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太陽の塔と仲間たち
¥2,200
予約商品
太陽の塔と仲間たち つちやあきお 画 土屋敏子 文 2024年11月30日 初版第1刷発行 2,000円+税 タテ222mm×ヨコ283mm 上製 48ページ ISBN978-4-909819-19-2 C8771 【予約くださったお客さまにはささやかなプレゼントをご用意】 ※※発送手数料にかんして※※ 本書は2冊までならクリックポストでお送りできます。 本書のみお送りする場合です。ほかの書籍との組み合わせの場合はこの限りではありません。 * 見たまま 感じたままの色づかい ちょっぴりのユーモア 自然と生きものたちへの讃歌 (以上、帯の言葉) 『太陽の塔と仲間たち』の絵を描いたのはダウン症をもつ、つちやあきおさん。それぞれの絵にテキストをつけたのは、彰男さんの母、土屋敏子さん。 あきおさんのクリエイティヴィティ(創造性)を見逃さず、褒めて、励まし、助け、叱咤もし、ともに歩んできました。親子の歩みの象徴ともいえる絵画作品を厳選して編んだのが本書です。 《私は土屋彰男の母です。彰男は一九七一年生まれ。その誕生から今日まで、私はダウン症の彰男と片時も離れず、いつも一緒に過ごしてきました。 彰男は生来とても明るい性格で、なによりも友達との時間を大切にする元気な少年に育ちました。成長するにつれ、音楽やダンスなど自己表現が豊かになり、とりわけ絵を描くことに熱中するようになりました。》 《修理のため地上に下ろされていた太陽の塔の顔を、家族みんなで見にいったのです。太陽の塔の顔を見て、彰男は強い衝撃を受けたようでした。帰宅するやいなやキャンバスに向かい、見てきたばかりの太陽の塔を一気に描きあげたのです。太陽の塔が、彰男の内の何かを揺さぶったのでしょう。》 《彰男は、これらの絵画に彼自身のメッセージを込め、動物たちそれぞれの物語を背景として思い描いています。 私は、彰男のメッセージをきちんと文章にしようと思い立ちました。 ひとつひとつの作品をよく見て、彰男の思いに耳を傾けました。 親子のコラボレーションがようやく実ったこの画文集、『太陽の塔と仲間たち』をお楽しみいただけたら幸いです。》(土屋敏子「刊行の言葉」より) * 収録作品 太陽 子犬 イノシシ キツネ ヒツジ ウシ オオサンショウウオ サワガニ ピラニア アカウミガメ タツノオトシゴ ヒョウザメ シロナガスクジラ クラゲ ペリカン ジャイアントパンダ 太陽の塔 ・刊行の言葉 土屋敏子 ・土屋彰男 制作歴 ・掲載作品リスト * 好奇心が旺盛で、ひとたび手順を覚えると夢中になって制作に打ち込むつちやあきおさん。絵画以外にも、陶芸や手織り、フェルト手芸などさまざまなものづくりにトライし、あきおさんならではの表現で傑作を生みだしてきました。美術表現だけでなく、小さな頃からピアノを習っていたあきおさんは楽器演奏やダンスが大好きで、オカリナも吹きます。まさにマルチアーチスト。 『太陽の塔と仲間たち』は、あきおさんの描いた動物たちに息子を支え続けた土屋敏子さんの思いが存分に注がれ、生命力にあふれた一冊となりました。制作にあたっては、親子の創作活動を長年にわたって支え応援してきたグループ、PENKI FACTORYの監修と協力を得ました。掲載作品の撮影には写真家の平井豪さん、装幀はウーム総合企画事務所の岩永忠文さん。それぞれの尽力を得て完成にこぎつけました。 * 画家紹介(本書掲載文から抜粋) つちやあきお(土屋彰男) 1971年大阪府生まれ。生後3か月時に受けた検査の結果、21トリソミー(ダウン症候群)と判明する。 1991年 高槻市美術展工芸部門で京都近鉄百貨店賞を受賞。 1992年 高槻市美術展洋画部門、工芸部門ともに入選。 2008年 「アール・ブリュット 表現の欲望展」(塔本アトリエ)。 2014年 あさご芸術の森美術館「干支展」。 2015年 ボーダレス・アートミージアムNO‐MA「アール・ブリュット日本展」に出品、入選。 2017年 枚方市平和の日記念事業企画展「枚方に煌めくアール・ブリュットの星座30人」に選抜されて出品。 2019年 京都知的障害者福祉施設協議会創立50周年記念「絵画・ポスターコンテスト」サポート協会賞受賞。
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「藝」「際」「間」を究める~JARFO三十年の歩み~
¥1,980
「藝(げい)」「際(きわ)」「間(あわい)」を究める ~JARFO三十年の歩み~ 石田 淨(いしだ じょう) 著 2024年6月20日 初版第1刷発行 1,800円+税 ISBN978-4-909819-17-8 C0095 ※※発送手数料にかんして※※ 本書は2冊までならスマートレターでお送りできます。 また、4冊までならクリックポストでお送りできます。 本書のみお送りする場合です。ほかの書籍との組み合わせの場合はこの限りではありません。 * 《「鑑賞」が孕む真実とは何か。》 《鑑賞者の精神状態は、アーチストの人生経験が凝縮された作品を通して表出される「気」の影響を受ける。》(本文より) 政治活動にのめりこみ、歴史研究に没頭した男の人生は とある企業メセナを担って以来 「運動としてのアート」へと大きく舵を切る。 芸術とは、作品とは何か。 創る者と観る者とのあいだには何が起こるのか。 今なお問い続ける石田淨、82歳にして初の単著。 (以上、帯の言葉) 【JARFOとは】Japan Art Forumの略称。「ジャルフォ」と呼称する。正式名称は「NPO法人京都藝際交流協会JARFO」。京都市内に2か所のギャラリースペースをもち、芸術家の活動や発表の支援を行っている。 * 目次 はじめに 第一章 私とは何者か 一 出生 二 十代~三十代 政治運動に憧れる 学生運動に没頭 大学院へ進み、幸徳秋水と社会主義を研究 ロシアへの関心 三 教職に就き、大いに学ぶ アルバイトに明け暮れた学生時代 教育現場での五十年間 徹底した個の尊重に瞠目 バブル経済とメセナ 第二章 人生を変えた「メセナ」 メセナとは 一 徳島ハレルヤ製菓株式会社 創業者 岡 武男 全国に先駆けた文化芸術振興推進企業 二 任意団体JARFO結成 バブル経済の崩壊 フィリップス大学日本校 三 NPO法人 京都藝際交流協会JARFOの設立 任意団体からNPO法人へ 第三章 「藝(げい)」「際(きわ)」「間(あわい)」を究める 評価の基準とは 一 日本における作品の「鑑賞」と「評価」 美術教育の在りかたに疑問符 二 「藝際」に込めたもの 「藝」と「芸」 「際」 三 「間」とは 「あわい」は「あいだ」でも「ま」でも「かん」でもない 「気」とは何か あるのか、ないのか JARFO三十年の歩み 【特別収録】 企業メセナの一形態 ――アートフォーラム三年間の歩み―― おわりに 参考文献 石田 淨 著作一覧 石田 淨 略歴 著者近影 * 石田淨さんとのご縁は、エディション・エフ刊写真集『揺れて歩く』がきっかけでした。 『揺れて歩く』は、著述家の清水哲男さんによる初の写真集。出版記念の最初の写真展(2020年9月レティシア書房)を開催した時に展示を見てくださった石田淨さんは、『揺れて歩く』をはじめ清水哲男さんの著作を高く評価されたのでした。それでギャラリー「JARFO京文博」(石田さんが代表を務めるNPO法人京都藝際交流協会が運営)での写真展開催を申し出てくださったのだそうです。 2021年4月に行われたその写真展は好評を博し、会場では『揺れて歩く』もたくさん売れました。 石田さんは『揺れて歩く』の編集手法や装幀デザインをたいへん褒めてくださいました。出版社としてこんなに嬉しいことはない、と感激したものでした。 JARFO京文博では従来から個性豊かな作家による個展、グループ展がコンスタントに開催されており、清水哲男さんの写真展もテーマを変えて何度も行われました。たびたび鑑賞しにうかがっていましたが、ある日石田淨さんが在廊されていた折にあらためてご挨拶したところ、著書執筆の企画をお聞きしたのでした。 2023年の秋のことでした。 * 「僕はもうトシですからね、時間がないんです。だから早くつくらないと」 二言めにはそうおっしゃる石田淨さん。 制作に着手してから完成までの間に、いったい何度海外出張に出かけられたでしょうか。とってもお元気です。 ほんとにお元気です。 * 石田淨自身の人生と、JARFO結成以来の30年を駆け足でたどる本書。 石田淨ならではの芸術へのアプローチ、鑑賞の解釈に触れてください。 あなたが次回展覧会へ行った際には、作品の見かたが、少し変わるかもしれません。 【著者】 石田 淨(いしだ・じょう) 1942年京都府舞鶴市生まれ。1973年立命館大学大学院文学研究科修士課程修了(西洋史専攻)。在学中より歴史教師として教鞭をとある。1993~96年、徳島県阿波之里アートフォーラム代表に就き企業メセナ活動に従事。1997年Japan Art Forum(JARFO)結成、代表に就任。
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気配
¥1,760
『気配』 村田はるせ 1,600円+税 2024年5月発行 ISBN978-4-909819-16-1 ※※発送手数料にかんして※※ 本書1~6冊の場合はクリックポストが最も安価です。ご注文の際はクリックポストを選択してください。 なお、本書のみお送りする場合です。ほかの書籍との組み合わせの場合はこの限りではありません。 * 《あの公園のあの木で 啼きしだいていた蝉たちを想う あれだけの密度の時雨にまた打たれたい》 (「蝉時雨」より) 「蝉時雨」と題された短い詩の一部分を、帯に使わせてもらいました。 蝉の啼く季節も、もうすぐですね。 村田はるせさんの詩は、強い言葉や表現はなく、かといって、それではその言葉の連なりを「柔らかい」とか「優しい」とか、そういうふうに形容するのもためらわれます。 シンプルな言葉遣いの中に、自己を見失わない確かな意志と、まっすぐな視線を感じます。 とはいえ、詩の味わいかたは人それぞれ、気持ちそれぞれです。 あなたはどのように読み、感じてくださるでしょうか。 《きっと薄墨色の 濃淡がことなるやわらかな紙を用意して ゆったりとした波形に切りとったのだろう それを少しずつずらして重ねたのだろう 咲きかけのばらの花びらが ちょうどそうであるように》 (「空の仕業」より) 《自信にみちた声が理路整然と迫ってきて わたしのほうが悪いような気がしても 透明の盾を構えてむかっていく稽古》 (「稽古」より) 《わたしは言葉を探すことで、日々遭遇するままならない事態との折り合いをつけようとしていたのです。》《わたしの中の不甲斐なさ、無力さといったものに言葉を与えたかったのでしょう。それは、もっと強く飄々と生きたいという望みの裏返しなのでしょう。》《単純ではない世の中を単純なものとして生きざるをえない不特定多数の人びとに紛れるわたしの内側にちらちらと燃えてくる怒りもまぶされています。》 (「あとがき」より) 詩集『気配』をお読みくださるみなさんの心に、なにがしかの糧が、足跡を残すと願います。 *********** 目次 〈鏡のなか〉 鏡 忘れたいこと 晴れた日には忘れほうけたままでいることども 雪の日 いるということ し 泣くな 稽古 魚が泳ぐように にげる あのですね ノッポとちび 〈まのわるい人たち〉 まのわるい人たち 小犬をつれた 車窓 北陸新幹線 選択 敵だらけ 〈わたしの外の声〉 みはる いつかの記憶 蝉の弔い 投書 夜の家いえ 詩をする わたしの外の声 冬寺 蝉時雨 狭間のとき 狭間の景色 鴉は映画を観ない 鳩と卵焼き 空の仕業 気配 白岩源流にて 〈うまれたのでも ない まち〉 思郷の 花がさく ―ビルマの首都にて― 単線電車の無人駅音頭 駅長 幻の打ち明け話 あとがき ************ 本書は、詩人の意図を酌み、ごく少部数を制作しました。 版元としましては、部数が少ないことで否が応でも高くなる原価を少しでも抑えるためにあれこれと工夫をしました。 そのひとつが、帯の上端の曲線の表現に、一点一点、手で紙をちぎるという方法を用いたことです。こうした曲線のカットを機械で行うことは不可能ではありませんが、型代がたいへん高くつきます(何万部も印刷するならコストは吸収されますけどね)。 この帯デザインをいたく気に入った版元に対し、「僕が手でちぎります」とデザイナー氏の提案。その言葉に思いきり甘えました。 微妙に、一冊一冊が異なる曲線。ホントに微妙な違いです。見比べて可笑しがるのは版元の特権です。すみません。 村田はるせ 富山県の「舟の会」同人。アフリカ文学(フランス語表現)専攻。アフリカについて学ぶ「クスクス読書会」を2012年から主宰。西アフリカのフランス語公用語圏諸国で出版された絵本を展示や朗読をとおして紹介する活動もしている。訳書に『アヤンダ おおきくなりたくなかった おんなのこ』(ヴェロニク・タジョ文・ベルトラン・デュボワ絵/風濤社/2018年)。『神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語』(ヴェロニク・タジョ著/エディション・エフ/2019年)がある。
