-
とびっきりの おむかえ
¥1,056
★★ご愛顧に感謝し20%OFFセール実施中★★ (ご注意:送料はかかります) (在庫限りです) 『とびっきりの おむかえ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ニコラ・チンクエッティ 絵 ウルスラ・ブッヒャー 訳 やまね かずこ タテ216mm×ヨコ216mm 32ページ 定価:本体1,200円+税 ISBN 978-4-908214-04-2 2016年2月28日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第20回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「寂しさと不安のなか、 約束を信じる 子どもの想像力―― この絵本には愛があるね!」 ―――――セイン・カミュ(タレント) * 迎えに来てくれるお父さんお母さんあるいはそのほかの誰でも、その人が来るまでの時間って子どもにはものすごく長い長い時間なんでしょうね。 『とびっきりのおむかえ』は、いっこうにお迎えの大人の現れない待ちぼうけのジョバンニが、猫や犬や鳩などを相手に想像をふくらませる……というお話。 子どもはお話づくりの名人ですし、現実逃避の名人でもあります。 * 絵本の冒頭です: 《ギギーッ。ようちえんの もんが あきました。 こどもたちは いっせいに もんのほうを みます。 おかあさん、おとうさんたちは だれよりも はやく こどもの かおが みたくて、 おしあい、へしあい、おにわに はいってきます。》 《おかあさん、おとうさんを みつけると こどもたちは まっしぐら。》 * 「まっしぐら。」 いいですね(笑)。そう、親を見つけると無条件に飛んでいきますね。ダッシュで抱きつきに行きますね。怒ると怖いとうさんかあさん。今朝だってすごく叱られた。でもそんなことは忘却の彼方。幼稚園の一日はすごく面白かったし、友達と遊んで楽しかった。でもそんなことはおむかえの瞬間に過去の出来事。 自分自身が幼稚園児だった時のことは憶えていないけれど、自分が母親として乳幼児だった子を保育園に預けていた日々のことは、まざまざと思い出されます。 いつも、ウチの子は、ひとり最後まで残ってて、保育士さんに遊んでもらっていました。 しかも夜間保育園だったんですよねー(懺悔) 《ジョバンニは がっかり。 だって、ひとりぼっちは つまらないもん。》 そうだよねー(泣)ごめんよー。 * 朝、おじいちゃんはジョバンニに言ったのです。今日はじいちゃんが迎えに行くぞ、びっくりすることがあるぞ、って。ジョバンニは、だから、とっても楽しみなんです。なんだろう、びっくりすることって? 《だって、おじいちゃんの びっくりは いつも びっくりぎょうてん。 とびっきりの びっくりなのです。》 わくわくするのをおさえられないけれど、その一方で、早くもジョバンニは諦めモード。 《おじいちゃんは いつだって さいごなんだもん。》 * おまけに、 《「おじいちゃん、 まだ おむかえに きてくれないの?」 せんせいが たずねます。 そんなこと きかなくたって わかるのに。》 ほんとよね、ジョバンニ。 ここ、幼稚園・保育園・児童館の先生がたにはしっかり、行きつ戻りつして、読んでほしいところです。 * 長いことひとりで待たせるのは、たしかに子どもが可哀想。 だから迎えに行く保護者は全速力で駆けつけなくては。そこに異存はありません、ハイ。 でも、ひとりの時、子どもは手近なにあるどんなものでもおもちゃにして、あるいは友達にして、勝手な即興物語をつくって遊んでいます。空の雲、飛んできた葉っぱ、列をつくる蟻、寄ってきた野良猫。ジョバンニは、おじいちゃんを待つ間、屋根の上で追いかけっこしたり、車を走らせたり、海賊になったりします。 子どもたちってほんとうに、とびっきりの物語作家なのです。 彼らの想像の翼を削がないためにも、ひとりの時間を楽しむ子のことは、そっとしておいてほしい。 (あ、いや、でも、親はさっさとお迎えに行きなさいよ!) * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ニコラ・チンクエッティ Nicola Cinquetti イタリア・ヴェローナ生まれ。高校で歴史と哲学を教えるかたわら、作家として子ども向けの作品を多数発表。邦訳作品に『ラファエロ 天使に愛された画家』(西村書店)がある。 【絵】 ウルスラ・ブッヒャー Ursula Bucher スイス・イタリア語圏ロヴェレード生まれ。スイス・ルガーノ、フランスのエミール・コール美術学校でグラフィックアートとイラストレーションを学ぶ。ルガーノ在住。 【訳】 やまね かずこ 山根和子 兵庫県生まれ。神戸大学教育学部卒業。イタリアのシエナへ留学、中世の美しい街並みの中でイタリア語を習得。独学にて翻訳を学ぶ。第20回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
-
船を見にいく
¥1,760
