも「船て、どやねん」なんて言われたら、黙ってこの本を差し出します。 この、何でもスピードの速いことばかりがもてはやされるようになった世の中で、船は、いささか置いてきぼりを食らったような感じです。たまに注目されたらアレですよ、コロナですよ。船、受難の時代……。でも、この絵本は、そうした世の中の事情、国際関係のあれやこれやなんて関係のないところで、黙々と仕事をする船と、それを見つめる人びとのことを描いています。 * 絵本の冒頭です: 《このまえ、ぼくは船を見にいった。 じっと、とまったままの船のまわりでは、たくさんの 人がはたらいていた。高層ビルみたいに巨大な船に くらべたら、人はアリのように小さい。 (中略) 船はじっと、とまってるわけじゃない。 ゆっくりと、いきをしながらねむっているんだ。》 * 「ぼく」がよくいく港では造船も行っているようです。 巨大建築物のように、船は毎日少しずつ形がつくられていって、いつのまにかできあがる。 古くなって、解体される船もある。 「ぼく」は、そんな港での営みをじっと見つめてしずかに描写します。 造られる、あるいは壊される、または停泊中の、船を見つめて、見たままを語ります。 船旅に出るじゃなし、旅立つ船を見送るでもなく、帰ってきた船を迎えるでもない。 と言うと、なんなのそんなに愛想なしの絵本なの? と思いますか? いえいえ、だからこそ、船の魅力が見えてくるんですよ。 《パパがぼくの手をとって、そっと船にあててくれたことがある。 「じっとしていてごらん。ほら、船がいきをしているのがわかるだろう」》 ここ、わけわからず泣けるとこです。 絵本の舞台になっている町では、港が雇用創出に重要な位置を占めていて、町の人が港によって生活を成り立たせていることが、言外に伝わってきます。だから、みんな港を、船を、愛そうとしているんですよ。 《この町では、こどものころ、みんな、港に船を見にいくんだ。 「おじいちゃんも、あなたぐらいのときには、そうだったのよ」と、ママ。》 * 表紙は一見、ポスター文化華やかなりし頃の「ノルマンディー号」を髣髴させますね。わたしも昔のポスターデザインが好きで、関連美術展をよく観にいきました。カッサンドルの「NORMANDIE」はその迫力でけっして忘れ得ない作品です。本書を見た時、あっあれやん!と思いました。 でも、『船を見にいく』は、豪華客船での船旅そのものには触れません。 わかるのは、どんなものにも縁の下の力持ちたちがいるということ。 どんなものにも、どんなひとにも、それぞれ命と物語があるらしい、ということ。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 アントニオ・コック Antonio Koch 1976年、イタリアのボローニャ生まれ。ボローニャ演劇学校で学び、ボローニャを拠点とする劇団「テアトロ・デッラ・ラッビア」に所属。脚本家兼俳優として活躍しながら、短編小説や詩などの創作を手がける。子どもに向けた作品に、日本人イラストレーターと組んだ “Brutto + Bello” (Keisuke Shimura絵、未訳)などがある。 【絵】 ルーカ・カインミ Luca Caimmi 1978年、イタリアのマルケ州ファーノ生まれ。ウルビーノ芸術高等学校のアニメーション・デザイン科で学んだ後、国立ウルビーノ美術学院を卒業。ボローニャ国際絵本原画展で入選ほか、受賞歴多数。短編コミックや挿絵なども手がけ、本書が初めての絵本制作となる。本書の表紙画は、カッサンドルによるポスターアートの傑作「ノルマンディー号」へのオマージュでもある。 【訳】 なかの じゅんこ 中野順子 1966年熊本県生まれ。西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。子育てのかたわら、通信教育で英日翻訳を学ぶ。NHK「イタリア語会話」をきっかけに、独学でイタリア語を修得。現在、福岡県内にてこども英語教室の講師。本作で第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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ひなたぼっこねこ
¥1,320
著者 おづち ともか 90mm×197mm、24ページ 定価 1,200円+税 ISBN 978-4-9908091-1-9 2015年10月10日 初版第一刷発行 この絵本は、 「ねこの いえには ひがしと にしに まどが あります」 という言葉で始まります。 東の窓から朝日が、西の窓からは夕日がさしこみます。猫は、おもちゃで遊ぶより、ひなたぼっこのほうが好き。お日さまが沈んだら、一日は終わり。 「おやすみ」 * カバー袖に、メッセージ欄をつけました。 プレゼントする際には名前やメッセージを書き込んでください。切りとってカードとしても使えます。または、本を買ったとき、読んだときの日付や感想を書き留めたり。お宅の猫の写真を貼ったり。 大事な家族や仲間と同様に『ひなたぼっこねこ』とも仲良くしてください。 【著者のことば】 作者 おづち ともか ぶんしょうを かいたり ほんやくを したり ほんを つくったり しています ときどき えを かきます そばには いつも ねこが います
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すてきって なんだろう?