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おすよ おすよ I push and go
¥1,430
おすよ おすよ I push and go よしだるみ さく 定価 本体1,300円+税 ISBN 978-4-909819-18-5 C8793 ヨコ178mm×タテ152mm 上製 40ページ 絵本作家よしだるみ、待望の新刊絵本! 何と今回は……楽しさふくらむ日英バイリンガル絵本♪♪♪ 可愛いクマが、大事な たからのハコを押して歩きます。 すると……。 ぼくは おす、おすよ I push and push and go. いいもの いれて、 ぼくは おす、おすよ I put it in my box and push and go. あ、あのこも おしている Hey, she’s pushing a box, too. ……愛らしさ200%! 可愛すぎて失神しないでね! ________________ 気に入ったもの、大好きなもの、大事なものをいっぱい入れた、 自分だけの箱をおしてあるく。 だけど、行く手にはいろいろなことが待ってる。 思いがけない出来事に、あう。 誰もが身に覚えのある一場面。きっと、あなたも。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 装丁は『ルルオンザルーフ』と同じ、デザイナー堀内仁美。 よしだるみの眼差しと優しさを知り尽くした装丁家が、いつくしみながら手がけました。 【作者プロフィール】 よしだるみ(吉田瑠美) 画家、絵本作家、中国武術講師。東京生まれ。ニューヨークで幼少期を過ごす。青山学院女子短期大学芸術学科卒業。著書に『ルルオンザルーフ』(エディション・エフ/2022年)、絵本に『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店/2019年)、『いつかはぼくも』をはじめとする「よしだるみの どうぶつのかぞくえほん」(国土社/2020年)などがある。 日本・台湾合作映画「青春18×2 君へと続く道」の作中絵画を担当するなど、活躍の場を広げている。京都在住。
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【サイン入り】ルルオンザルーフ
¥1,760
【数量限定★著者直筆サイン入り】 『ルルオンザルーフ』 よしだるみ 著 1,600円+税 B6判変型(171×120mm) 並製 224ページ ISBN978-4-909819-13-0 ★★★著者の直筆イラスト・サイン入りです★★★ ★★★数量限定! お早めに★★★ 《夜空はうんと広くて、硝子のかけらをばらまいたような細かな星々がいっぱいに散らばっていました。星がろうそくの炎のようにチラチラ揺れるのが、不思議でした。 「月が眩しいね」 物語で動物が集会を開いたりするのはきっとこんな夜だわ、と思いました。 ふたりで首が痛くなるほど見上げていました。鈴虫がリーリー鳴いていました。》 (「冬が来てしまった」より) * 絵本作家よしだるみ、初のエッセイ集! どうぶつのかぞく絵本シリーズ『いつかはぼくも』『わたしはいつも』『いつもとなりで』(国土社)、月刊絵本かがくのとも『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店)など、色鉛筆やクレヨンを駆使した優しい画風で人気上昇中のよしだるみ。 創作絵本や挿画の仕事を多数こなす一方、中国武術講師の顔ももつ。 《ずっとどこか、急いでいました。一回りちょっと年上の主人に、少しでも追いつきたくて。》(「あとがき」より) * 上にあるように本書、エッセイ集『ルルオンザルーフ』の著者よしだるみさんは絵本作家として活躍中です。主に色鉛筆やクレヨンを使った優しい画風が特徴。「どうぶつかぞく絵本シリーズ」をご存じの読者にはおなじみですね。普段からしょっちゅう、動物園にスケッチに行かれているそうです。 クレヨンで描いた風景画や肖像画は時に写真を超えてリアルです。よしだるみさんの個展や原画展はけっして逃さずぜひ!観に行ってください! * 巻末には気鋭の映画監督・藤井道人(『新聞記者』『余命10年』)による解説「姉・よしだるみのこと」を収録。 《姉と僕は三つ離れている。僕は父に倣って剣道に打ち込み、姉は絵画と武術に精を出していた。姉は自分に厳しく人にも厳しいというタイプで、仲は良かったけれど子どもの頃は喧嘩もよくした(僕は典型的な人に甘く自分にも甘いタイプだった)。》 《姉は、ピアノも上手だった。幼少期、まだ僕に芸術の才があると誤解していた両親は僕にヴァイオリンを習わせた。親戚を集めてデュエットのようなものを強いられたこともある。心底嫌だった。自分の奏でるおぞましい「ギコギコ」という音色に我ながら辟易していた。》 《人生に優劣などないと思ってはいるが、このようにいくつか述べるだけでも僕と姉には雲泥の差があり、そして僕はわかりやすくどんどんグレていき、姉との交流も少なくなっていった。》(藤井道人「姉・よしだるみのこと」より) 藤井道人プロフィール: 1986年東京都生まれ。 映画監督、脚本家、映像作家。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作「オー!ファーザー」でデビュー。 2019年に公開された映画「新聞記者」は、日本アカデミー賞最優秀賞三部門含む六部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。ほか、映画「宇宙で一番あかるい屋根」「余命10年」、ドラマ「アバランチ」などを手がける。 * 絵本作家よしだるみさんと映画監督藤井道人さんは実の姉弟。藤井さんは、巻末への寄稿についてたいへん快く承諾してくださいました。ちょっぴりユーモアをにじませたエッセイは、よしだるみさんの幼少期や結婚したばかりの頃などが窺える内容となっています。 * もくじ 1 今日は、マグカップで飲むんだよ ミニチュア太陽とお月さま おしりがつめたい。 あるものとないもの 手当て 移住記念日 本 炭酸ジュース 晴れのち頭痛……そして日常 スプーン 広告チラシ トレンディードラマ いつものリズム 夢のようなカレー 冬が来てしまった 高い所 2 きれいだね ふたり クリスマスのはなし 小鳥 一番欲しいもの 久しぶりの散歩 マジック おそなえ 一日の過ごしかた 私のなかの小さな森 簡素なしくみ ぐにゃぐにゃ 雪やどり カード 甘いジンジャーシロップ 3 また四時だって思うんだよ 優しいストロベリーアイスクリーム 雪 恐竜のタマゴの町で なんということでしょう! 六月の雪 ネズミ 星の輪郭 夢のような桜散歩 春の色 虹 エアトランプ 立ちつくすロバ 最後のいちご ルル オン ザ ルーフ 色鉛筆削り あとがき 姉・よしだるみのこと 藤井道人 * 装丁およびカバー写真:堀内仁美(Horiuchi Design) * 著者プロフィール よしだるみ(吉田瑠美) 1983年東京都生まれ。 絵本作家、画家、中国武術講師。青山学院女子短期大学芸術学科卒業。幼少期を米国・ニューヨークで過ごす。1994年に中国武術に出会い、吉田博に師事する。 2012年京都に移住したのを機に絵を描き始める。絵本の仕事に、『はじめてのほんやさん』(垣内出版)、『いつかはぼくも』をはじめとする『よしだるみのどうぶつのかぞく絵本シリーズ』(全三巻/国土社)、『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店)などがある。
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ルルオンザルーフ
¥1,760
『ルルオンザルーフ』 よしだるみ 著 1,600円+税 B6判変型(171×120mm) 並製 224ページ ISBN978-4-909819-13-0 ★★『ルルオンザルーフ』お買い上げのお客さまへ★★ ★★よしだるみクレヨン画ポストカードをプレゼント★★ ★★★当ショップだけの特典です★★★ 《夜空はうんと広くて、硝子のかけらをばらまいたような細かな星々がいっぱいに散らばっていました。星がろうそくの炎のようにチラチラ揺れるのが、不思議でした。 「月が眩しいね」 物語で動物が集会を開いたりするのはきっとこんな夜だわ、と思いました。 ふたりで首が痛くなるほど見上げていました。鈴虫がリーリー鳴いていました。》 (「冬が来てしまった」より) * 絵本作家よしだるみ、初のエッセイ集! どうぶつのかぞく絵本シリーズ『いつかはぼくも』『わたしはいつも』『いつもとなりで』(国土社)、月刊絵本かがくのとも『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店)など、色鉛筆やクレヨンを駆使した優しい画風で人気上昇中のよしだるみ。 創作絵本や挿画の仕事を多数こなす一方、中国武術講師の顔ももつ。 《ずっとどこか、急いでいました。一回りちょっと年上の主人に、少しでも追いつきたくて。》(「あとがき」より) * 上にあるように本書、エッセイ集『ルルオンザルーフ』の著者よしだるみさんは絵本作家として活躍中です。主に色鉛筆やクレヨンを使った優しい画風が特徴。「どうぶつかぞく絵本シリーズ」をご存じの読者にはおなじみですね。普段からしょっちゅう、動物園にスケッチに行かれているそうです。 クレヨンで描いた風景画や肖像画は時に写真を超えてリアルです。よしだるみさんの個展や原画展はけっして逃さずぜひ!観に行ってください! * 巻末には気鋭の映画監督・藤井道人(『新聞記者』『余命10年』)による解説「姉・よしだるみのこと」を収録。 《姉と僕は三つ離れている。僕は父に倣って剣道に打ち込み、姉は絵画と武術に精を出していた。姉は自分に厳しく人にも厳しいというタイプで、仲は良かったけれど子どもの頃は喧嘩もよくした(僕は典型的な人に甘く自分にも甘いタイプだった)。》 《姉は、ピアノも上手だった。幼少期、まだ僕に芸術の才があると誤解していた両親は僕にヴァイオリンを習わせた。親戚を集めてデュエットのようなものを強いられたこともある。心底嫌だった。自分の奏でるおぞましい「ギコギコ」という音色に我ながら辟易していた。》 《人生に優劣などないと思ってはいるが、このようにいくつか述べるだけでも僕と姉には雲泥の差があり、そして僕はわかりやすくどんどんグレていき、姉との交流も少なくなっていった。》(藤井道人「姉・よしだるみのこと」より) 藤井道人プロフィール: 1986年東京都生まれ。 映画監督、脚本家、映像作家。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作「オー!ファーザー」でデビュー。 2019年に公開された映画「新聞記者」は、日本アカデミー賞最優秀賞三部門含む六部門受賞をはじめ、映画賞を多数受賞。ほか、映画「宇宙で一番あかるい屋根」「余命10年」、ドラマ「アバランチ」などを手がける。 * 絵本作家よしだるみさんと映画監督藤井道人さんは実の姉弟。藤井さんは、巻末への寄稿についてたいへん快く承諾してくださいました。ちょっぴりユーモアをにじませたエッセイは、よしだるみさんの幼少期や結婚したばかりの頃などが窺える内容となっています。 * もくじ 1 今日は、マグカップで飲むんだよ ミニチュア太陽とお月さま おしりがつめたい。 あるものとないもの 手当て 移住記念日 本 炭酸ジュース 晴れのち頭痛……そして日常 スプーン 広告チラシ トレンディードラマ いつものリズム 夢のようなカレー 冬が来てしまった 高い所 2 きれいだね ふたり クリスマスのはなし 小鳥 一番欲しいもの 久しぶりの散歩 マジック おそなえ 一日の過ごしかた 私のなかの小さな森 簡素なしくみ ぐにゃぐにゃ 雪やどり カード 甘いジンジャーシロップ 3 また四時だって思うんだよ 優しいストロベリーアイスクリーム 雪 恐竜のタマゴの町で なんということでしょう! 六月の雪 ネズミ 星の輪郭 夢のような桜散歩 春の色 虹 エアトランプ 立ちつくすロバ 最後のいちご ルル オン ザ ルーフ 色鉛筆削り あとがき 姉・よしだるみのこと 藤井道人 * 装丁およびカバー写真:堀内仁美(Horiuchi Design) * 著者プロフィール よしだるみ(吉田瑠美) 1983年東京都生まれ。 絵本作家、画家、中国武術講師。青山学院女子短期大学芸術学科卒業。幼少期を米国・ニューヨークで過ごす。1994年に中国武術に出会い、吉田博に師事する。 2012年京都に移住したのを機に絵を描き始める。絵本の仕事に、『はじめてのほんやさん』(垣内出版)、『いつかはぼくも』をはじめとする『よしだるみのどうぶつのかぞく絵本シリーズ』(全三巻/国土社)、『あめあがりのしゃぼんだま』(福音館書店)などがある。