『船を見にいく』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 アントニオ・コック 絵 ルーカ・カインミ 訳 なかの じゅんこ タテ292mm×ヨコ205mm 28ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-05-9 2016年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第22回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「船は決して鉄のかたまりなどではない。 じゃ、何なの?と聞かれたら、この絵本を読んでみて、と 僕は静かにおすすめする。」 ―――――幅 允孝(BACHブックディレクター) * 幅允孝氏の帯文がいいですね。わたしも「船て、どやねん」なんて言われたら、黙ってこの本を差し出します。 この、何でもスピードの速いことばかりがもてはやされるようになった世の中で、船は、いささか置いてきぼりを食らったような感じです。たまに注目されたらアレですよ、コロナですよ。船、受難の時代……。でも、この絵本は、そうした世の中の事情、国際関係のあれやこれやなんて関係のないところで、黙々と仕事をする船と、それを見つめる人びとのことを描いています。 * 絵本の冒頭です: 《このまえ、ぼくは船を見にいった。 じっと、とまったままの船のまわりでは、たくさんの 人がはたらいていた。高層ビルみたいに巨大な船に くらべたら、人はアリのように小さい。 (中略) 船はじっと、とまってるわけじゃない。 ゆっくりと、いきをしながらねむっているんだ。》 * 「ぼく」がよくいく港では造船も行っているようです。 巨大建築物のように、船は毎日少しずつ形がつくられていって、いつのまにかできあがる。 古くなって、解体される船もある。 「ぼく」は、そんな港での営みをじっと見つめてしずかに描写します。 造られる、あるいは壊される、または停泊中の、船を見つめて、見たままを語ります。 船旅に出るじゃなし、旅立つ船を見送るでもなく、帰ってきた船を迎えるでもない。 と言うと、なんなのそんなに愛想なしの絵本なの? と思いますか? いえいえ、だからこそ、船の魅力が見えてくるんですよ。 《パパがぼくの手をとって、そっと船にあててくれたことがある。 「じっとしていてごらん。ほら、船がいきをしているのがわかるだろう」》 ここ、わけわからず泣けるとこです。 絵本の舞台になっている町では、港が雇用創出に重要な位置を占めていて、町の人が港によって生活を成り立たせていることが、言外に伝わってきます。だから、みんな港を、船を、愛そうとしているんですよ。 《この町では、こどものころ、みんな、港に船を見にいくんだ。 「おじいちゃんも、あなたぐらいのときには、そうだったのよ」と、ママ。》 * 表紙は一見、ポスター文化華やかなりし頃の「ノルマンディー号」を髣髴させますね。わたしも昔のポスターデザインが好きで、関連美術展をよく観にいきました。カッサンドルの「NORMANDIE」はその迫力でけっして忘れ得ない作品です。本書を見た時、あっあれやん!と思いました。 でも、『船を見にいく』は、豪華客船での船旅そのものには触れません。 わかるのは、どんなものにも縁の下の力持ちたちがいるということ。 どんなものにも、どんなひとにも、それぞれ命と物語があるらしい、ということ。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 アントニオ・コック Antonio Koch 1976年、イタリアのボローニャ生まれ。ボローニャ演劇学校で学び、ボローニャを拠点とする劇団「テアトロ・デッラ・ラッビア」に所属。脚本家兼俳優として活躍しながら、短編小説や詩などの創作を手がける。子どもに向けた作品に、日本人イラストレーターと組んだ “Brutto + Bello” (Keisuke Shimura絵、未訳)などがある。 【絵】 ルーカ・カインミ Luca Caimmi 1978年、イタリアのマルケ州ファーノ生まれ。ウルビーノ芸術高等学校のアニメーション・デザイン科で学んだ後、国立ウルビーノ美術学院を卒業。ボローニャ国際絵本原画展で入選ほか、受賞歴多数。短編コミックや挿絵なども手がけ、本書が初めての絵本制作となる。本書の表紙画は、カッサンドルによるポスターアートの傑作「ノルマンディー号」へのオマージュでもある。 【訳】 なかの じゅんこ 中野順子 1966年熊本県生まれ。西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。子育てのかたわら、通信教育で英日翻訳を学ぶ。NHK「イタリア語会話」をきっかけに、独学でイタリア語を修得。現在、福岡県内にてこども英語教室の講師。本作で第22回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
-
ひなたぼっこねこ
¥1,320
著者 おづち ともか 90mm×197mm、24ページ 定価 1,200円+税 ISBN 978-4-9908091-1-9 2015年10月10日 初版第一刷発行 この絵本は、 「ねこの いえには ひがしと にしに まどが あります」 という言葉で始まります。 東の窓から朝日が、西の窓からは夕日がさしこみます。猫は、おもちゃで遊ぶより、ひなたぼっこのほうが好き。お日さまが沈んだら、一日は終わり。 「おやすみ」 * カバー袖に、メッセージ欄をつけました。 プレゼントする際には名前やメッセージを書き込んでください。切りとってカードとしても使えます。または、本を買ったとき、読んだときの日付や感想を書き留めたり。お宅の猫の写真を貼ったり。 大事な家族や仲間と同様に『ひなたぼっこねこ』とも仲良くしてください。 【著者のことば】 作者 おづち ともか ぶんしょうを かいたり ほんやくを したり ほんを つくったり しています ときどき えを かきます そばには いつも ねこが います
-
すてきって なんだろう?