¥1,980
『すてきって なんだろう?』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 アントネッラ・カペッティ 絵 メリッサ・カストリヨン 訳 あべけんじろう あべなお タテ310mm×ヨコ220mm 28ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-12-7 2019年9月15日 第1刷発行 2019年12月1日 第2刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「あなたの「すてき」を探す旅。 みつけることができるでしょうか。 とてもむずかしい旅行です。 でも、そんな旅行をすることが、「すてき」 なことなのではないかと私は思います。」 ―――――金田一秀穂(日本語学者・杏林大学教授) * すてきってなんだろう? それは、アナタ、アナタそのものですよ! とこの絵本に言いたくなりました。 それほどこの絵本のたたずまいは「すてき」です。 立派な角を戴く鹿の凛々しい表情、虫や鳥、草花や色づいた葉っぱに取り囲まれて……。 でもね、絵本を開いてめくっていくと、ん? と思いますよ(笑) なかなか一筋縄では、いかないわけですよ。 すてきって、なんだろう? なんだろう? なんだろう? 答えが出たかと思ったら、違う違う! と横槍が入るんですが、それもまた、ごもっとも。 さあて、いったい、「すてき」ってなんなんだろう……。 * 絵本の冒頭です: 《あるところに、いもむしが いました。 いもむしは はっぱの うえで たのしく くらしていました。》 ページをめくると: 《ある日、さんぽをしていると、 いもむしは つかまっていた こえだごと、 土のうえから ひょいと、 もちあげられてしまいました。》 次のページで: 《「すてきな いもむしさんね」と、そのいきものが いいました。》 * 「すてきな いもむしさん」といわれたいもむしは、「すてき」っていったい何、何、何?と悩むわけです。知らない言葉。言われたことのない言葉。すてきって、どういうこと?と、森の仲間……動物や虫に出会うたびに尋ねます。 当然のことながら、みんなそれぞれがそれぞれの「すてき」をもっています。 いもむしは、わからなくなるばかりです。 * 「素敵」というのは便利な言葉です。私たちは何でも、肯定的に表現するときにはやたら「素敵」を使う傾向があります。でしょ? 「可愛い」も頻出ワードですし、近頃は「ヤバい」も絶賛する時に用いるそうで(笑)、言葉はほんとにイキモノだなと思います。 感情や感動を表すのに通り一遍の表現ばかり使っていると、世の中全体の語彙がどんどん貧困になっていきますよね。喜怒哀楽を言い表す言葉は無限にあるはずなのに、口をついて出るのは「やばっ」「マジ?」「うそ」「むかっ」ばかりになってしまって―――。 会話では、凝った表現よりも気持ちが伝わることのほうが大事ですから、場合によっては感嘆詞の連発でもいいだろうとは思います。 だけど、たまには、大切な人への手紙を書くように、気持ちを丁寧に繊細に言い表してみたくなりませんか。 ○○ってなんだろう? いろいろな言葉を「○○」にあてはめて、考えてみるのもいいかもしれませんね。 * さてさて、すてきって、なんだろう? この絵本は答えを導いてくれるのでしょうか? ぜひぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 アントネッラ・カペッティ Antonella Capetti 1967年、北イタリア生まれ。幼稚園に17年間勤務の後、小学校でイタリア語教育に携わっている。教室での絵本活用例を紹介するブログが人気を博し、エッセイや、教え子の作品を集めた詩集などを出版。絵本作品に、本書と同じくメリッサ・カストリヨンがイラストを手がけた “Un silenzio perfetto”(未邦訳)ほか。 〈ブログ〉http://apedario.blogspot.com/ 【絵】 メリッサ・カストリヨン Melissa Castrillón 1986年生まれ。イギリス人の母とコロンビア人の父のもと、ロンドン郊外に育つ。ケンブリッジ・スクール・オブ・アートでイラストレーションを専攻、修士号取得。シルクスクリーンを使った、鮮やかな色使いを特徴とし、絵本や挿絵、装幀など幅広い分野で国際的に活躍している。英国ケンブリッジ在住。 〈公式サイト〉http://www.melissacastrillon.co.uk/ 【訳】 あべ けんじろう 安部健二郎 1974年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。独立行政法人国際交流基金勤務。国内のほか、モスクワ(ロシア)、ローマ(イタリア)に赴任。本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞(共訳)。 あべ なお 安部奈緒 1983年生まれ。上智大学外国語学部卒業、アンジェ・カトリック大学(フランス)留学。独立行政法人国際交流基金勤務等を経て、教育・文化関連を中心に翻訳業に携わる。本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞(共訳)。
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てつだってあげるね ママ!