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ものがたり白鳥の湖
¥2,200
絵 ガブリエル・パチェコ 文 ものがたり白鳥の湖編集室 巻末エッセイ 吉本真悟 260 mm×336 mm 48ページ 定価:2,000円+税 ISBN 978-4-9908091-6-4 2017年12月25日初版第一刷発行 呪いを解くことができるのは、永遠の愛の力だけ。 空をゆく白鳥は、じつは美しい姫だった―― ひとめでひかれあい愛を誓った王子と姫の、命を懸けた恋物語。チャイコフスキー作曲のクラシックバレエ作品として知られる「白鳥の湖」の世界が、幻想美あふれるガブリエル・パチェコの絵とともに深く、大きく、感動的にひろがります。いつまでも色褪せない、恋人たちのおとぎ話。 ロシアの大作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーのバレエ楽曲として「白鳥の湖」はあまりにも有名です。世界中のバレエ団が競って上演し、王子や姫の素晴しい踊りが観客を魅了しています。 じつは、バレエ「白鳥の湖」の初演は評判が芳しくなかったと伝わっています。その後、演出や振付などを再構成した公演が成功をおさめたのは、チャイコフスキーの没後2年後でした。以来、名だたる振付家が工夫を凝らしてさまざまなヴァリエーションが生まれています。 絵本『ものがたり白鳥の湖』は、子どもから大人まで、どなたにもお楽しみいただけます。ページをめくるほどに、森と湖を幻想的に描いた美しい絵が、悪魔に翻弄される王子と姫の恋物語の世界に誘(いざな)います。お話は現代に受け継がれるバレエ「白鳥の湖」に沿っていますので、バレエ「白鳥の湖」をご存じの読者ならもちろんその舞台を思い浮かべ、わくわくしながら読んでいただけることでしょう。 巻末には、バレエダンサー・吉本真悟氏による、バレエ作品「白鳥の湖」のみどころ紹介を収録しました。演ずる者の立場から、ジークフリード王子についても言及しています。 [絵] ガブリエル・パチェコ Gabriel PACHECO 1973年メキシコ生まれ。イタリア在住。 メキシコ国立芸術学院で学んだのち、1998年からイラストレーターとして活動を始めた。もともと演劇を学んでいたが、妹の著作への挿絵をきっかけに、絵を描く仕事を始めることになったという。詩的で繊細かつ大胆な画風が高く評価され、数多くの国際コンクールに入賞している。これまでに30冊を超える絵本を世界各地から出版するほか、さまざまなアートプロジェクトにも参画し、活躍の幅は広い。 日本での出版には『水おとこのいるところ』(イーヴォ・ロザーティ作、田中桂子訳、岩崎書店2009年)がある。 [巻末エッセイ] 吉本真悟(よしもと しんご) 1995年日本人男性として初めてフランス国立パリオペラ座バレエ学校に入学。1998年第6回ジャクソン国際バレエコンクール男性ジュニアの部スカラシップ賞受賞。第18回ブルガリア・ヴァルナ国際バレエコンクール男性ジュニアの部金賞受賞。京都府文化奨励賞を歴代最年少で受賞。1999~07年アメリカサンホセバレエ団、ヒューストンバレエ団にて活躍。帰国後、ダンス公演にとどまらず、ジャンルを超えた舞台でも活躍している。 ●近年の出演作品 2016年『Baked Hotel』(作/大野幸人、振付/新上裕也、大野幸人etc) 2017年『ダンスリハーサル!』(振付/大野幸人、吉本真悟etc)
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サンドイッチをたべたの、だあれ?
¥1,980
ジュリア・サーコーン=ローチ 作 横山和江 訳 A4横変型(280mm×216mm)36ページ 定価:1,800円+税 ISBN 978-4-9908091-5-7 2017年10月10日初版第1刷発行 2017年11月22日初版第2刷発行 「え、サンドイッチ? うん、ぼく、しってるよ!」 “ぼく”が語る、サンドイッチに起きた出来事とは? おいしそうなサンドイッチの入った真っ赤なランチボックス、それを好奇心いっぱいの目で見つめるクマ。食いしん坊で陽気なクマとサンドイッチが出会うお話……と思いきや、意外な展開が待っています。お子さんをお膝にのせて、読んであげてください。幼稚園や保育園、学校での読み聞かせにもぴったり。お友だちどうしで一緒に読んだら、すごく楽しいことうけあいです! 作 ジュリア・サーコーン=ローチ Julia Sarcone-Roach ニューヨーク在住の絵本作家。優れた絵本作家に贈られるエズラ・ジャック・キーツ賞で次点につけた本作は4作目。筆のタッチを存分に生かした画風は爽快さと温もりをあわせもち、高い評価を得ています。 訳 横山和江(よこやま かずえ) 山形市在住の児童書翻訳家。原書の魅力を存分に引き出した安定感のある訳文で、これまでに多くの海外絵本・児童文学を日本の読者に届けてきた横山さん。本作においても、ウイットに富んだお話を楽しくリズミカルに仕上げています。訳書には『サンタの最後のおくりもの』(徳間書店)、「クマさんのおことわり」シリーズ(岩崎書店)、「サラとダックン」シリーズ(金の星社)、『300年まえから伝わる とびきりおいしいデザート』(あすなろ書房)など多数。 【帯のことば】 なるほど、そうきたか! 話せば長ーいサンドイッチ(とクマ?)の物語に、 思わずにやり。 ――美馬しょうこ(児童書翻訳家) 訳書に、絵本『わたしのすてきなたびする目』(偕成社)、『ペネロペひめとにげだしたねこ』(徳間書店)、『ジャガーとのやくそく』(あかね書房)など多数。
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ぬばたま
¥1,980
『ぬばたま』(歌集) 北夙川不可止 著 1,800円+税 A5判変形 並製 256ページ ISBN978-4-909819-09-3 《射干玉(ぬばたま)の黒き仔猫を「ぬばたま」と名づけて飼ひぬ七月のすゑ》 北夙川不可止(きたしゅくがわ・ふかし)は歌人でコラムニスト。 『ぬばたま』は作歌生活25年にして初めて上梓する歌集である。 作歌は膨大だが、2010~2018年に詠んだ歌のなかから 772首を厳選した。 著者の活動は幅広く、アートイベントの企画運営、また近代建築・景観の保全活動にも取り組んでおり、本書の収録短歌からは、その多岐にわたる活動が窺い知れる。 「ぬばたま」は、歌人がかつて飼っていた猫の名前である。 「猫と美少年をこよなく愛し、近代建築と美術と音楽を愛で、美しき建物が壊される不条理に怒り(中略)、吟行をする日々が 絵巻物のように繰り広げられる」 (寮美千子によるあとがき「永遠の幼子、伯爵」より) * 歌人・北夙川不可止の第一歌集、『ぬばたま』。帯の言葉には、歌人をよく知る作家・詩人の寮美千子さんが本書へ寄せた原稿からの一節を引いています。 歌人は猫との暮らしを詠み、少年との愛の戯れを詠み、文化的遺構の美しさを詠みます。 血糖値が跳ね上がり入院生活を余儀なくされた日々の歌などは、退屈を逆手にとって愉しもうとする歌人の心情がにじみ、とてもユーモラスです。 今も愛する猫たちと暮らす歌人ですが、「ぬばたま」は忘れ難き美しい猫だったと述懐しています。 * 東京のピカレスクギャラリーでは、 2020年6月13日(土)〜8月2日(日)のあいだ、 短歌と写真のコラボレーション展「叛亂の豫感(はんらんのよかん)」 が オンラインにて開催されました。北夙川氏の短歌と写真家・北沢美樹氏の美しい写真のコンビネーション。展覧会を記念した作品集「叛亂の豫感」がギャラリーの通販サイトで販売されています。そちらもぜひどうぞ! リンクをクリックすれば別ウインドウで開きます。⇩ https://picaresquejpn.com/work/hanran-no-yokan/ * 【著者】 北夙川不可止(きたしゅくがわ ふかし) 1964年兵庫県西宮市生まれ。同志社大学神学部中退。1994年に獄中で短歌を始め、所属結社は『アララギ』、『新アララギ』、『玲瓏』と移籍。近代建築や歴史的都市景観の保全に取り組み、著書に『東西名品 昭和モダン建築案内・新装版』(書肆侃侃房、2021年秋刊行)などがある。オープンリーゲイとしてBL短歌同人誌「共有結晶」創刊に参加。活動分野は多岐にわたり、各所で「伯爵」と呼ばれ親しまれている。
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月の家の人びと
¥1,870
『月の家の人びと』 砂岸あろ 著 1,700円+税 B6判変型(171×120mm) 並製 288ページ ISBN978-4-909819-10-9 《杏は鏡を持った手をのばし、いったん上に高くかかげてから、軽く深呼吸して中をのぞきこみました。 さっきよりも輝きを増したまるい月が、鏡の上のほうにうつっています。 その前に、瞳をきらきらと光らせ、かたくくちびるを結んでいる、一人の女性がうつっていました。》(第四章 月の鏡 より) * 物語を紡ぐ人、砂岸あろ――。 美しいもの、純粋な心、ちょっぴり不思議なできごと……。人が見失いがちなものたちにこだわりつづけ、物語を創りつづけてきた著者が、祖母と過ごした「月の家」の思い出を温めながら書き、時を経て幾重のてがかりをも加味して書き上げた長編。 《その家は、(中略)志賀直哉が住み、『山科の記憶』などを書いた家です。それから数年後、私の父方の祖父母一家がその家に移り住みました。》(著者による「あとがき」より) * 京都在住の漫画家、グレゴリ青山さんから帯に推薦文をいただきました! 物語を読んでいる間、ずっと 月の光に包まれている心地がしました。 美しい京都山科文学の誕生です。 ――――――― グレゴリ青山 グレゴリ青山さん:漫画家。京都在住。著作に『グレさんぽ~猫とかキモノとか京都とか~』(フラワーコミックススペシャル2020年)『京都深掘りさんぽ』(小学館文庫2017年)など多数。 * 目次 第一章 赤い傘 第二章 夜の犬 第三章 水の皮膚 第四章 月の鏡 第五章 風の靴 第六章 鬼の木 第七章 空の椅子 第八章 眠る絵 終 章 月のいる庭 * 著者プロフィール 砂岸(すなぎし)あろ 京都市生まれ、京都市在住。京都精華短期大学(当時)で美術を学び、1986年よりアトリエ・ウーフ絵画教室を主宰しながら、少女マンガ原作、児童文学、エッセイなどを書く。「海の方法」同人。著書に『駱駝はまだ眠っている』(かもがわ出版、2005年)、『ほおずきの夜』(白馬社、2007年)、『黄金色の風になって』(上下、講談社青い鳥文庫、2009年)、『せんをひく』(福音館書店こどものとも、2010年)などがある。
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装いせんとや 生まれけん 着物の戯れ じぶん流
¥1,980
『装いせんとや 生まれけん 着物の戯れ じぶん流』 蓮味 青(はすみ あおい)著 1,800円+税 A5判 並製 152ページ ISBN978-4-909819-12-3 《着物は過去の遺物では、ありません。もっと楽しくなるはずです。 この本が、貴方なりの着物のお洒落を見つける手助けになればとても嬉しく思います。》(「はじめに」より) * ちょっと知的で、洒落っ気とユーモアもたっぷり。 時にはもったいない精神と工夫で着こなす、和装のエスプリ満載。 そのまま真似てみたくなる着物との戯れ術。 《着物が日常着ではなくなった現代において敢えて着物を着ることは、普段と違う「装い」をすることでもあるのです。それはまた、生活を「遊び」「戯れる」ことにも繋がっていきます。 戦争や飢餓を知らずに育った幸運な世代の私達も、いま現在、数年前には想像もしなかった困難な状況の中で暮らしています。 そんな中でも着物で遊び、着物と戯れることでいにしえから綿々と伝えられてきた美しいものたちを思い出し、慈しみながら日々を過ごすことが出来ますように、と願いを込め ました。》(「あとがき」より) 「着物の戯れ」の達人が見せる「遊びかた」。和装コーディネートのヒントが満載! * 目次 第一章 能を着こなす 第二章 季節を着こなす 第三章 私のお気に入り あれこれ * 著者プロフィール 蓮味 青 (はすみ あおい) 着物と古典芸能をこよなく愛し、古裂、古民芸、骨董家具、古い器などを日常に生かす生活を模索しつつ、観世流謡曲仕舞、森田流能管、金春流太鼓、石井流大鼓の稽古をマイペースで続けている。週末のみ着物生活。京都市在住。