¥1,980
『すてきって なんだろう?』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 アントネッラ・カペッティ 絵 メリッサ・カストリヨン 訳 あべけんじろう あべなお タテ310mm×ヨコ220mm 28ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-12-7 2019年9月15日 第1刷発行 2019年12月1日 第2刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「あなたの「すてき」を探す旅。 みつけることができるでしょうか。 とてもむずかしい旅行です。 でも、そんな旅行をすることが、「すてき」 なことなのではないかと私は思います。」 ―――――金田一秀穂(日本語学者・杏林大学教授) * すてきってなんだろう? それは、アナタ、アナタそのものですよ! とこの絵本に言いたくなりました。 それほどこの絵本のたたずまいは「すてき」です。 立派な角を戴く鹿の凛々しい表情、虫や鳥、草花や色づいた葉っぱに取り囲まれて……。 でもね、絵本を開いてめくっていくと、ん? と思いますよ(笑) なかなか一筋縄では、いかないわけですよ。 すてきって、なんだろう? なんだろう? なんだろう? 答えが出たかと思ったら、違う違う! と横槍が入るんですが、それもまた、ごもっとも。 さあて、いったい、「すてき」ってなんなんだろう……。 * 絵本の冒頭です: 《あるところに、いもむしが いました。 いもむしは はっぱの うえで たのしく くらしていました。》 ページをめくると: 《ある日、さんぽをしていると、 いもむしは つかまっていた こえだごと、 土のうえから ひょいと、 もちあげられてしまいました。》 次のページで: 《「すてきな いもむしさんね」と、そのいきものが いいました。》 * 「すてきな いもむしさん」といわれたいもむしは、「すてき」っていったい何、何、何?と悩むわけです。知らない言葉。言われたことのない言葉。すてきって、どういうこと?と、森の仲間……動物や虫に出会うたびに尋ねます。 当然のことながら、みんなそれぞれがそれぞれの「すてき」をもっています。 いもむしは、わからなくなるばかりです。 * 「素敵」というのは便利な言葉です。私たちは何でも、肯定的に表現するときにはやたら「素敵」を使う傾向があります。でしょ? 「可愛い」も頻出ワードですし、近頃は「ヤバい」も絶賛する時に用いるそうで(笑)、言葉はほんとにイキモノだなと思います。 感情や感動を表すのに通り一遍の表現ばかり使っていると、世の中全体の語彙がどんどん貧困になっていきますよね。喜怒哀楽を言い表す言葉は無限にあるはずなのに、口をついて出るのは「やばっ」「マジ?」「うそ」「むかっ」ばかりになってしまって―――。 会話では、凝った表現よりも気持ちが伝わることのほうが大事ですから、場合によっては感嘆詞の連発でもいいだろうとは思います。 だけど、たまには、大切な人への手紙を書くように、気持ちを丁寧に繊細に言い表してみたくなりませんか。 ○○ってなんだろう? いろいろな言葉を「○○」にあてはめて、考えてみるのもいいかもしれませんね。 * さてさて、すてきって、なんだろう? この絵本は答えを導いてくれるのでしょうか? ぜひぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 アントネッラ・カペッティ Antonella Capetti 1967年、北イタリア生まれ。幼稚園に17年間勤務の後、小学校でイタリア語教育に携わっている。教室での絵本活用例を紹介するブログが人気を博し、エッセイや、教え子の作品を集めた詩集などを出版。絵本作品に、本書と同じくメリッサ・カストリヨンがイラストを手がけた “Un silenzio perfetto”(未邦訳)ほか。 〈ブログ〉http://apedario.blogspot.com/ 【絵】 メリッサ・カストリヨン Melissa Castrillón 1986年生まれ。イギリス人の母とコロンビア人の父のもと、ロンドン郊外に育つ。ケンブリッジ・スクール・オブ・アートでイラストレーションを専攻、修士号取得。シルクスクリーンを使った、鮮やかな色使いを特徴とし、絵本や挿絵、装幀など幅広い分野で国際的に活躍している。英国ケンブリッジ在住。 〈公式サイト〉http://www.melissacastrillon.co.uk/ 【訳】 あべ けんじろう 安部健二郎 1974年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。独立行政法人国際交流基金勤務。国内のほか、モスクワ(ロシア)、ローマ(イタリア)に赴任。本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞(共訳)。 あべ なお 安部奈緒 1983年生まれ。上智大学外国語学部卒業、アンジェ・カトリック大学(フランス)留学。独立行政法人国際交流基金勤務等を経て、教育・文化関連を中心に翻訳業に携わる。本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞(共訳)。
-
てつだってあげるね ママ!