¥1,760
『てつだってあげるね ママ!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ジェーン・ゴドウィン&ダヴィーナ・ベル 絵 フレヤ・ブラックウッド 訳 小八重 祥子 タテ252mm×ヨコ240mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-11-0 2019年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「「いつだって こどもは ママの味方」 お手伝いという名のもとに 毎日部屋を散らかす我が家の怪獣さんたちを 今夜はぎゅーっとだきしめてあげなくちゃね。」 ―――――優木まおみさん(タレント) * ものすごく可愛い絵本です。絵のタッチが優しく柔らかく、派手さがないので、表紙だけ見ても、さらに数ページぱらぱらめくっても、ガツンとくるインパクトのようなものは感じられないでしょう。でも、じっくりお話を読んでいくと、もう、まさしく、ぎゅーっと抱きしめるほかにすることがありますか、と言うしかないほど、可愛いのです。 * 絵本の冒頭です: 《こんやは パパの たんじょうびパーティー。 あさから じゅんびで おおいそがしです。 ママが いいました。 「ハティにも てつだってもらわなくちゃ」》 (中略) 《パーティーまでに やらなくちゃいけないことが たくさん あります。 おきゃくさんの にがおえをかいた カードをつくるのは、 ハティのしごと。》 * このあたりまでは、よくある展開ですね。 ハティの下には、まだちっちゃな赤ちゃんのロティがいます。お母さんは毎日きっとたいへんなことでしょう。「お姉ちゃん」の自覚がちょっぴり芽生えてきたハティの気持ちをうまくくんで、お手伝いをしてもらおうと思っているようです。 * 母娘でスポンジケーキを焼いて、ちょっと一段落。 お母さんはこのあたりで子どもたちにお昼寝してほしいのですが……。 ハティはママに頼みます。 《「ねえねえ、いっしょに ベッドで ごろんしてくれる?」》 パーティー準備のTo Doリストを全然消化できていないのに、「ごろん」してる場合じゃない! のですが、ハティはお願い、おふとんにもはいって、ママ~と食い下がります。 《「ちょっとだけね」と、ママ。》 そして。 夜、帰宅したパパとお客さんたちが見たのは……。 * ハティの可愛い、懸命な「おてつだい」。 見守り、褒めて、受け容れる大人たち。 理想の、というか、あるべき姿の、ファミリーの一日が、あまりにナチュラルに描かれていて、そのことじたいに感動する自分自身に驚きます。 子どもの気持ちや行動を全部ひっくるめて愛することがこれほど貴重に思えてしまうことこそが、おかしいのではないか。現代社会のありさまに思いを馳せ、猛省せずにはいられないのです。 * 「子どもは宝」。しみじみと思います。忘れないように、反芻します。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ジェーン・ゴドウィン Jane Godwin オーストラリアの児童文学作家。大手出版社で長く児童書の編集・出版に携わる。自らも作家として多くの絵本や読み物を発表し、数々の賞を受賞。邦訳作品に『ファミリー・ツリー』(講談社)、『サラちゃんとおおきなあかいバス』(光村教育図書)。メルボルン在住。 http://www.janegodwin.com.au/ ダヴィーナ・ベル Davina Bell オーストラリアの児童文学作家、児童書編集者。ゴドウィンとともに、人気読み物シリーズ "Our Australian Girl" の立ち上げに関わる。編集者として活動しながら、絵本からYA小説まで、幅広い年齢の子どもたちに向けた作品を執筆。本書が初の邦訳作品となる。メルボルン在住。 http://www.davinabell.com/ 【絵】 フレヤ・ブラックウッド Freya Blackwood オーストラリアの絵本画家。2003年のデビュー以降、マーガレット・ワイルド、リビー・グリーソンなど著名作家との共作を次々と発表、国内外で高い評価を受けている。2010年、『さよならをいえるまで』(岩崎書店)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。邦訳作品に『この本をかくして』『だいすきだっこ』(岩崎書店)、『みて、ほんだよ!』(光村教育図書)、『おかあさんの顔』(フレーベル館)など多数。 http://www.freyablackwood.com.au/ 【訳】 小八重 祥子 こばえ しょうこ 新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、米国の大学院で児童文学を学ぶ。学校教科書の編集者を経て、翻訳の道を志す。2019年、本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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こどもってね……
¥1,760