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鳥の一年シリーズ イエスズメ
¥1,760
【【【増刷出来!!!】】】 鳥の一年シリーズ『イエスズメ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-00-0 2018年9月25日初版第1刷発行 2020年2月1日初版第2刷発行 “子どもたちが、絵本の世界をたしかめようと外へ飛び出して、自然や生きものと親しむようになる……絵本作家として、これほどうれしいことはありません。” (「日本の読者のみなさんへ」より) ドイツのベテラン絵本作家、トーマス・ミュラーが描く鳥の一年。リアルで美しい絵が自然への興味をかきたてます。好奇心あふれる子どもたちに繰り返し読んでほしい一冊。 * わたしたち人間にいちばん身近な鳥といえば、スズメですね。 ヨーロッパでは、日本のスズメとよく似たイエスズメが、 町のいたるところでチュンチュンと鳴いています。 鳥たちは、どんな暮らしをしているのでしょう? 家さがし、結婚、子育て、巣立ち……。 絵本をひらいて、イエスズメといっしょに、春・夏・秋・冬、 めぐる季節をたどりましょう。 (裏表紙より) * (著者、訳者紹介) 文と絵 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 訳 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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鳥の一年シリーズ ツバメ
¥1,760
【【【増刷出来!!!】】】 鳥の一年シリーズ『ツバメ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-01-7 2018年10月10日初版第1刷発行 2020年2月1日初版第2刷発行 “子どもたちが、絵本の世界をたしかめようと外へ飛び出して、自然や生きものと親しむようになる……絵本作家として、これほどうれしいことはありません。” (「日本の読者のみなさんへ」より) ドイツのベテラン絵本作家、トーマス・ミュラーが描く鳥の一年。リアルで美しい絵が自然への興味をかきたてます。好奇心あふれる子どもたちに繰り返し読んでほしい一冊。 * ツバメが飛ぶのを見かけたら、季節は本格的な春。 子育てをするため、暖かさをもとめて、南の国からもどってきたのです。 ツバメの巣づくりを、見たことはありますか? もし見つけたら、やさしく観察してくださいね。 ツバメは、秋の気配を感じるころに、暖かい場所へ旅立っていきます。 わたしたちの土地からはなれたあと、ツバメはどんな旅をしているのでしょう? 越冬地では、どんなふうに暮らしているのでしょう? 絵本をひらいて、ツバメといっしょに1年をすごしてみませんか。 (裏表紙より) * (著者、訳者紹介) 文と絵 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 訳 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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鳥の一年シリーズ メンフクロウ
¥1,760
鳥の一年シリーズ『メンフクロウ』 文と絵 トーマス・ミュラー 訳 堀込-ゲッテ 由子 タテ220mm×ヨコ257mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-909819-02-4 2018年11月13日初版第一刷発行 真夜中、古い教会の塔のまわりをとんでいるのは、なんでしょう? 神秘的なすがたをしたその鳥は、メンフクロウ。自分の住みかに、もどろうとしているのです。 メンフクロウは、教会の塔のてっぺんや、納屋の屋根裏のような、見つかりにくい場所を巣にします。卵を産み、ひなを育てるのに、安全だからです。 親鳥は、子どもたちが自分でネズミを狩り、なわばりをもつようになるまで、大切に育てます。 さあ、絵本をひらいて、メンフクロウの暮らしをのぞいてみてください。夜行性鳥類は、どんな一年をすごすのでしょうか。 (裏表紙より) * 昔ばなしや童話の中では「森の長老」や「物知り博士」の役割を担うことの多いフクロウ。そのまなざしが何でも見通すように感じられるのでしょう。じっさい、フクロウは夜目が利き、聴覚もよく発達しています。その能力によって、草むらにひそむ小動物のかすかな動きを聴きとってつかまえることができます。 一般には、専門家の調査や高度な技術による撮影などを通してしか、フクロウの生態を知ることはできません。作者のトーマス・ミュラーさんは、可能な限り自分自身で観察をし、鳥類研究家に詳しい取材を重ね、膨大な文献や資料をも参考にしてこの絵本シリーズをつくりました。 読者には、絵本をひらいて鳥たちの姿を楽しんでもらうのはもちろん、鳥たちを取り巻く自然環境にも関心を向けてほしい。ミュラーさんの願いです。 【文と絵】 トーマス・ミュラー Thomas Müller 1955年ドイツ、デーベルン生まれ、ライプツィヒ在住。絵本作家、イラストレーター。学生時代にすでに自然科学の書籍の挿絵を描き、その後は医学書の挿絵も担当した。1990年代に最初の子ども向けの自然の本を出版。以降、30冊以上の絵本の出版にかかわる。その絵には動物たちへの敬意にあふれているとの定評があり、2016年にはドイツの読書推進協会から「児童対象専門書賞」を受賞している。 【訳者】 堀込-ゲッテ 由子(ほりごめ-げって ゆうこ) 上智大学ドイツ文学科卒業後、ミュンヘン大学獣医学科卒業。南ドイツ在住。訳書にマリア・ブルーメンクローン著 『ヒマラヤを越える子供たち』(小学館/2012年/「日本図書館協会」「全国学校図書館協議会」より「選定図書」に指定)、絵本『よわむしうさぎのココロンおうじ』(エディション・エフ/2017年)などがある。
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京都ほんやら洞の猫
¥1,650
著者 甲斐扶佐義 A5判 144ページ 定価:本体1,500円+税 ISBN 978-4-909819-04-8 2019年3月15日初版第一刷発行 ここには郷愁以上のものがある 京都のカウンターカルチャーの拠点《ほんやら洞》全焼から4年。 ほんやら洞の店主で、美女や京都の市井の人々の撮影にかけては定評のある写真家が、焼け残されたプリントとネガの山から救出した猫写真の数々をまとめた。 (カバー裏表紙より) * 『京都ほんやら洞の猫』は、京都が誇る市井の写真家・甲斐扶佐義さんの猫写真集です。 エディション・エフから本書を世に出せることに、大きな喜びを感じています。甲斐さんの被写体となった猫たち、子どもたち、京都の人々、そして風景。制作中、幾度となく写真の数々とにらめっこしては、感慨にふけりました。 「ほんやら洞」は甲斐さんがシンガーソングライター岡林信康さんらとともにオープンした喫茶店。学生はもちろん内外の芸術家や知識人が出入りし、二階では読書会など文化的な催しが開かれ、さまざまな活動の拠点にもなっていました。猫が住みつくようになってからは子どもたちも集まり、甲斐さんは、そんなほんやら洞の日常を撮り続けてきたのでした。 ところが、ほんやら洞は不幸にも4年前、火事で焼失。店に保管してあった膨大な数のネガやプリント、そればかりか準備中の著書の草稿までもが失われました。いったいどれほどの失意が甲斐さんを襲ったでしょうか。想像するのは容易ではありません。 でも甲斐さんはけっしてへこたれず、焼け跡から写真を救出し続けました。諦めず、根気よく、救出し続けたのです。 今回、整理したなかから猫の写真を集めて編集し、エディション・エフから刊行する写真集としてまとめてくださいました。 装幀はLily Design & Photoの浜田佐智子さん。浜田さんはブックデザイナーであると同時に、写真家・甲斐さんの有能なアシスタントであり、自身も写真家として写真集を刊行しています。 * ここで取り上げた写真は大別すると、ひとつは70年代の数年間のほんやら洞とその周辺の写真であり、もうひとつは90年代に子どもとともに出会った街猫の写真だ。 前者では、猫と猫好きの仲間や客とのやり取りのシーンを撮ったものが多い。後者は、90年代から2000年にかけてはからずも始まった「美女との猫さがし」で撮った猫が中心だ。 (あとがきより) 【著者プロフィール】 甲斐扶佐義(かい・ふさよし) 1949年大分市生まれ。68年同志社大学政治学科入学即除籍。 72年ほんやら洞を岡林信康、中尾ハジメらとオープン。77年写真集『京都出町』を出版。78年米国で個展。90年代の10年間、京都新聞紙上にフォト&エッセイを連載。2001年以降欧州各地で個展。2009年京都美術文化賞、2014年仏ジャン・ラリヴィエール賞受賞。2013~14年毎日新聞関東版にフォト&エッセイを連載。2019年2月現在「月刊ふらんす」(白水社) にフォト&エッセイを連載中。
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揺れて歩く ある夫婦の一六六日
¥2,420
著者 清水哲男 B5判ヨコ変型(182×210mm、厚さ17mm) 並製、192ページ 定価:本体2,200円+税 ISBN 978-4-909819-08-6 C0072 2020年4月15日初版第一刷発行 「がんかて笑(わろ)て死ねるんや」(本文より) 末期がんを宣告された父は、何もせずに死を待つという道を選んだ。もう、充分生きたと言って。著者は、父親に残された時間をつぶさに記録しようと決意する。市井の片隅で生きる無名の人間のひとりとしての父の最期を見届け、その父を最後まで支えた母の生きざまをも記録することで、生きる意味とは何かを自問する。両親の生活を接写し、言葉を書きとめてまとめた、ごくプライベートな写真文集でありながら、結果的に、「死をめぐる人々のありのままの姿」を普遍的に描いた一冊となった。 〈目次〉揺れて歩く ある夫婦の一六六日 揺れて歩く 日々訥々 宙ぶらりんの会話 生活の規模 いくつになっても主婦は主婦 宣告の日 がんかて笑て死ねるんや 父の誕生日 不在の予定 終の七日 惜別 日々訥々 取り残されて 錆びた刃先 あとがきにかえて ひとりで歩く * 〈出版社エディション・エフより〉 この『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』の出版にあたっては、著者が活動拠点としている鹿児島市で出版支援プロジェクトが立ち上がり、独自のクラウドファンディングによって多くのかたがたからの支援金が集まりました。ご支援くださったみなさまと、プロジェクトを遂行くださった著者ならびに著者の応援団のみなさんに心から御礼申し上げます。 原稿と写真を著者から受け取った当初は、「父の闘病と死」の事実に印象が支配されていましたが、編集制作の過程で幾度も読み直すうちに、これは紛れもなく、夫から妻へ妻から夫への恋文であり、父と息子そして母と息子それぞれの愛情往復書簡であると確信するに至りました。口下手な三者が最愛の人と過ごした濃密な時間の、写真と文章による記録。しかし単なる記録にとどまらない、読み手に自身の家族関係や生と死の意味を再考させる、モノトーンの絵巻物であるともいえます。ひとつの家族の濃密な時間を書物として封緘し、読者へ届けることの喜びを感じております。 なお、刊行予定時期に重なるように、新型コロナウイルスの感染拡大が全国に波及し、出版にともなうさまざまな企画を取り止めるに至りましたことを併せて記しておきます。 以下は、一連のイベント中止に際しての著者サイドからのステートメントです。エディション・エフも名を連ねてコメントを出しました。 ********************************* 【ご案内】 新型コロナウィルス感染拡大により、「揺れて歩く」上梓に関連する以下のイベントを中止または延期とさせていただきます。 ①4月14日 タカダワタリズム2020+出版披露の会@イパネマを中止に ②4月18日〜21日 清水哲男写真展「揺れて歩く」@スペースMuを状況改善までの延期に ③4月18日 金森幸介ライブ@スペースMuを中止に ④4月19日 大阪の仲間たちライブ@スペースMuを中止に それぞれいたします。 この件に関して清水哲男とエディション・エフ、「揺れて歩く」出版応援団事務局は、それぞれ以下のコメントを発表しました。 ============ 清水哲男の出版と写真展等の活動を 応援してくださるみなさまへ ============ 新型コロナウィルス感染拡大下のぼくの活動について 今この国では日に日に新型コロナウィルスの感染が拡大し、鹿児島でも感染者が確認されました。その一方で、メディアを通じて流れてくる情報をどこまで信じていいのかもわかりません。その結果、ぼくは東京や鹿児島、果てはこの国の中で起こりつつあることをどう受け止めていいのかわからないというのが正直な気持ちです。多くの人が、混沌の中で目に見えない恐怖に対する不安に身を縮めて、それでも生きなきゃと仕事と暮らしに向き合っているのだと思います。 そんな中、大勢の皆さんのご支援をいただき、ぼくの新刊「揺れて歩く」が刊行されます。そうしてその普及にあわせて、みんなで「生きること」を真ん中において、様々な議論を深め考えるプロジェクトを進める取り組みがはじまろうとしています。その中核のひとつとしていくつかのイベントを考えていました。そこに新型コロナウィルス感染拡大という状況が重なりました。 国は感染拡大防止策として不要不急の外出自粛を求め、専門家会議は密閉空間、密集場所、密接場所の「三密」を避けるようにとの提言をしています。しかし、鹿児島ではいまだ不要不急の外出の自粛を求められることはありません。当初ぼくは、新型コロナウィルスに対する闘いは、自分自身で徹底した感染防止策を実行した上で、ルーティンを淡々と続けることだと考えていました。すべてを自粛するのではなく、たとえば客足が落ちて困っているお店を順繰り回り飲み続けたり、集会や、イベント、ライブにも顔を出したり、公共交通機関もタクシーも普通に使ったりと。でないと、新型コロナウィルスに負けてしまうし、無責任で不誠実な国、厚生労働省をはじめとする行政システムの言いなりになってしまうことになる。それはぼくがこれまでカウンターカルチャーという周辺分野で生きてきたということにも関わることでした。 確かに現状起こりつつある検査体制の矛盾、予想される医師、病床数の不足、保健所機能の脆弱性などは、従来の政策の行き着くところとして推測されていたことで、それが新型コロナウィルスによって暴かれた側面はあると思います。そのことをおいて、ぼくたちに自粛を求め、果てに商品券をばら撒き、無利子とはいえ返さなければならない融資でお茶を濁し経済対策だと豪語する政府・行政は厳しく批判されなければならないと思います。 しかし今、ほんとうの敵は政府・行政ではありません。真の敵は新型コロナウィルスなのです。この敵を封じ込めるために、打ち勝つために、ぼく自身ができることを考えてみました。その結果、新刊上梓にあわせて予定していたいくつかのイベントを延期または中止しよう、あるいは実施の方法を変えようと思います。 ひとつは4月14日に予定していた鹿児島市東千石町イパネマでのタカダワタリズムと新刊披露の会を中止に、さらに4月18日から21日までの大阪市桃谷スペースMuでの写真展「揺れて歩く」と関連するライブを状況が落ち着くまでの延期にしたいと考えています。また、新刊披露の会は、SNSを活用した形での開催を目指します。 政府・行政に対抗する、批判することだけを目的にイベントを開催することで、感染のリスクをつくり出し、もし感染源となる場所をつくり出してしまうなら、それこそが非常事態宣言という制限と強制の社会を生み出す口実になるばかりか、真の敵新型コロナウィルスを利することになります。それだけはなんとしても避けたいと思います。 そもそもぼくは、生きて死ぬことをもっと自分の頭で考えようよという意味を込めて「揺れて歩く」を書きました。今がまさにその時だと思っています。そうして考えた結果、このような結論となりました。 しかし、どのイベントも遠来していただくゲストや、会場を提供していただく方の事情もあります。関わっていただく大勢の方の事情も含めて考えた苦渋の決断だとご理解ください。 みなさん、なにが大切か、なにをなすべきか、どう生きるか、そんなことをじっくり考えて行動しましょう。そうして新型コロナウィルスに打ち勝った時、あらためて集い楽しい時間を共有しましょう! 清水哲男事務所 清水哲男 ===== 皆さんとのつながりを信じて 新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、清水さんとじっくり対話を重ね、今回の決断にいたりました。いま社会のあらゆるつながりが試されています。私は、清水さんと、清水さんを応援するすべての皆さんとのつながりを信じて、今回のイベント延期を共に決断させていただきました。皆様、ご理解いただけますと幸いです。 「揺れて歩く」出版応援団事務局長 永山由高 ===== あなたの愛する人の時間のために、今は家に留まりましょう 新型コロナウイルスなどというものの到来は、飽くなき環境破壊を続ける人間の傲慢のひとつの帰結でしょう。私たちは、いきすぎた開発、いきすぎた実験、いきすぎた生産、果てはいきすぎた殺戮を繰り返しては自然界から大きなしっぺ返しを食らう、学習しない生き物です。とうとう目には見えないウイルスに足元をすくわれ、瀕死の状態です。とはいえ、それでも、長い時間をかけてこのウイルスを克服する日が訪れるに違いありません。ただし、そのあいだにはきっと大きな大きな幾万の犠牲を払わなければならないでしょう。幾千万もの人々が、大切な存在を突然奪われる悲しみと対峙しなければならないのです。 エディション・エフの新刊、清水哲男著『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』は、余命宣告を受けた父と寄り添う母の様子を撮影し続けた息子による記録です。約五か月半といえば、ひとつの家族の長い時間の中のほんのひとときに過ぎませんが、「いのちの期限」を切られた三者が互いにその生きざまを見つめ認め合う様子が凝縮されており、モノクロの写真と文章から伝わります。 本書の刊行に合わせて写真展、また著者を囲んでのトークイベント等が企画されていましたが、当面、それらいっさいが中止または延期されることになりました。ですが本書は予定どおり刊行されます。ぜひ、書籍を手にしてお読みいただきたいと切に願います。 人は、いつか必ず死にます。そして、思いどおりには死ねないものです。だからせめて、準備の時間がほしいのです。突然足元をすくわれて倒され、苦しめられて死にたくなんか、ありません。あなた自身と、あなたの愛する人の時間のために、今は家に留まりましょう。本屋さんにだけ、出かけてください。『揺れて歩く ある夫婦の一六六日』を買うために。 エディション・エフ代表 岡本千津 ************************************ 【著者】清水哲男(しみず・てつお) 1954年京都市生まれ。同志社大学文学部哲学及び倫理学科専攻卒業。 卒業後、国内はもとより世界各地を放浪。1980年頃より執筆活動をはじめる。 常に野に在り、市井の人々の暮らし、労働の現場に入って日常をともにすることで得た実体験を頼りに思考し、書き続けている。2000年頃より表現の手法として写真撮影をはじめる。2014年より鹿児島、大阪、京都で写真展を開催する。1997年より鹿児島市在住。 『少年ジェットたちの路地』(1994年、風媒社)、『種子島へ』(2000年、再海社)、『死亡退院』(2004年、南日本新聞社)、『月がとっても青いから』(2012年、中央アート出版)など著書多数。
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モンブラン
¥1,980
『モンブラン』 著者 ファビオ・ヴィスコリオージ 訳者 大林 薫 四六判 242ページ 定価 1,800円+税 ISBN 978-4-9908091-7-1 2018年7月20日初版第一刷発行 “ポケットに入れて、背中にかついで、心に思って、僕はモンブランを連れていく。” 突然の大惨事から10年以上を経て 記録と、記憶と、創作をからませて綴った 心の再生の物語。 1999年3月、アルプス最高峰モンブランのふもと、フランスとイタリアをつなぐトンネルで火災事故が発生。著者ファビオ・ヴィスコリオージの両親は、そのモンブラントンネル火災事故で帰らぬ人となったのです。突然の大惨事から10年以上を経て、ようやく書きあげた当時の衝撃、両親の思い出、家族の記憶……。著者自身の心の再生を綴った物語です。(原書の刊行は2011年) 突然、事故や災害の犠牲者、被害者遺族になった。愛する人々の死を信じられないまま、気持ちの整理がつかないまま、時間だけが過ぎてゆく。怒りや悲しみはぶつける先が定まらないまま、消化不良状態でからだのどこかに残っている……。 ヴィスコリオージは、なすすべもなくただ目の前のさまざまなことをやり過ごしきた、あの時、この時を綴りました。 忘れたようで忘れられない、癒えたと思っていた傷がまだ疼く。心のどこにも片づけることのできない思いを抱えている人に、読んでいただきたい一冊。 装幀家、司修氏による表紙・カバー・帯デザインです。 【著者】 ファビオ・ヴィスコリオージ Fabio Viscogliosi 1965年、フランス・リヨン市郊外ウランに生まれる。リヨン在住。小説家として本書を含む3作品を出版するほか、グラフィック・アーティスト、漫画家、ミュージシャンとしても活躍している。1990年代初めから現在まで漫画本、絵本をコンスタントに出版。リヨン現代美術館(2009年)、モントルイユ公立図書館(2016年)等各地で作品展を行っている。音楽活動では2002年と2007年に自身のソロアルバムをリリースしたほか、他ミュージシャンとのコラボレーションや映画音楽、朗読BGMなど幅広く手がけている。 【訳者】 大林 薫 おおばやし かおり 青山学院大学フランス文学科卒業。フランス語翻訳家。訳書にコリーヌ・ルパージュ著『原発大国の真実 福島、フランス、ヨーロッパ、ポスト原発社会に向けて』(長崎出版/2012年)、共訳書にアドニス著『暴力とイスラーム 政治・女性・詩人』(エディション・エフ/2017年)、モーリス・ルブラン著『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン 奇岩城』(角川つばさ文庫/2016年)などがある。 【モンブラントンネル火災事故】 「モンブラントンネル火災事故」は、1999年3月24日の火災発生から26日に鎮火するまでの3日間の惨事を指す呼称である。3月24日午前11時頃、トンネル内を通過中の冷蔵貨物トレーラーが燃料漏れにより爆発、たちまちトンネル内に火災が拡大する。激しい煙と高温のため多くの被害者はトンネル内シェルターにたどり着くことすらできず、結果、死者が39名に及ぶ大惨事となった。トンネルは事故後閉鎖され、修復と設備増強の工事、管理指揮系統の全面見直しと再構築を行い、約3年後に再び開通した。 事故現場のトンネル入り口付近には、事故の犠牲者の名を刻んだ慰霊碑が建立されている。
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核エネルギー大国フランス 「統治」の視座から
¥2,970