¥1,760
『てつだってあげるね ママ!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ジェーン・ゴドウィン&ダヴィーナ・ベル 絵 フレヤ・ブラックウッド 訳 小八重 祥子 タテ252mm×ヨコ240mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-11-0 2019年7月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第25回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「「いつだって こどもは ママの味方」 お手伝いという名のもとに 毎日部屋を散らかす我が家の怪獣さんたちを 今夜はぎゅーっとだきしめてあげなくちゃね。」 ―――――優木まおみさん(タレント) * ものすごく可愛い絵本です。絵のタッチが優しく柔らかく、派手さがないので、表紙だけ見ても、さらに数ページぱらぱらめくっても、ガツンとくるインパクトのようなものは感じられないでしょう。でも、じっくりお話を読んでいくと、もう、まさしく、ぎゅーっと抱きしめるほかにすることがありますか、と言うしかないほど、可愛いのです。 * 絵本の冒頭です: 《こんやは パパの たんじょうびパーティー。 あさから じゅんびで おおいそがしです。 ママが いいました。 「ハティにも てつだってもらわなくちゃ」》 (中略) 《パーティーまでに やらなくちゃいけないことが たくさん あります。 おきゃくさんの にがおえをかいた カードをつくるのは、 ハティのしごと。》 * このあたりまでは、よくある展開ですね。 ハティの下には、まだちっちゃな赤ちゃんのロティがいます。お母さんは毎日きっとたいへんなことでしょう。「お姉ちゃん」の自覚がちょっぴり芽生えてきたハティの気持ちをうまくくんで、お手伝いをしてもらおうと思っているようです。 * 母娘でスポンジケーキを焼いて、ちょっと一段落。 お母さんはこのあたりで子どもたちにお昼寝してほしいのですが……。 ハティはママに頼みます。 《「ねえねえ、いっしょに ベッドで ごろんしてくれる?」》 パーティー準備のTo Doリストを全然消化できていないのに、「ごろん」してる場合じゃない! のですが、ハティはお願い、おふとんにもはいって、ママ~と食い下がります。 《「ちょっとだけね」と、ママ。》 そして。 夜、帰宅したパパとお客さんたちが見たのは……。 * ハティの可愛い、懸命な「おてつだい」。 見守り、褒めて、受け容れる大人たち。 理想の、というか、あるべき姿の、ファミリーの一日が、あまりにナチュラルに描かれていて、そのことじたいに感動する自分自身に驚きます。 子どもの気持ちや行動を全部ひっくるめて愛することがこれほど貴重に思えてしまうことこそが、おかしいのではないか。現代社会のありさまに思いを馳せ、猛省せずにはいられないのです。 * 「子どもは宝」。しみじみと思います。忘れないように、反芻します。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ジェーン・ゴドウィン Jane Godwin オーストラリアの児童文学作家。大手出版社で長く児童書の編集・出版に携わる。自らも作家として多くの絵本や読み物を発表し、数々の賞を受賞。邦訳作品に『ファミリー・ツリー』(講談社)、『サラちゃんとおおきなあかいバス』(光村教育図書)。メルボルン在住。 http://www.janegodwin.com.au/ ダヴィーナ・ベル Davina Bell オーストラリアの児童文学作家、児童書編集者。ゴドウィンとともに、人気読み物シリーズ "Our Australian Girl" の立ち上げに関わる。編集者として活動しながら、絵本からYA小説まで、幅広い年齢の子どもたちに向けた作品を執筆。本書が初の邦訳作品となる。メルボルン在住。 http://www.davinabell.com/ 【絵】 フレヤ・ブラックウッド Freya Blackwood オーストラリアの絵本画家。2003年のデビュー以降、マーガレット・ワイルド、リビー・グリーソンなど著名作家との共作を次々と発表、国内外で高い評価を受けている。2010年、『さよならをいえるまで』(岩崎書店)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。邦訳作品に『この本をかくして』『だいすきだっこ』(岩崎書店)、『みて、ほんだよ!』(光村教育図書)、『おかあさんの顔』(フレーベル館)など多数。 http://www.freyablackwood.com.au/ 【訳】 小八重 祥子 こばえ しょうこ 新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、米国の大学院で児童文学を学ぶ。学校教科書の編集者を経て、翻訳の道を志す。2019年、本作で第25回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
-
こどもってね……
¥1,760