『こどもってね……』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ベアトリーチェ・アレマーニャ 訳 みやがわえりこ タテ310mm×ヨコ232mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-08-0 2017年9月25日 第1刷発行 2018年7月10日 第3刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第23回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【推薦の言葉】 「「おおきな世界をいきている」ちいさなひとたち。 たくさんのいいことを大人は落っことして生きていると、 この絵本を読んで思いました。もったいないなぁ。 だけど、こどもと大人の境目なんてほんとにあるんだろうか。」 ―――――高山なおみ(料理家、文筆家) * 表紙にも裏表紙にも、いろいろな表情をした、髪の色や肌の色の異なるたくさんのこどもたち。ページをめくれば、いたずらっぽい瞳や、くいしんぼうな口元。ああいるいる、こんな子、と身近なあの子この子を思い浮かべます。好奇心に満ちた表情、穏やかな寝顔。どの子も幸せそうです。 でも、ほんとうに、子どもたちみんながみんな、幸せでしょうか。 誰もがめいっぱい愛されて、育まれているでしょうか。 私たちは、この子たちがぞんぶんに喜怒哀楽を享受できる未来を、準備しているでしょうか。 * 絵本の冒頭です: 《こどもってね、ちいさな ひと。 でも、ちいさいのは すこしのあいだ。 いつのまにか しらないうちに おおきくなる。 すこしずつ おともたてずに せが のびるんだ。 こどもってね、ずっと こどものままじゃないんだよ。 いつか きっと おとなになる。》 * こどもは、いつかおとなになる。 当たり前のことですね。 けれど、当たり前だからこそ、「こども」の時間は貴重なのです。 黙っていても、何もしなくても、子どもはいつか大人になる。 叩いても、蹴っても、罵っても、子どもはいつか大人になる。 遊んで、おしゃべりして、笑って、泣いて、歌っても、子どもはいつか大人になる。 《ちいさいのは すこしのあいだ》 少ししかない「こども」の時間を、「幸せ」で埋めつくすことは、けっして難しくないはず。 この子たちの今と未来が幸せでありますように。思わずそう祈りたくなる、絵本です。 * 子どもと一緒に遊ぼう。子どもと一緒に歌おう。 一緒に笑おう。一緒に泣こう。 走ろう、くたくたになるまで。話そう、つかれて眠くなるまで。 一緒に眠ろう。 子どもと一緒にいよう。ずっとずっと、いっしょにいよう。 * この絵本はきっと、大人のほうが感情移入しやすいと思います。 アレマーニャの描くいきいきとした子どもの表情に、大人の脳裏にはさまざまなことが去来することでしょう。 顔ばかり出てくるこの絵本、子どもたちはきっと「顔!」「また顔!」「あ、泣いてる!」「鼻くそ?」「口開けて寝てる!」とかなんとか、目の前の絵だけでじゅうぶん楽しめるけれど、できれば大人が一緒に本を開いて、「この子の目は何を見ているのかな、お空? 小鳥さん?」とか、「泣いてるね、どうしたんだろうね」とか、「どんな夢を見てると思う?」とかなんとか、絵を題材にお話を好きな方向へ無限に膨らませていってください。 * 《こどもってね、スポンジみたい。 なんでも すいこむんだ。》 そうなんです。私たちがもう吸い込めない分も、子どもたちに吸い込んでもらいましょう。どうぞ、楽しい絵本の時間を! * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ベアトリーチェ・アレマーニャ Beatrice Alemagna 1973年、イタリア・ボローニャ生まれ。いま、最も注目を集める絵本作家のひとりである。イタリア・アンデルセン賞最優秀画家賞ほか、受賞歴多数。自らが「代表作」と呼ぶ本作は10か国以上に翻訳され、ヨーロッパを中心に世界的ベストセラーとなっている。邦訳作品はほかに『もうふのなかのダニィたち』(ファイドン)など。パリ在住。 【訳】 みやがわ えりこ 宮川絵理子 1987年、東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部にてイタリア語を専攻。卒業後、イタリア・トスカーナで6年間を過ごす。シエナ大学史学文化財学科人文科学コース(美術史専攻)在学中に、第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。2017年に同大学を卒業、帰国。
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きょうは、おおかみ
¥1,980