著者 セジン・トプシュ 訳者 斎藤かぐみ 解説 神里達博 A5判 284ページ 定価:2,700円+税 ISBN978-4-909819-05-5 2019年6月30日初版第一刷発行 《本書は世界最大の核利用国フランスにおける原子力とデモクラシーとのつながり、いやむしろ落差に関する論考である。フランスの核事業複合体に対する公共的・社会的な批判活動、その変遷、高揚と低迷、再起を扱い、それが過去数十年にわたり事業者・国家・規制機関に対して、どのような問題を提起したかも視野に入れている。(中略)核事業をめぐる議論は著しい鎮静化の段階に入っていた。90年代終盤から〔核事業〕推進勢力は、気候変動に立ち向かう環境派というイメージを巧妙に打ち出しており、この新たなイメージ戦略が大きく効いていたのである。》(本書p.14-15、「日本語のための序章」より) 科学史家・科学社会学者セジン・トプシュはフランス国立学術研究センター(CNRS)研究員。本書の原著書は、2011 年 3 月以前にトプシュが完成させていた博士論文が骨子となっています。出版へ向け最終段階に入っていたそのときに、東日本大震災が起こり、福島第一原発事故が発生しました。トプシュは日本にかんする論考をさらに加筆し、2013 年、スイユ社から出版されました。 本書日本語版は、かねてからこの分野に関心をもつ翻訳家、斎藤かぐみさんの熱意が出版の実現を果たしたといえます。論文とはいえ、広く一般の人びとにも読まれるよう、文体や訳語に読みやすさを考慮しました。 さらに、 千葉大学教授で科学技術社会論の神里達博さんが、本書の内容を私たちの身辺にぐっと近づける解説を執筆してくださいました。 私たちは、あの未曽有の惨事を「無かったこと」にしようとしてないでしょうか? 五輪や万博があの最悪の人災を帳消しにできるとでも? エディション・エフは、フランスの核事業推進史とそれに対する批判活動・反対運動の軌跡をたどり検証した本書は、世界唯一の被爆国でありながら核保有大国にすり寄り、国土を原発列島化させているこの国の人びとにとって重要な参考文献になると考え、出版を決めました。 人間の命が代々継がれていくものである以上、広島も長崎もまだ終わってはいません。第五福竜丸も、ビキニ環礁も、チェルノブイリもけっして終わることはありません。福島は、言うまでもありません。 【目次】 日本語版のための序章 序論 第1部 1970年代の強硬な核事業――抗議活動を意に介さない国威発揚 第1章 1974年のメスメール計画の誕生 1.石油危機以前の大きな胎動 2.大量消費社会の「安価なエネルギー」なる触れこみ 3.「エネルギー自立」の実態 4.リスク社会の創出へ 第2章 抗議するフランス――原子力への幻滅 1.草創期のアクター・ネットワーク――メスメール計画以前 2.オイルショックから、原発ショックへ 3.科学者たちの批判活動 第3章 エコロジスト活動家たちの監視と馴致 1.穴だらけの公衆意見調査 2.適正化は後づけで 3.経済による統治 4.情報提供および秘密化による統治 5.社会科学の専門要員 6.世論調査による統治 7.批判活動に対する統治の「新たな精神」 第2部 チェルノブィリに続く10年間――専門評価と透明化へ、誘導された批判活動 第4章 1986年4月26日の直後――秘密化による統治 1.「国境で止まったプルーム」 2.秘密主義の規範化/常態視 第5章 衣替えした抗議活動 1.チェルノブィリ後の推進体制 2.批判活動の専門科学化――CRIIRADとACROの誕生 3.対抗調査というアクション 4.「透明化」の運用――ラ・アーグ情報委の事例 第6章 ニュークスピーク――用語による統治 1.端緒は冷戦期 2.神聖化から脱神聖化へ 3.チェルノブィリ後の核用語 第3部 1990年代以降――「参加」と「環境主義」の至上命令 第7章 汚染地における「参加型デモクラシー」 1.チェルノブィリという「人類規模の衝撃」 2.エートス・プロジェクト――汚染地での暮らし方、教えます 3.事故後管理の新たなパラダイム 4.そこに異議あり 第8章 原発大国フランスにおける「専門式デモクラシー」 1.ラ・アーグの白血病問題 2.旧ウラン鉱山の汚染問題 3.「グリーン」な核エネルギー vs 「脱核ネット」 4.欧州新型炉に関する公衆討議 第9章 ニジェールにおけるアレヴァのウラン事業 1.ニジェールの逆説 2.立ち上がったアーリット市民社会 3.CRIIRADと「シェルパ」の現地調査 4.フランスで論争が再燃 5.「アギル・インマン」と鉱山会社の間の緊張 6.「植民地化やめろ!」 7.排除されるニジェールの社会運動 終章 訳者あとがき 解説 【著者】セジン・トプシュ(Sezin Topçu) 科学史家・科学社会学者、国立学術研究センター(CNRS)研究員、社会科学高等研究院(EHESS)マルセル・モース研究所社会運動研究センター所員。ボスポラス大学卒業後、ストラスブール大学を経て、社会科学高等研究院(EHSS)で博士号取得。技術分野・医療分野におけるイノベーションの諸々の統治形態を研究テーマとする。とりわけ注目している現象が核エネルギー化および医療化、批判勢力として注目しているのが環境運動およびフェミニスト運動、研究対象とする国がフランスおよびトルコである。 【訳者】斎藤かぐみ(さいとう かぐみ) Institut Européen des Hautes Études Internationales 修了(学位取得論文« Le droit de propriété intellectuelle. Les enjeux économiques et commerciaux de la technologie »)。株式会社東芝を退職後、『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語版を創刊、2011年末まで発行人を務める。国際基督教大学Othmer記念科学教授職付き助手(STS担当、非常勤)を経て、フランス語講師(非常勤)。訳書に『力の論理を超えて』(共編訳/NTT出版/2003年)、オリヴィエ・ロワ著『現代中央アジア』(白水社/2007年)、アンヌ=マリ・ティエス著『国民アイデンティティの創造』(共訳/勁草書房/2013年)他。 【解説】神里達博(かみさと たつひろ) 東京大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。三菱化学生命科学研究所、科学技術振興機構、東大・阪大特任准教授などを経て、現在、千葉大学国際教養学部教授。朝日新聞客員論説委員、阪大客員教授等を兼任。博士(工学)、専門は科学史、科学技術社会論。著書に『食品リスク――BSEとモダニティ』(弘文堂/2005年)、『文明探偵の冒険――今は時代の節目なのか』(講談社現代新書/2015年)、『ブロックチェーンという世界革命』(河出書房新社/2019年)、共著に『没落する文明』(集英社新書/2012年)などがある。
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神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語
¥2,200
著者 ヴェロニク・タジョ 訳者 村田はるせ 四六判 216ページ 定価:2,000円+税 ISBN978-4-909819-06-2 2019年10月25日初版第一刷発行 【【【!!!最新ニュース!!!】】】 【著者ヴェロニク・タジョさん来日決定】 【【【!!!2023年3月初め!!!】】】 もともと2020年の夏に予定されていた本書の著者ヴェロニク・タジョさんの来日。新型コロナウイルスの大流行という厄災が世界中を覆って、やむなく中止、無期限延期となっていました。その後、状況に鑑み、来日のチャンスが模索されてきましたが、ようやく、ようやく、ようやく!!!叶います!!! 嬉しいです。嬉しい! ヴェロニク・タジョさんに会える! 東京での講演、京都での「囲む会」を企画しています。SNS等で告知していきます。どうぞご期待ください。 ※来日記念講演(東京大学)およびお話し会(堺町画廊)のイベントは終了しました。 * 【【【!祝!】】】 【ヴェロニク・タジョさん フランス文化通信省より芸術文化勲章コマンドゥールを受章】 2021年秋、とても喜ばしいニュースが伝わってきました。 『神(イマーナ)の影』著者のヴェロニク・タジョさんにフランスから芸術文化勲章が授章されたのです。コートジヴォワール人を父に、フランス人を母にもつタジョさんはつねにフランス語で発信し、作品を創り続けてきました。その功績をたたえる授章。ほんとうに素晴しいことです。彼女の仕事を評価するフランスにも拍手。 エディション・エフも、ささやかですがこれを祝して単行本の帯を新調しました。 画像を切り替えてご覧ください。 * 《わたしはある前提とともに出発しようとしていた。それは、起こったことはわたしたちすべての人間にかかわりがある、というものだ。ルワンダのジェノサイドは、アフリカの黒い中心で孤立し、忘れ去られた一国民だけの問題ではない。大騒ぎし、ただ激高したあげくにルワンダを忘れるのは、片目を失うこと、声を失うこと、ハンディを負うことだ。暗闇を、延ばした両手でさぐり、ふいに未来に衝突しないよう歩くようなものだ。》(本書p.10) ヴェロニク・タジョはコートジヴォワール人の作家、絵本作家、児童文学研究家。母の国フランスで生まれ、父の国コートジヴォワールで育ち、パリのソルボンヌ大学で学び、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めました。絵本作家として絵本を多数世に出し、そのなかには自ら絵とテキストの両方を手がけた作品もあります。児童文学研究家としては、アフリカの子どもたちに母語で語り継がれる自分の国の物語を残すため、マリやベナン、チャドやルワンダで絵本制作のワークショップを展開もしました。 長い植民地支配から抜け出した国々にとって、自分たちの歴史を読み直すため、自分たちの物語を紡ぎなおすためには、旧宗主国から与えられる書物だけでは不十分なはずです。「わたしは何者か」を自問するためには、自分たちの言葉で考え、読み、書く必要があったでしょう。そしてそれを子どもたちが受け継いでいく必要があったでしょう。 こうした背景から、タジョは、アフリカの子どもたちのための絵本づくりに打ち込んだのでした。 タジョにとって1994年にルワンダで起きた民族対立・大量虐殺は目を逸らすことのできないとてつもない出来事でした。タジョ自身の故国コートジヴォワールにおいても、国民間の対立や外国人排斥の動きはすでにあり、他人事(ひとごと)と済ませられない危機感をもって、1998年、タジョはルワンダへ向かったのでした。 2度のルワンダ訪問を終え、その見聞をもとに考察し、紡ぎ出した物語をタジョは2000年、フランスで出版しました。L'Ombre d'Imana(イマーナの影)。かねてよりアフリカの児童文学事情を研究し、ヴェロニク・タジョとも接触を図っていた村田はるせさんがこの本に注目し、研究対象として読み込んでいました。 その村田さんが、あるとき大阪でアフリカ絵本の展示と読み聞かせの会を開くということを耳にし、エディション・エフはいそいそと出かけ、村田さんにお話をうかがうことができたのでした。 人類史上にはけっして消すことのできない苛酷な事件が、悲しいことに幾度も起こっています。ルワンダのジェノサイドは間違いなくそのひとつに数えられます。数多くの検証の書、贖罪の声を集めたルポルタージュなどが出版され、日本語での出版もされています。それでも、このことについてわたしたちはやはり知らなすぎるのではないか、センセーショナルな一事件としてのみ扱ってきていないか。エディション・エフは、2000年刊行の原書ながら、いまこそ本書を広く共有したいと考えました。負ってしまった深い傷はなかなか癒えないこと、憎しみは何も生まないことを知り、安易にヘイトスピーチに走る現在の風潮に一石を投じたいのです。もう一度ルワンダを見直すことで、私たち自身の社会にかんする考察にもつながると思い、この本を世に送り出します。 『神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語』。 本書のカバーの写真は、訳者の村田はるせさんがルワンダで撮影された写真を使わせていただきました。 【目次】 初めてのルワンダ 南アフリカ、ダーバンにて――海岸沿いの駐車場で出会った男/ヨハネスブルグからパリへ/パリ経由でブリュッセルへ/サベナ五六五便に乗る/キガリの街を歩く/ニャマタの教会/展示された武器/ンタラマの教会/トニア・ロカテッリ/ブタレへの道/王都ニャンザ/ギタラマを通過する/ビュンバにて――クブウィマナ一家訪問/キガリの弁護士/途方にくれる男/小説家/コンソラートに起きたこと/プロジェクトリーダー/仮面を蒐集する男/ジャーナリスト/キガリ、アマホロ・スタジアムに近いミギナ界隈にて――ネリーのこと/キガリで耳にした物語/最初の帰還 死者たちの怒り 彼の声 アナスターズとアナスタジー そのとき、そこにいなかった人々 カール/セトとヴァランティーヌ ルワンダ再訪 サベナ五六五便/キガリ――キミフルラ、コテ・カディヤックにて/キチュキル・コミューン内のカガラマ・セクターにて/〝ツチにしか見えない〟ザイール人の女/ノングウェでの巡回軍法会議――旧政府軍少尉エドゥアール・ムジャンベレの裁判/牧師/リリサの刑務所、七千人の囚人/死刑囚・終身刑囚ブロック/ブロック一五――二百五十三人の女性囚/フロデュアル、殺人者となった若い農夫/ジョゼフィーヌ/最高の七人/フツ・パワー〝フツの十戒〟/ルワンダ南西部、キベホ・キャンプで起きたこと――一九九五年四月二二日/シスター・アガト/二度めの帰還 訳注・参考文献 日本語版のためのあとがき ヴェロニク・タジョ 訳者あとがき 【著者】ヴェロニク・タジョ Véronique TADJO コートジヴォワール人の父とフランス人の母のあいだに1955年パリに生まれ、父の国の経済首都アビジャンで育つ。