『こどもってね……』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ベアトリーチェ・アレマーニャ 訳 みやがわえりこ タテ310mm×ヨコ232mm 36ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-08-0 2017年9月25日 第1刷発行 2018年7月10日 第3刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第23回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【推薦の言葉】 「「おおきな世界をいきている」ちいさなひとたち。 たくさんのいいことを大人は落っことして生きていると、 この絵本を読んで思いました。もったいないなぁ。 だけど、こどもと大人の境目なんてほんとにあるんだろうか。」 ―――――高山なおみ(料理家、文筆家) * 表紙にも裏表紙にも、いろいろな表情をした、髪の色や肌の色の異なるたくさんのこどもたち。ページをめくれば、いたずらっぽい瞳や、くいしんぼうな口元。ああいるいる、こんな子、と身近なあの子この子を思い浮かべます。好奇心に満ちた表情、穏やかな寝顔。どの子も幸せそうです。 でも、ほんとうに、子どもたちみんながみんな、幸せでしょうか。 誰もがめいっぱい愛されて、育まれているでしょうか。 私たちは、この子たちがぞんぶんに喜怒哀楽を享受できる未来を、準備しているでしょうか。 * 絵本の冒頭です: 《こどもってね、ちいさな ひと。 でも、ちいさいのは すこしのあいだ。 いつのまにか しらないうちに おおきくなる。 すこしずつ おともたてずに せが のびるんだ。 こどもってね、ずっと こどものままじゃないんだよ。 いつか きっと おとなになる。》 * こどもは、いつかおとなになる。 当たり前のことですね。 けれど、当たり前だからこそ、「こども」の時間は貴重なのです。 黙っていても、何もしなくても、子どもはいつか大人になる。 叩いても、蹴っても、罵っても、子どもはいつか大人になる。 遊んで、おしゃべりして、笑って、泣いて、歌っても、子どもはいつか大人になる。 《ちいさいのは すこしのあいだ》 少ししかない「こども」の時間を、「幸せ」で埋めつくすことは、けっして難しくないはず。 この子たちの今と未来が幸せでありますように。思わずそう祈りたくなる、絵本です。 * 子どもと一緒に遊ぼう。子どもと一緒に歌おう。 一緒に笑おう。一緒に泣こう。 走ろう、くたくたになるまで。話そう、つかれて眠くなるまで。 一緒に眠ろう。 子どもと一緒にいよう。ずっとずっと、いっしょにいよう。 * この絵本はきっと、大人のほうが感情移入しやすいと思います。 アレマーニャの描くいきいきとした子どもの表情に、大人の脳裏にはさまざまなことが去来することでしょう。 顔ばかり出てくるこの絵本、子どもたちはきっと「顔!」「また顔!」「あ、泣いてる!」「鼻くそ?」「口開けて寝てる!」とかなんとか、目の前の絵だけでじゅうぶん楽しめるけれど、できれば大人が一緒に本を開いて、「この子の目は何を見ているのかな、お空? 小鳥さん?」とか、「泣いてるね、どうしたんだろうね」とか、「どんな夢を見てると思う?」とかなんとか、絵を題材にお話を好きな方向へ無限に膨らませていってください。 * 《こどもってね、スポンジみたい。 なんでも すいこむんだ。》 そうなんです。私たちがもう吸い込めない分も、子どもたちに吸い込んでもらいましょう。どうぞ、楽しい絵本の時間を! * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ベアトリーチェ・アレマーニャ Beatrice Alemagna 1973年、イタリア・ボローニャ生まれ。いま、最も注目を集める絵本作家のひとりである。イタリア・アンデルセン賞最優秀画家賞ほか、受賞歴多数。自らが「代表作」と呼ぶ本作は10か国以上に翻訳され、ヨーロッパを中心に世界的ベストセラーとなっている。邦訳作品はほかに『もうふのなかのダニィたち』(ファイドン)など。パリ在住。 【訳】 みやがわ えりこ 宮川絵理子 1987年、東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部にてイタリア語を専攻。卒業後、イタリア・トスカーナで6年間を過ごす。シエナ大学史学文化財学科人文科学コース(美術史専攻)在学中に、第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。2017年に同大学を卒業、帰国。
-
きょうは、おおかみ
¥1,980
『きょうは、おおかみ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 文 キョウ・マクレア 絵 イザベル・アーセノー 訳 小島 明子 タテ292mm×ヨコ228mm 36ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-01-1 2015年3月31日 第1刷発行 2017年3月13日 第3刷発行 ★★カナダ総督文学賞児童書部門受賞★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第20回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「Woolfのoが抜け落ちて、おおかみになっちゃったバージニア。 お姉さんのバネッサは、悲しい現実からバージニアをすくうことができるんだろうか。」 ―――――金原瑞人(翻訳家) * 帯文は、意味深ですね。さすがは翻訳家の金原瑞人氏の推薦文です。この絵本の原題は「Virginia WOLF」。英国の小説家ヴァージニア・ウルフ(Virginia WOOLF)の名前をもじったもので、内容も、ヴァージニアとその姉ヴァネッサをモデルにしています。 ですが、そのことはまず措いて、絵本の世界へはいってみましょう。 * 絵本の冒頭です: 《あるひ、いもうとの バージニアは めがさめると、 おおかみみたいに むしゃくしゃしてた。 おおかみみたいに ぐるるる、がるるる。 おおかみみたいな ことをする。 バージニアの えを かいてたら、 「バネッサねえさん、だめ! がおーーう!」》 * いったい何が始まるのか?(笑) ぐるるるがるるるがおーーーだなんて怪獣絵本じゃあるまいし…… でも、部屋に見えるのは、まさしく「おおかみ」の黒い影。 やっぱり、「狼少女」の物語??? いやいや、ちょっと待って。 どうやら、「いもうとのバージニア」ったら、今日はひどくご機嫌ななめ。 そしてどうやら、「バネッサねえさん」は絵がとても上手みたい。 どんよりしたまま晴れない妹バージニアの気分をなんとか盛り上げたくて、バネッサは部屋の壁に外の庭の風景を描きます。色とりどりの花たち、さえずる小鳥たち。バネッサの描く絵の中に、いつしか姉妹は入っていきます。 翌朝、ご機嫌のなおった(?)バージニアは、バネッサの手を取って、 《「ね、おそとで あそぼうよ」》 と、にっこり笑うのです。お話の最後にようやく、二人がよく似た可愛い姉妹であることがわかります。 * なんだかわからないけど、むしゃくしゃして何もかも気に入らない日というのは、誰にでもありますね。ああもう明日は永遠に訪れないんだわ……的な。でも、絶望感で真っ暗に始まった一日が、ちょっとしたきっかけで薔薇色に変わることもあります。 ……ウチの子、反抗期?…… ……きょうだいで喧嘩ばかり、仲良くできないのかな…… つい、こんなふうに考えることが多いなら、この絵本『きょうは、おおかみ』は何かヒントをくれるかもしれません。 * 最初に書いたように、この絵本は20世紀英国の重要な小説家ヴァージニア・ウルフと、生涯彼女のよき理解者であった実姉の画家ヴァネッサ・ベルをモチーフにしています。 もしご関心があれば、二人の評伝も出版されていますのでぜひお読みください。ヴァージニア・ウルフの小説もほとんどが翻訳されています。 ウルフは59歳の時に夫レナードと姉ヴァネッサに遺書を置いて、入水自殺してしまいます。 早くから神経衰弱を患い、つねに精神の不安定を抱えて辛うじて暮らしていたヴァージニア。彼女を支え続けたヴァネッサの悲しみはいかばかりだっただろうか……と、これは、この絵本を初めて読んだ時に、わたし(エディション・エフ代表)の思ったことでした。およそ英国文化とは縁のない生活なのですが、ヴァージニア・ウルフだけは、美大生時代からよく読んでいましてね。躁鬱病の鬱状態に陥ったヴァージニアは、壁に花の絵を描いて救い出してくれる姉も今度ばかりは傍になく、弱々しく「ぐるるる、がるるる」とうめきながら逝ってしまったのかしら……。 * 『きょうは、おおかみ』は、気まぐれで変わりやすい子どもの心象風景を、やさしく、しかしくっきりと、描いてみせています。いろいろなシチュエーションにあてはめることができ、読み手の年齢や立場を選びません。ぜひぜひ、お読みください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【文】 キョウ・マクレア Kyo Maclear 英国生まれ。美術評論家、小説家として定評がある。2作目の児童書となる本書は、作家ヴァージニア・ウルフとその姉である画家ヴァネッサ・ベルをモチーフにしている。姉妹のきずなをテーマとし、庭や美術への愛を盛り込んだ。カナダのオンタリオ州トロントに家族と暮らす。 【絵】 イザベル・アーセノー Isabelle Arsenault カナダが誇る最高のイラストレーターのひとり。子どもの本の絵を手掛ける。「おおかみきぶん」なときに元気をくれるのは、2人の息子、妹のエレーヌ、おいしいもの、お天気の日、美しい本、そしてキョウ・マクレアの言葉。キョウの書いた言葉からはいつでもインスピレーションの庭が現れると語る。ケベック州モントリオールに家族と暮らす。 【訳】 小島明子 Akiko Kojima 広島県生まれ。「やまねこ翻訳クラブ」会員。地元で英語読書会を主宰し、児童書の魅力を大人の読者に伝える活動をおこなっている。第20回いたばし国際絵本翻訳大賞英語部門最優秀翻訳大賞を受賞。広島市に家族と暮らす。 * 本書訳者の小島明子さんは、第20回いたばし国際絵本翻訳大賞での受賞をきっかけに、出版社「きじとら出版」を立ち上げ、自ら翻訳した絵本『きょうは、おおかみ』の出版を実現されました。
-
世界のまんなかの島 わたしのオラーニ
¥1,980