『きょうは、おおかみ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 キョウ・マクレア 絵 イザベル・アーセノー 訳 小島 明子 タテ292mm×ヨコ228mm 36ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-01-1 2015年3月31日 第1刷発行 2017年3月13日 第3刷発行 ★★カナダ総督文学賞児童書部門受賞★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第20回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「Woolfのoが抜け落ちて、おおかみになっちゃったバージニア。 お姉さんのバネッサは、悲しい現実からバージニアをすくうことができるんだろうか。」 ―――――金原瑞人(翻訳家) * 帯文は、意味深ですね。さすがは翻訳家の金原瑞人氏の推薦文です。この絵本の原題は「Virginia WOLF」。英国の小説家ヴァージニア・ウルフ(Virginia WOOLF)の名前をもじったもので、内容も、ヴァージニアとその姉ヴァネッサをモデルにしています。 ですが、そのことはまず措いて、絵本の世界へはいってみましょう。 * 絵本の冒頭です: 《あるひ、いもうとの バージニアは めがさめると、 おおかみみたいに むしゃくしゃしてた。 おおかみみたいに ぐるるる、がるるる。 おおかみみたいな ことをする。 バージニアの えを かいてたら、 「バネッサねえさん、だめ! がおーーう!」》 * いったい何が始まるのか?(笑) ぐるるるがるるるがおーーーだなんて怪獣絵本じゃあるまいし…… でも、部屋に見えるのは、まさしく「おおかみ」の黒い影。 やっぱり、「狼少女」の物語??? いやいや、ちょっと待って。 どうやら、「いもうとのバージニア」ったら、今日はひどくご機嫌ななめ。 そしてどうやら、「バネッサねえさん」は絵がとても上手みたい。 どんよりしたまま晴れない妹バージニアの気分をなんとか盛り上げたくて、バネッサは部屋の壁に外の庭の風景を描きます。色とりどりの花たち、さえずる小鳥たち。バネッサの描く絵の中に、いつしか姉妹は入っていきます。 翌朝、ご機嫌のなおった(?)バージニアは、バネッサの手を取って、 《「ね、おそとで あそぼうよ」》 と、にっこり笑うのです。お話の最後にようやく、二人がよく似た可愛い姉妹であることがわかります。 * なんだかわからないけど、むしゃくしゃして何もかも気に入らない日というのは、誰にでもありますね。ああもう明日は永遠に訪れないんだわ……的な。でも、絶望感で真っ暗に始まった一日が、ちょっとしたきっかけで薔薇色に変わることもあります。 ……ウチの子、反抗期?…… ……きょうだいで喧嘩ばかり、仲良くできないのかな…… つい、こんなふうに考えることが多いなら、この絵本『きょうは、おおかみ』は何かヒントをくれるかもしれません。 * 最初に書いたように、この絵本は20世紀英国の重要な小説家ヴァージニア・ウルフと、生涯彼女のよき理解者であった実姉の画家ヴァネッサ・ベルをモチーフにしています。 もしご関心があれば、二人の評伝も出版されていますのでぜひお読みください。ヴァージニア・ウルフの小説もほとんどが翻訳されています。 ウルフは59歳の時に夫レナードと姉ヴァネッサに遺書を置いて、入水自殺してしまいます。 早くから神経衰弱を患い、つねに精神の不安定を抱えて辛うじて暮らしていたヴァージニア。彼女を支え続けたヴァネッサの悲しみはいかばかりだっただろうか……と、これは、この絵本を初めて読んだ時に、わたし(エディション・エフ代表)の思ったことでした。およそ英国文化とは縁のない生活なのですが、ヴァージニア・ウルフだけは、美大生時代からよく読んでいましてね。躁鬱病の鬱状態に陥ったヴァージニアは、壁に花の絵を描いて救い出してくれる姉も今度ばかりは傍になく、弱々しく「ぐるるる、がるるる」とうめきながら逝ってしまったのかしら……。 * 『きょうは、おおかみ』は、気まぐれで変わりやすい子どもの心象風景を、やさしく、しかしくっきりと、描いてみせています。いろいろなシチュエーションにあてはめることができ、読み手の年齢や立場を選びません。ぜひぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 キョウ・マクレア Kyo Maclear 英国生まれ。美術評論家、小説家として定評がある。2作目の児童書となる本書は、作家ヴァージニア・ウルフとその姉である画家ヴァネッサ・ベルをモチーフにしている。姉妹のきずなをテーマとし、庭や美術への愛を盛り込んだ。カナダのオンタリオ州トロントに家族と暮らす。 【絵】 イザベル・アーセノー Isabelle Arsenault カナダが誇る最高のイラストレーターのひとり。子どもの本の絵を手掛ける。「おおかみきぶん」なときに元気をくれるのは、2人の息子、妹のエレーヌ、おいしいもの、お天気の日、美しい本、そしてキョウ・マクレアの言葉。キョウの書いた言葉からはいつでもインスピレーションの庭が現れると語る。ケベック州モントリオールに家族と暮らす。 【訳】 小島明子 Akiko Kojima 広島県生まれ。「やまねこ翻訳クラブ」会員。地元で英語読書会を主宰し、児童書の魅力を大人の読者に伝える活動をおこなっている。第20回いたばし国際絵本翻訳大賞英語部門最優秀翻訳大賞を受賞。広島市に家族と暮らす。 * 本書訳者の小島明子さんは、第20回いたばし国際絵本翻訳大賞での受賞をきっかけに、出版社「きじとら出版」を立ち上げ、自ら翻訳した絵本『きょうは、おおかみ』の出版を実現されました。