詩人、小説家、画家、児童文学作家・研究家。現在は拠点をロンドンとアビジャンに置く。パリのソルボンヌ大学でアメリカ黒人文化を研究し、博士論文を提出。1983年に詩集Laterite(ラテライト)が文化技術協力機構文学賞を受け、以降作家として活動する。そのかたわら、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、2007~2015年には南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めた。児童文学作家としては自ら挿絵を描くこともあり、マリやベナン、チャド、ルワンダなどで絵本制作のワークショップを開催し、アフリカの児童文学発展に貢献した。 最新の小説作品は2017年刊行のEn compagnie des hommes(人間たちとともに)。邦訳作品は本書『神(イマーナ)の影』のほかに絵本『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(村田はるせ訳、風濤社、2018年)がある。 【訳者】村田はるせ Haruse MURATA 東京外国語大学地域文化研究科博士後期課程修了(博士(学術))。アフリカ文学研究者。研究対象はサハラ以南アフリカのフランス語を公用語とする国々の文学。西アフリカで出版された絵本の紹介と展示も全国で展開している。アフリカについて学ぶ「クスクス読書会」主宰。著書に『アフリカ学事典』(共著/昭和堂/2015年)。訳書に『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(ヴェロニク・タジョ文、ベルトラン・デュボワ絵/風濤社/2018年)。
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暴力とイスラーム 政治・女性・詩人
¥2,640
著者 アドニス 聞き手 フーリア・アブドゥルアヒド 監訳 片岡幸彦 翻訳 伊藤直子・井形美代子・斎藤かぐみ・大林薫 四六判 約250ページ 定価:2,400円+税 ISBN978-4-9908091-3-3 2017年6月1日初版第一刷発行 現代アラブ世界を代表する詩人アドニスと、精神分析学者フーリア・アブドゥルアヒドの対談。イスラームとアラブの諸問題を政治を切り口に、コーランの文言や女性の地位、詩や芸術の存在意義に至るまで語り尽くす。ムスリム(イスラーム信徒)とアラブ人と彼らを取り巻くすべての人びとに突きつける渾身のメッセージ。 “イスラームに内在する暴力がムスリムたちにどれほど影響を及ぼしているか。知性もさることながら、人間性そのものさえ損ないかねないほどなのです。” “イスラームは男女両性の在り方を歪曲し、愛を否定し、女性的自我と男性的他者との関わりを、つまり、あらゆる人間関係を捻じ曲げてしまったのです。” “彼らはただひと筋に信じる以外、ないのです。こうして暴力は神聖化され、公称の「歴史」もまた、神や預言者によって創造されたことになりました。”(本文より) 【目次】 日本語版への序文 止むことなく破壊は続く 公称の「歴史」を読み直す イスラームの成立とその精神 コーランには何が書かれているのか 女性、女性性、女性的なるもの 「イスラム国」を衝き動かすもの アラブに執着し続けるヨーロッパ 芸術と宗教、神話と宗教 詩は言葉と戒律の狭間で 真正アラブ・イスラーム史の復権のために 「記憶」から人々を救うために 結語 本質主義に抗して 【著者紹介】 アドニス 1930年シリア北部ラタキア県生まれ。現代アラブ世界を代表する詩人。本名はアリ・アフマド・サイード・イスビル。父親の教えでコーランはもとより幼少時から詩に親しむ。ダマスカス大学で哲学を専攻。1955年シリア国民党弾圧にともない、党員とみなされて6か月間投獄される。釈放後レバノンへ移住し、ベイルート大学で博士号取得。1960~61年のフランス留学を経て、ベイルート大学で教鞭を執る。1980年、フランスへ亡命、在住。アラビア語で詩を書き続け、精力的に詩集を発表、各国語に翻訳されている。 フーリア・アブドゥルアヒド パリ第七(Denis Diderot)大学准教授、精神分析学者。専門分野における自身の著作のほか、アラビア語からフランス語への翻訳者として主にアドニスの著書の翻訳を多数手がける。
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ジャーニー 国境をこえて
¥2,200
『ジャーニー 国境をこえて』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 【特報!】 著者のフランチェスカ・サンナさん、来日! 2023年10月、大阪で講演とワークショップが開催されます! 10/7(土)13:30~16:00 大阪府立中央図書館(東大阪市) 国際講演会「イタリアの絵本作家フランチェスカ・サンナ、自作を語る」 定員60人(先着順) 参加費1000円 10/8(日)13:00~16:00 大阪府立中央図書館(東大阪市) ワークショップ「フランチェスカ・サンナさんと絵本をつくろう!」 定員 小学生30人(先着順) 参加費500円 両日とも、申し込み・問い合わせはこちらへ ⇒ 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団 http://www.iiclo.or.jp/ ********************** 『ジャーニー 国境をこえて』 作 フランチェスカ・サンナ 訳 青山 真知子 タテ215mm×ヨコ286m 44ページ 定価:本体2,000円+税 ISBN 978-4-908214-10-3 2018年9月15日 第1刷発行 ★★2017年アムネスティCILIP特別賞(ケイト・グリーナウェイ賞)★★ ★★全米イラストレーター協会ゴールドメダル★★ ★★エズラ・ジャック・キーツ賞次点★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第24回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉 推薦文】 「ただいま」といえる故郷はありますか? 戦争が奪うのは命だけじゃない、笑顔も居場所も奪った。 それでも彼らは、そして私も生きようとしている。 ―――――サヘル・ローズ(タレント・女優) * 美しい色彩、現代的なタッチ、構図の取りかたやデフォルメのしかたに若さのにじみ出る、躍動感の溢れる絵が魅力です。どんな楽しいお話の絵本なんだろう?と想像させる力があります。けれど、この絵本に描かれるテーマは、難民。 * 絵本の冒頭です: 《ふるさとの町は、海がちかい。 夏になると毎週のように、家族そろって海へいった。》 (中略) 《戦争がはじまったんだ。 くる日もくる日も、こわいことがおこって、 あっというまに、めちゃくちゃになった。》 《そして、ある日、戦争は、とうさんをうばった。》 * おかあさんと二人の子どもは途方に暮れます。 あるとき、おかあさんは友達から「よその国をめざす」という話を聞きます。 それでおかあさんは、自分もそうしよう、子どもを連れてここを出よう、と決意します。 《「安心してくらせるところよ」》 《「わたしたちもいきましょう。もう、おびえてくらさなくてもよくなるわ」》 親子3人の長い長い旅が始まりました。危ない危ない旅。どれほど想像をたくましくしても、その苦しみと恐怖に思い至ることは、私たちにはできません。 おかあさんは平静を装い、「すごいぼうけんができる」なんて言って、子どもたちの不安を取り除こうと懸命です。 そして、絵本の中では、どうにかこうにか、旅の終わりが近づいて――。 《いっしょにここまでこられて、ほんとうに運がよかったと、かあさんがいう。》 《安心してくらせるところへ、たどりつけますように。 そこが、新しいふるさとになってくれますように。》 * サヘル・ローズさんの推薦の言葉を読んだ時、岡真理さんの著書『記憶/物語』を思い出しました。岡真理さんはアラブ文学研究者で京都大学の教授です。 本書の最後のほうで、岡さんが、自身の友人でユダヤ系フランス人の女性にインタビューをした時のことが綴られています。 その女性の両親はユダヤ系ポーランド人で、ホロコーストを命からがらなんとか生き延び、新生国家イスラエルでその女性ら子どもたちを産みました。その後家族はフランスへ移住。女性は11歳でフランス国籍を取得しました。その後、日本人と出会い結婚し、日本に住んでいます。 岡さんは、生まれたイスラエルと10代を過ごしたフランスと、どちらを故郷ととらえているのだろう、という気持ちで、「あなたの祖国はどこ?」と尋ねました。すると女性は、長い沈黙と逡巡ののち、「……ポーランドかな」と答えるのです。 戦争がなかったら、ヒトラーがいなかったら、なにごともなく、彼女はポーランドで生まれ育っていたはずなんです。 女性の心に去来するもの……。想像を絶します。 * 「ふるさと」と呼べる「居場所」のあることの、なんと貴重なことかと思います。 そして、仮にそう呼べるものを失くしたとしても、生き抜いていかねばと踏ん張り、生き抜いていきたいと希望を捨てない、人間の命が誰にあっても等しく輝いていることを、思い知ります。 『ジャーニー 国境を越えて』は、「かあさん」の表情が秀逸です。ぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 フランチェスカ・サンナ Francesca Sanna 1991年、イタリアのサルデーニャ島生まれ。州都カリアリをはじめとし、様々な国でイラストレーションを学ぶ。スイスのルツェルン応用科学芸術大学で修士課程を修了。2016年にイギリスで発表された本作は、ケイト・グリーナウェイ賞候補から選ばれるアムネスティCILIP特別賞ほか、全米イラストレーター協会ゴールドメダル、エズラ・ジャック・キーツ賞次点など、名だたる賞を受賞。これまで20か国語に翻訳されており、世界的に注目されるデビューとなった。スイス、チューリッヒ在住。 〈公式サイト〉https://francescasanna.com/ 【訳】 あおやま まちこ 青山 真知子 1951年生まれ。2004年から灰島かり氏の絵本翻訳講座を継続して受講、講座終了後も仲間と子どもの本の翻訳を楽しんでいる。現在は文芸翻訳講座に通う。本作で第24回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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たびネコさん ぐるりヨーロッパ街歩き
¥1,584