『世界のまんなかの島 わたしのオラーニ』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 クレア・A・ニヴォラ 訳 伊東晶子 タテ292mm×ヨコ228mm 36ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN 978-4-908214-00-4 2015年3月31日 第1刷発行 2016年1月28日 第2刷発行 ★★ボローニャ・ラガッツィ賞ノンフィクション部門優秀賞受賞★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第19回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉】 【推薦文】 「故郷って何でしょう? 作者のニヴォラさんは、 愛情のこもった美しい絵で、故郷の大切さを気づかせてくれます。 オラーニ村は、実は、あなたの故郷かもしれませんよ。」 ―――――柳田邦男(作家、評論家) イタリア・サルデーニャ島の小さな村オラーニ、そこは世界の中心だった。 おばさんたちがパンを焼き、子どもたちは路地をかけまわり、結婚式で輪になって踊る―― 遠い国でありながらどこか懐かしい情景に心洗われる秀作絵本 * 美しい絵本です。 帯文で柳田邦男さんがおっしゃっているように、作者は、愛しいものを撫でるように丹念な筆致で故郷の風景を描き込んでいます。ああ、ここが好きなんだな、ほんとに好きなんだなこの人は。なんだか、しみじみと、作者の気持ちが伝わってくるような気がします。 この絵本を見れば、ああこんな所へ行ってみたいな、と思うかもしれません。でも、作者はツーリスト誘致のために描いたのではないんですよ、もちろん。 自分が幼かった頃の、小さな村オラーニ。当時の家並み、暮らし向きはずいぶんと失われてしまったようです。ニヴォラさんは大好きな故郷を忘れないために、そしてお父さんとそのきょうだいたち、いとこたち、村の人たちへの尊敬と愛情を示すために、この本を描いたのでしょう。そして、絵本を読む人に、故郷を思い出してもらうために。 * 絵本の冒頭です: 《はっとするほど 青い海、イルカが はねて遊ぶ海に、島がひとつ 浮かんでいる。真っ白な小石の浜には 小さなほら穴が いくつもあって、鍾乳石のつららが ぶらさがっている。浜を見おろす けわしい崖には 岩のあいだに アザミや かおりの強いタイムがはえ、小さなヤギが そろそろと歩いていく。(中略) この島の ちょうど まんなか、まわりを山にかこまれた 盆地に オラーニ村がある。わたしの おとうさんは そこで生まれた。》 (すべての漢字にふりがなが振ってあります) * 文章はこのように、淡々としたナレーションのような調子で、村の風景や人々の様子を語ります。驚くような出来事や、謎解きの必要な事件が起こるわけでもなく、「わたし」が歩いてたどる道すじにしたがって、訪ねる家、会う人、覗く家禽が描かれます。絵本の最後のほうになってようやく、作者の思いのほとばしる一文が出てきます。 《ああ、あのオラーニの村が だいすき!》 ニヴォラさんが普段暮らすのはニューヨーク。オラーニとの違いに、行くたび帰るたびに愕然としたことでしょうね。そして、ニューヨークを闊歩する大人たちを見て、「わたし」はつぶやくのです。 《この人たちのオラーニは どんなところなんだろう?》 * 誰もが心にふるさとをもっています。誰にとっても、わがふるさとが世界の中心。 世界のまんなか。わたしのふるさと。 ……ふるさとって、いったい何なのでしょうね。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ベアトリーチェ・アレマーニャ Beatrice Alemagna 1973年、イタリア・ボローニャ生まれ。いま、最も注目を集める絵本作家のひとりである。イタリア・アンデルセン賞最優秀画家賞ほか、受賞歴多数。自らが「代表作」と呼ぶ本作は10か国以上に翻訳され、ヨーロッパを中心に世界的ベストセラーとなっている。邦訳作品はほかに『もうふのなかのダニィたち』(ファイドン)など。パリ在住。 【訳】 みやがわ えりこ 宮川絵理子 1987年、東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部にてイタリア語を専攻。卒業後、イタリア・トスカーナで6年間を過ごす。シエナ大学史学文化財学科人文科学コース(美術史専攻)在学中に、第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。2017年に同大学を卒業、帰国。
-
ぼくのがっかりした話
¥1,540
シリーズ再生の文学 『ぼくのがっかりした話』 ■■■英明企画編集の本■■■ 著者 セルジョ・トーファノ 訳者 橋本勝雄 新書判 160ページ 定価 1,400円+税 ISBN 978-4-909151-31-5 2021年8月30日 発行 【帯の言葉】 おなかをこわして肉食をやめた人食い鬼、没落したアラジン、赤ずきんの家で下男として働く狼、不眠症に悩む眠れる森の美女……。イタリアの鬼才が贈るユーモアとペーソスに満ちたがっかりの世界! * いったいこれはどんな物語なのでしょう? セルジョ・トーファノって誰? 訳者の橋本勝雄氏による詳しい「訳者あとがき」から引用します。 《セルジョ・トーファノ『ぼくのがっかりした話』は、いまから百年ほどまえ、一九一七年九月三〇日から一〇月二八日まで、五回にわたって雑誌『コリエーレ・デイ・ピッコリ』に掲載されました。『コリエーレ・デイ・ピッコリ』は一九〇八年に創刊され、一九九六年まで八八年間にわたってイタリアの子どもたちに親しまれた絵入り週刊誌です。》(128ページ) なんと、100年前に書かれた物語ですと。 しかも「赤ずきんの家で下男として働く狼、不眠症に悩む眠れる森の美女」だなんて、堂々たる古典名作童話を揶揄しまくっているとは! 