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世界のまんなかの島 わたしのオラーニ
¥1,980
『世界のまんなかの島 わたしのオラーニ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 クレア・A・ニヴォラ 訳 伊東晶子 タテ292mm×ヨコ228mm 36ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-00-4 2015年3月31日 第1刷発行 2016年1月28日 第2刷発行 ★★ボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクション部門優秀賞受賞★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第19回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉】 【推薦文】 「故郷って何でしょう? 作者のニヴォラさんは、 愛情のこもった美しい絵で、故郷の大切さを気づかせてくれます。 オラーニ村は、実は、あなたの故郷かもしれませんよ。」 ―――――柳田邦男(作家、評論家) イタリア・サルデーニャ島の小さな村オラーニ、そこは世界の中心だった。 おばさんたちがパンを焼き、子どもたちは路地をかけまわり、結婚式で輪になって踊る―― 遠い国でありながらどこか懐かしい情景に心洗われる秀作絵本 * 美しい絵本です。 帯文で柳田邦男さんがおっしゃっているように、作者は、愛しいものを撫でるように丹念な筆致で故郷の風景を描き込んでいます。ああ、ここが好きなんだな、ほんとに好きなんだなこの人は。なんだか、しみじみと、作者の気持ちが伝わってくるような気がします。 この絵本を見れば、ああこんな所へ行ってみたいな、と思うかもしれません。でも、作者はツーリスト誘致のために描いたのではないんですよ、もちろん。 自分が幼かった頃の、小さな村オラーニ。当時の家並み、暮らし向きはずいぶんと失われてしまったようです。ニヴォラさんは大好きな故郷を忘れないために、そしてお父さんとそのきょうだいたち、いとこたち、村の人たちへの尊敬と愛情を示すために、この本を描いたのでしょう。そして、絵本を読む人に、故郷を思い出してもらうために。 * 絵本の冒頭です: 《はっとするほど 青い海、イルカが はねて遊ぶ海に、島がひとつ 浮かんでいる。真っ白な小石の浜には 小さなほら穴が いくつもあって、鍾乳石のつららが ぶらさがっている。浜を見おろす けわしい崖には 岩のあいだに アザミや かおりの強いタイムがはえ、小さなヤギが そろそろと歩いていく。(中略) この島の ちょうど まんなか、まわりを山にかこまれた 盆地に オラーニ村がある。わたしの おとうさんは そこで生まれた。》 (すべての漢字にふりがなが振ってあります) * 文章はこのように、淡々としたナレーションのような調子で、村の風景や人々の様子を語ります。驚くような出来事や、謎解きの必要な事件が起こるわけでもなく、「わたし」が歩いてたどる道すじにしたがって、訪ねる家、会う人、覗く家禽が描かれます。絵本の最後のほうになってようやく、作者の思いのほとばしる一文が出てきます。 《ああ、あのオラーニの村が だいすき!》 ニヴォラさんが普段暮らすのはニューヨーク。オラーニとの違いに、行くたび帰るたびに愕然としたことでしょうね。そして、ニューヨークを闊歩する大人たちを見て、「わたし」はつぶやくのです。 《この人たちのオラーニは どんなところなんだろう?》 * 誰もが心にふるさとをもっています。誰にとっても、わがふるさとが世界の中心。 世界のまんなか。わたしのふるさと。 ……ふるさとって、いったい何なのでしょうね。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ベアトリーチェ・アレマーニャ Beatrice Alemagna 1973年、イタリア・ボローニャ生まれ。いま、最も注目を集める絵本作家のひとりである。イタリア・アンデルセン賞最優秀画家賞ほか、受賞歴多数。自らが「代表作」と呼ぶ本作は10か国以上に翻訳され、ヨーロッパを中心に世界的ベストセラーとなっている。邦訳作品はほかに『もうふのなかのダニィたち』(ファイドン)など。パリ在住。 【訳】 みやがわ えりこ 宮川絵理子 1987年、東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部にてイタリア語を専攻。卒業後、イタリア・トスカーナで6年間を過ごす。シエナ大学史学文化財学科人文科学コース(美術史専攻)在学中に、第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。2017年に同大学を卒業、帰国。
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木の葉つかいはどこいった?