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『たびネコさん ぐるりヨーロッパ街歩き』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ケイト・バンクス 絵 ローレン・カスティーヨ 訳 住吉千夏子 タテ235mm×ヨコ260mm 44ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-06-6 2016年9月30日 第1刷発行 2017年1月10日 第2刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第22回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「あ~いいなあ。うらやましいなあ。 ネコさんみたいに、暮らすように旅がしたいな。」 ―――――中島京子(作家) * 「たびネコさん」というタイトルどおり、ネコさんが旅をします。 でも、ネコさんはスーツケースに着替えをつめたり、なんて旅支度はしていません。 いつものとおり、好きな場所から場所へ、歩くだけ。 中島京子さんの推薦の言葉どおり、暮らすように、無意識に旅をしているんです。 うらやましいですね、ほんとに! * 旅の出発はローマから。 絵本の冒頭です: 《さあ、おきて ネコさん。日の出だよ。 みてごらん、一日が みじたくをして 街の色。 茶色、黒、こげた茶色に ねずみ色。》 2ページ進んで: 《自動車 ぶるるん、のど ごろろん。 どこでも へいきな たびネコさん。 ねえねえ ネコさん、どちらまで?》 * 自家用車で旅行に出かける家族連れのクルマにちゃっかり乗り込んで、たびネコさんはローマをあとにします。たびネコさんは、この家族の飼い猫ではないのです。だから行く先々で勝手に降りて、好きに街を散策?します。 毎回毎回、この家族のクルマに乗り込むのではなく、船に乗ったりトラックに乗ったり列車に乗ったりと、なかなか旅慣れた様子を見せてくれます。 《ねえねえ ネコさん、どちらまで?》 このフレーズ(またはよく似たフレーズ)が繰り返され、ネコさんの旅が続きます。 * ローレン・カスティーヨさんの絵は優しく穏やかで、ヨーロッパ各地のおなじみの風景を描いていながら、たびネコさんがそこにいるだけで、なんだか初めての場所のように見えたり、あるいは、懐かしく郷愁を誘う風景に感じたりもします。行ってみたくなる。また訪れたくなる。読む人をそんな気持ちにさせます。 * ケイト・バンクスさんの巧みな構成で、それとは知らず旅ガイドの役割を果たす「たびネコさん」と一緒に、読者はヨーロッパの街歩きを楽しめます。巻末に、たびネコさんの訪れた各国の街についての解説も付いています。抜かりなし! 文章も、歌うように楽しめます。 きっと原文も韻を踏んだ、リズミカルで詩的な文章なのでしょう。 《せまい通りを どうどう歩き、 ためいき橋では いそぎ足。 広場の ハトを からかって、 「仮面が あったら いいのにニャ」》 (イタリア、ヴェネツィアのページより) * あれれ、今ネコさんはどこにいるかな? あらら、ネコさん、今度はどこに行くのかな? そんな会話をしながら、子どもたちと一緒に読んで、楽しめる絵本です。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ケイト・バンクス Kate Banks アメリカ・メイン州に生まれ育つ。コロンビア大学大学院にて史学を専攻。絵本からYAまで多数の児童書作品を手がけ、『おつきさまはきっと』(講談社)でボストングローブ・ホーンブック賞、“The Night Worker”(未訳)でシャーロット・ゾロトウ賞を受賞。『ねこくん、わが家をめざす』(BL出版)、『こぎつねはたびだつ』(ブロンズ新社)、『ぼくたちの相棒』(あすなろ書房)など邦訳も多数。イタリア人の夫との結婚を機にローマに移り住み、現在は南フランスで家族と暮らしている。 【絵】 ローレン・カスティーヨ Lauren Castillo アメリカ・ニューヨーク州生まれ、メリーランド州育ち。メリーランド美術大学在学中のイタリア短期留学を糧とし、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツで美術学修士号を取得。“Nana in the City”(未訳)にて2015年コルデコット賞オナーに選ばれる。日本で紹介されている作品に『サッカーがだいすき!』(岩崎書店)、『アルフィーのいえで』(ほるぷ出版)がある。“That's Papa's Way”(未訳)でケイト・バンクスと初めてコンビを組み、本書の誕生につながった。カリフォルニア州ロサンゼルス在住。 【訳】 住吉千夏子 すみよし ちかこ 1984年島根県生まれ、広島県育ち。広島大学総合科学部・京都大学大学院農学研究科卒。社会人経験後、語学への強い思いからイギリスのリーズ大学大学院に留学、応用翻訳を学ぶ。現在、ドイツ・ケルンに住む。本作で第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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おやすみなさい トマトちゃん
¥1,232
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『おやすみなさい トマトちゃん』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 エリーザ・マッツォーリ 絵 クリスティーナ・ペティ 訳 ほし あや 訳 タテ256mm×ヨコ205mm 36ページ 定価:本体1,400円+税 ISBN 978-4-908214-09-7 2018年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第24回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「最後のページをとじると、6歳の娘は「ごちそうさま!」と、にっこり。 アニータといっしょに、トマトちゃんとの時間を楽しんだみたいです。」 ―――――齊藤千恵さん(カゴメ株式会社 広報グループ) * 表紙は全身で「トマトなんか嫌い!」「トマト食べたくない!」を表現しているのに、タイトルは「おやすみなさいトマトちゃん」??? いったいなにがどうなって「おやすみなさい」にたどりつくのか? 興味津々となりませぬか?(笑) カゴメ株式会社の広報担当さんから帯文もらってらっしゃるのが、またいいですね! つまり……トマトを食べたくなるんですよ! * 絵本の冒頭です: 《アニータ! わがままは いいかげんに して! トマトを もって あっちに いってなさい。 ぜんぶ たべおわるまで もどってきちゃ だめよ!》 《トマトを たべるなんて むりってば むり! わたし、このトマト、ぜったいに たべないから! あしたに なるまで もってるもん。》 * この絵本の主人公アニータは、もうひとり(?)の主人公「トマトちゃん」をもって、自分の部屋でトマトちゃんと遊んでいるうちに……さて、どうするでしょう? 《かわいいトマトちゃん、 いいこ いいこ してあげる。 ゆーらゆーら してあげる。》 《トマトちゃんは ねむたくて しかたがないのね。 わたしは おなかが すいて しかたがない。》 * 「わたし」アニータは線画で、「トマトちゃん」は写真で表現されています。そして背景は写真や図案を用いたコラージュ。理屈で考えるとミスマッチっぽい技法が、絵本の中ではシンプルに連携して「トマトおいしそう!」という気持ちにさせます。面白い作品です。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 エリーザ・マッツォーリ Elisa Mazzoli 1973年イタリア、チェゼーナ生まれ。作家。1996年より子どもの本の作家として活躍するかたわら、イタリア各地で読み聞かせ、芝居、ワークショップなど、児童・教員向けのイベントを多数開催。2014年に差別をテーマにした “Noi”(未邦訳)でジュリット賞(イタリア、ビトリット市主催による児童文学賞)を受賞。翌年には、同書が国際児童図書評議会トロント支部の障害児図書推薦リストの1冊に選ばれる。4児の母。 【絵】 クリスティーナ・ぺティ Cristina Petit 1975年イタリア、ボローニャ生まれ。作家、イラストレーター。幼稚園のほか小中学校などでの教員体験をもとに、子どもの本を多数手がけている。イラストと写真を愛する3児の母。人気ブロガーでもある。https://blog.libero.it/maestrapiccola/ 【訳】 ほし あや 星 文 1971年横浜市生まれ。テンプル大学ジャパン卒業後、イタリアに移住。イタリア企業での翻訳業務などを経て、日本の会社からの依頼で、英語・イタリア語での調査などを行っている。2児の母。イタリア、ボローニャ在住。本作で第24回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
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こねこのジェーン ダンスだいすき!
¥1,408
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『こねこのジェーン ダンスだいすき!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 バレリー・ゴルバチョフ 訳 あらいあつこ タテ286mm×ヨコ222mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-02-8 2015年8月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第21回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉 推薦文】 「この絵本を読んだみなさんの心に バレエの楽しさとお友だちとの 大切な絆のあたたかさが伝わりますように。」 ―――――森下洋子(松山バレエ団 プリマバレリーナ) * 生まれたときからずっと踊ってる、こねこのジェーン。 ほんとうに踊るのが大好きな、こねこのジェーン。 ステップを踏んだりくるくる回ったりするジェーンの楽しそうな様子、嬉しそうな顔には、絵を見ているだけでこちらの頬も、緩んでしまいます。 ところで、日本バレエ界の至宝、森下洋子さんの推薦の言葉には、 「お友だちとの大切な絆のあたたかさ」 とあります。 ということは、この絵本は……? * 絵本の冒頭です: 《こねこのジェーンは ダンスが だいすき。 まいあさ ぴょんと とびおきて、 いちにちじゅう バレリーナみたいに おどっています。》 (中略) 《あるひ、おかあさんは「バレエを はじめてもいいころね」と ジェーンを バレエスクールに つれていってくれました。》 * おお、とうとう始まったぞ、ジェーンのバレリーナへの道! 苦難を乗り越えて、あの華やかなステージに立つのね、ジェーン! ……というお話では、なさそうですよね。 初めて行ったバレエスクール。先生の言葉に、ジェーンはがぜん、はりきります。 だから、仲良しのカエルのケロくんが、 《どこにいってたの? ずーっと まってたんだぞ! サッカーしようよ」》 と声をかけてくれても、バレエの練習で忙しいからと、ジェーンは断ってしまいます。 なら一緒に踊ろうというケロくんに、そんなのバレエじゃない、なんて言うジェーン。怒ってそっぽを向く、ケロくん……。 ほかのお友だちも寄ってきて、いつしか好き好きに踊り始めるのですが、ジェーンはひとり離れて、くるくるとバレエの練習。やがておかあさんがどうして一人でいるの、と声をかけます。ジェーンははじかれたように飛び出して……。 * 踊るって、体を動かすって、とにかく無条件に楽しいもの。 腕を振り、足を上げ、飛び跳ねて、寝転んで。 これらの動きはバレエにも、ジャズダンスにも、ヒップホップにも、歌舞伎や能の舞にもあります。だから、いいんですよ、なんでも。動こう、動こう。子どもと一緒に読んだらそのあとはしぜんと一緒に動きたくなる、そんなお話です。 そして、この、ジェーンのお母さんが地味にかっこいいんですよね。 絵本を最後まで読んでくだされば、わかります。 元気に遊ぶ子どもたちを、優しくおおらかな気持ちで、そして無理せず、見守っていきたい。そんなふうに思わせてくれる絵本なのです。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 バレリー・ゴルバチョフ Valeri Gorbachev 1944年、ウクライナのキエフ生まれ。キエフ芸術アカデミー卒業。雑誌イラストレーターを経て、絵本作家となる。ソ連崩壊後、1991年に米国へ移住。米国でのデビュー作『おかあさんがいちばん』(講談社)以降の出版点数は50作を超える。水彩とインクを用いた明るい画風と生き生きとしたキャラクター描写で、世界中に多くのファンをもつ。邦訳作品は他に『ゆうびんやさんおねがいね』(徳間書店)、『クリストファーのしあわせないちにち』(偕成社)、『ほら、ぼくペンギンだよ』(ひさかたチャイルド)など多数。家族とともに、ニューヨーク市ブルックリンに暮らす。 【訳】 あらいあつこ 新井敦子 東京都生まれ。上智短期大学英語科卒。イギリスで6年間暮らす。帰国後、英会話講師、通訳ガイドを経て、翻訳講座に通っている。第21回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。