木の葉つかいはどこいった?
¥1,760 税込
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『木の葉つかいはどこいった?』
●●●きじとら出版の絵本●●●
【ご注意! 在庫限りです】
作 ピーナ・イラーチェ
絵 マリア・モヤ
訳 小川 文
タテ278mm×ヨコ226mm 28ページ
定価:本体1,600円+税
ISBN 978-4-908214-03-5
2015年8月31日 第1刷発行
★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催
第21回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★
【帯の言葉、推薦文】
「一枚のはっぱがおしえてくれる。
みんなとおなじじゃなくていい。
一枚のはっぱが背中を押してくれる。
「あなたは あなたのやりかたで」と。」
―――――落合恵子(作家・子どもの本専門店クレヨンハウス主宰)
*
山里にいても、町なかにいても、木々の葉が落ちる場面は目にします。
瑞々しい青葉を湛えていた枝が、黄色く赤く色づいた葉を少しずつ、その腕から離すとき。
はらり。
葉っぱが木から離れてどこかへ行ってしまうことを題材にしたお話は数知れずありますけれど、この絵本は、ちょっぴり、趣が違います。
葉っぱたちは、「木の葉つかい」と呼ばれる魔法使い?の教えにしたがって、枝から落ちるというんですよ。え、そうなの?
*
絵本の冒頭です:
《あと ふつかもすれば、あきが おとずれる。
みどりだった 葉っぱたちも すっかり いろづいて、いいにおいが している。
あきの かぜに、おもいっきり とびこんでいく じゅんびが できたんだ。
これで もう、ちょうちょみたいに とんでいける。》
ページをめくると:
《おや、木の葉つかいは どうしたんだろう?
かぜに はためく、ながいマフラーを みなかったかい?
いままで、いちども、おくれたことは なかったんだけど。》
*
いつもの秋ならとっくに「木の葉つかい」が到着しているはずなんです。
まるで昔の「正義の味方」のように、首にマフラーを巻いているんだそうです。
その「木の葉つかい」が来ないから、葉っぱたちはどうすればいいのかわからなくて、ずっと木にしがみついたまま。ところが、どの世界にも「異端児」は、いるものですね。
ある一枚の葉っぱが、もうじっとしていられなくなって、枝から離れたのです。
《とちゅうで くるりと うえを むき、くうちゅうに わを えがく。》
《葉っぱは、なかまたちに むかってさけんだ。「みんなも やってみて!」》
*
「木の葉つかい」が教えてくれなくちゃ、木の枝から離れるのも、空中を飛び回るのも、地面に落ちていくことも、どうすればいいのかわからないから、じっとしていた木の葉たち。
でも、こわいもの知らずの一枚が思い切って空へ飛び出したら、あとに続いて一枚、また一枚と、葉っぱたちが枝から離れて旅立っていきます。
《なかまと いっしょに あちこち とびまわるものも いれば、
かぜに みちびかれて 空に へんてこな らくがきを するものもいた。》
*
秋のおとずれと、紅葉がやがて落葉になるさまを、あくまで客観的に描写しているんですが、あくまでも、木々や葉っぱたちの側に立って客観視していて、その視点がとてもユーモラスです。
春や夏の、新緑や若葉の繁った枝をひろげる樹々は、誇らしく堂々として、喜びに満ちあふれているように見える……と思っていたのですが。
《はるから ずっと、
葉や 花や 実の おもみに
たえてきたのだから。
なつの やけつくような 太陽のもと、
それが どれほど つらいか、わかるかい?》
つらかったんか、木!
知らんかった! ごめんよ……。
思わず、街路樹に声をかけて木肌をさすったりして。
*
宮沢賢治の『いちょうの実』を思い出しました。
機会があったら、読み比べてみてください。
*
以下、カバー袖に記載の著者情報です:
【作】
ピーナ・イラーチェ Pina Irace
1967年、イタリア・ポジターノ生まれ。ローマを拠点に長年、舞台女優としてイタリア国内を飛び回り、結婚を機にレッジョ・エミーリアに移り住む。言葉を愛する彼女は、子どもや大人を対象とした演劇・朗読のワークショップを精力的に行っている。本書にて絵本の文章を初めて手がけた。
【絵】
マリア・モヤ María Moya
1988年、スペイン・ムルシア生まれ。イラストレーター。ムルシア大学で美術を学び、イタリア・マチェラータの美術学校アース・イン・ファブラにて、出版イラストレーションコースを修了。イタリアの出版社ZOOlibri刊行の本書が、初めての絵本制作となる。2015年には同出版社より2冊目の絵本が出版された。スペイン・ムルシア在住。
【訳】
小川 文 おがわ あや
山形県生まれ。東京学芸大学卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、ヴェネツィアに遊学。第21回 いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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