¥1,760
SOLD OUT
『木の葉つかいはどこいった?』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 【ご注意! 在庫限りです】 作 ピーナ・イラーチェ 絵 マリア・モヤ 訳 小川 文 タテ278mm×ヨコ226mm 28ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-03-5 2015年8月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第21回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「一枚のはっぱがおしえてくれる。 みんなとおなじじゃなくていい。 一枚のはっぱが背中を押してくれる。 「あなたは あなたのやりかたで」と。」 ―――――落合恵子(作家・子どもの本専門店クレヨンハウス主宰) * 山里にいても、町なかにいても、木々の葉が落ちる場面は目にします。 瑞々しい青葉を湛えていた枝が、黄色く赤く色づいた葉を少しずつ、その腕から離すとき。 はらり。 葉っぱが木から離れてどこかへ行ってしまうことを題材にしたお話は数知れずありますけれど、この絵本は、ちょっぴり、趣が違います。 葉っぱたちは、「木の葉つかい」と呼ばれる魔法使い?の教えにしたがって、枝から落ちるというんですよ。え、そうなの? * 絵本の冒頭です: 《あと ふつかもすれば、あきが おとずれる。 みどりだった 葉っぱたちも すっかり いろづいて、いいにおいが している。 あきの かぜに、おもいっきり とびこんでいく じゅんびが できたんだ。 これで もう、ちょうちょみたいに とんでいける。》 ページをめくると: 《おや、木の葉つかいは どうしたんだろう? かぜに はためく、ながいマフラーを みなかったかい? いままで、いちども、おくれたことは なかったんだけど。》 * いつもの秋ならとっくに「木の葉つかい」が到着しているはずなんです。 まるで昔の「正義の味方」のように、首にマフラーを巻いているんだそうです。 その「木の葉つかい」が来ないから、葉っぱたちはどうすればいいのかわからなくて、ずっと木にしがみついたまま。ところが、どの世界にも「異端児」は、いるものですね。 ある一枚の葉っぱが、もうじっとしていられなくなって、枝から離れたのです。 《とちゅうで くるりと うえを むき、くうちゅうに わを えがく。》 《葉っぱは、なかまたちに むかってさけんだ。「みんなも やってみて!」》 * 「木の葉つかい」が教えてくれなくちゃ、木の枝から離れるのも、空中を飛び回るのも、地面に落ちていくことも、どうすればいいのかわからないから、じっとしていた木の葉たち。 でも、こわいもの知らずの一枚が思い切って空へ飛び出したら、あとに続いて一枚、また一枚と、葉っぱたちが枝から離れて旅立っていきます。 《なかまと いっしょに あちこち とびまわるものも いれば、 かぜに みちびかれて 空に へんてこな らくがきを するものもいた。》 * 秋のおとずれと、紅葉がやがて落葉になるさまを、あくまで客観的に描写しているんですが、あくまでも、木々や葉っぱたちの側に立って客観視していて、その視点がとてもユーモラスです。 春や夏の、新緑や若葉の繁った枝をひろげる樹々は、誇らしく堂々として、喜びに満ちあふれているように見える……と思っていたのですが。 《はるから ずっと、 葉や 花や 実の おもみに たえてきたのだから。 なつの やけつくような 太陽のもと、 それが どれほど つらいか、わかるかい?》 つらかったんか、木! 知らんかった! ごめんよ……。 思わず、街路樹に声をかけて木肌をさすったりして。 * 宮沢賢治の『いちょうの実』を思い出しました。 機会があったら、読み比べてみてください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ピーナ・イラーチェ Pina Irace 1967年、イタリア・ポジターノ生まれ。ローマを拠点に長年、舞台女優としてイタリア国内を飛び回り、結婚を機にレッジョ・エミーリアに移り住む。言葉を愛する彼女は、子どもや大人を対象とした演劇・朗読のワークショップを精力的に行っている。本書にて絵本の文章を初めて手がけた。 【絵】 マリア・モヤ María Moya 1988年、スペイン・ムルシア生まれ。イラストレーター。ムルシア大学で美術を学び、イタリア・マチェラータの美術学校アース・イン・ファブラにて、出版イラストレーションコースを修了。イタリアの出版社ZOOlibri刊行の本書が、初めての絵本制作となる。2015年には同出版社より2冊目の絵本が出版された。スペイン・ムルシア在住。 【訳】 小川 文 おがわ あや 山形県生まれ。東京学芸大学卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、ヴェネツィアに遊学。第21回 いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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こらっ、どろぼう!
¥1,540
『こらっ、どろぼう!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ヘザー・テカヴェク 絵 ピエール・プラット 訳 なかだ ゆき タテ266mm×ヨコ220mm 36ページ 定価:本体1,400円+税 ISBN 978-4-908214-07-3 2017年7月31日 第1刷発行 ★★2014年エリザベス・クリーヴァー絵本賞(IBBYカナダ)受賞作品★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第23回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「「だれか マックスに ほんとうのことを おしえてあげてケロ!」 「わおっっ!な連続事件だポン!」 くいしんぼう バンザイ! 農園に住む どうぶつたちのおもしろ絵本だよ。」 ―――――ケロポンズ(音楽ユニット) * タイトルどおり、これは捕物帳なんです。表紙の犬の名前はマックス。はりきって「こらっ、どろぼう!」と追いかけているところ。 でも……誰を?(笑) ほんと、マックスに、教えてあげてよ。 犬って、かしこいんだか、かしこくないんだか……。 マックス、がんばれ! ケロポンズさんも、応援してくれてます! * 絵本の冒頭はこんなふう: 《あるひ、のうじょうの ごしゅじんが いいました。 「マックス、どろぼうを つかまえられるかい?」 マックスは はりきって とびあがります。なんだって、つかまえて みせますとも! 「どんな やつかは わからない。でも、ニンジンと、イチゴと、マメと、サクランボを、かたっぱしから ぬすんでいくんだ。 すっかり たべられちまうまえに、つかまえて くれないか。」》 * 大好きなご主人様の言いつけとあらば喜んで! マックスは大はりきりで駆け出していきました。 おおっ 犯人と思しき、怪しい影を発見! さあマックス捕物帳のはじまりはじまり! ……なんだけど~ ……あー あー マックスったら…… 《「こらっ、どろぼう!」》 あーん、マックスったらあ~~~~~ * 作者も画家も、これまでにいくつもの児童向けの本を手がけてきたベテランのようで、とても安定感を感じる絵本です。広々とした田園風景。のどかで平和そうで、次々に登場するキャラクターたちもみんな「いいやつ」(笑)っぽくて、安心して読み進むことができます。 そう、心配なのはマックスのことだけ(笑) マックスったらあ~~~~~ * ニンジンやイチゴを盗んじゃうのはいったい誰? あれれ、ねえねえ、マックスったら、気づかないの? あらら、マックスったら、また走り出したよ! 子どもたちにはきっと「一目瞭然」な筋書き。 でもだからこそ、一緒に読んで、とぼけたやりとりを楽しんで! * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ヘザー・テカヴェク Heather Tekavec 児童文学作家。カナダ・マニトバ州生まれ。幼稚園教師時代に子どもの本に魅了され、執筆の道に進む。本書は9冊目の作品となる。自らの創作活動に加え、作家志望者を対象とした文章指導、学校での講演などを積極的に行っている。ブリティッシュ・コロンビア州在住。 http://www.tekavec.com/ 【絵】 ピエール・プラット Pierre Pratt カナダを代表する絵本画家のひとり。これまでに50冊以上の絵本を手掛け、カナダ総督文学賞(3回)、BIB金のりんご賞、ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞など、数々の賞に輝いている。本作にて、2度目のエリザベス・クリーヴァー絵本賞を受賞。邦訳された作品に『レオンのぼうし』(宝島社)、『すてきな日曜日』(文化出版局)がある。ケベック州モントリオールとポルトガル・リスボンを拠点に活動。 http://www.pierrepratt.com/2015/ 【訳】 なかだ ゆき 中田有紀 東京生まれ。立教大学英米文学科卒業後、イギリスの大学院で児童文学を学ぶ。2017年、本作で第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。共訳書に同年6月刊行の『新訳 メアリと魔女の花』(メアリー・スチュアート作 越前敏弥訳 KADOKAWA)がある。