面白そうでしょ! ぜひぜひお読みください! * 物語の冒頭です。 《ぼくが小学校の卒業試験に三回めの落第をしてしまったので、気の毒な父さんと母さんは、このままぼくに勉強を続けさせるかどうか迷ってしまった。(中略) 「それは時間のむだですよ」ぼくをよく知っている先生は、はっきり言った。「わたしの言うことをお聞きなさい。この子は頭が悪すぎるんです」 (中略) たくさんの家庭教師がやってきた。その数なんと、一か月で一二人。(中略)そしてみんな、口をそろえて父さんに言った。 「時間のむだですよ。まあ、お聞きなさい。この子は頭が悪すぎます!」》(5~6ページ/第一章 はじめに、父さんと母さんが、がっかりした話が語られる より) ……ひどくない?(苦笑) 「頭が悪すぎる」と散々な言われようをしている「ぼく」、主人公のベンヴェヌート少年。それでも13人めの家庭教師としてやってきたパルミーロの語る話に魅せられて、おとぎ話の世界へ出発する……。 ところが、旅先で出会うのはどれもこれも「がっかりする話」。 《赤ずきんの家をあとにしたぼくらは、あまりにもつらい光景を目にして、なんともいえないほどがっかりし、そのうえおなかがすいていた。》(98ページ/第九章 七つめのがっかり より) * 奥付に記載されている著者情報です。 【著者】 セルジョ・トーファノ Sergio Tofano (1886-1973) イタリアの俳優、演出家、挿絵画家、漫画家。1909年に役者デビュー、複数の劇団の共同座長を務め、国立演劇学校で後進の指導にあたるなど、戦前から戦後まで舞台、映画、テレビで活躍。洗練されたユーモアを特徴とする「ブリッランテ」役を得意とした。STOのペンネームで挿絵を手がけ、1917年に雑誌『コリエーレ・デイ・ピッコリ』に発表した漫画『ボナヴェントゥーラさんの冒険』のシリーズが大人気となる。『ぼくのがっかりした話』は、カルロ・コッローディからジャンニ・ロダーリに至るファンタジー文学の系譜に属する貴重な作品。 【訳者】 橋本勝雄 (はしもと かつお) 1967年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学大学院博士後期課程単位取得退学。現在、京都外国語大学教授。訳書に『イタリア語の起源――歴史文法入門』(パトータ)、『イタリア20世紀史――熱狂と恐怖と希望の100年』(コラリーツィ、共訳)、『プラハの墓地』(エーコ)〈第2回須賀敦子翻訳賞受賞〉、『鏡の前のチェス盤』(ボンテンペッリ、トーファノ画)、『19世紀イタリア怪奇幻想短編集』などがある。
-
木の葉つかいはどこいった?
¥1,760
SOLD OUT
『木の葉つかいはどこいった?』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 【ご注意! 在庫限りです】 作 ピーナ・イラーチェ 絵 マリア・モヤ 訳 小川 文 タテ278mm×ヨコ226mm 28ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN 978-4-908214-03-5 2015年8月31日 第1刷発行 ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第21回いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「一枚のはっぱがおしえてくれる。 みんなとおなじじゃなくていい。 一枚のはっぱが背中を押してくれる。 「あなたは あなたのやりかたで」と。」 ―――――落合恵子(作家・子どもの本専門店クレヨンハウス主宰) * 山里にいても、町なかにいても、木々の葉が落ちる場面は目にします。 瑞々しい青葉を湛えていた枝が、黄色く赤く色づいた葉を少しずつ、その腕から離すとき。 はらり。 葉っぱが木から離れてどこかへ行ってしまうことを題材にしたお話は数知れずありますけれど、この絵本は、ちょっぴり、趣が違います。 葉っぱたちは、「木の葉つかい」と呼ばれる魔法使い?の教えにしたがって、枝から落ちるというんですよ。え、そうなの? * 絵本の冒頭です: 《あと ふつかもすれば、あきが おとずれる。 みどりだった 葉っぱたちも すっかり いろづいて、いいにおいが している。 あきの かぜに、おもいっきり とびこんでいく じゅんびが できたんだ。 これで もう、ちょうちょみたいに とんでいける。》 ページをめくると: 《おや、木の葉つかいは どうしたんだろう? かぜに はためく、ながいマフラーを みなかったかい? いままで、いちども、おくれたことは なかったんだけど。》 * いつもの秋ならとっくに「木の葉つかい」が到着しているはずなんです。 まるで昔の「正義の味方」のように、首にマフラーを巻いているんだそうです。 その「木の葉つかい」が来ないから、葉っぱたちはどうすればいいのかわからなくて、ずっと木にしがみついたまま。ところが、どの世界にも「異端児」は、いるものですね。 ある一枚の葉っぱが、もうじっとしていられなくなって、枝から離れたのです。 《とちゅうで くるりと うえを むき、くうちゅうに わを えがく。》 《葉っぱは、なかまたちに むかってさけんだ。「みんなも やってみて!」》 * 「木の葉つかい」が教えてくれなくちゃ、木の枝から離れるのも、空中を飛び回るのも、地面に落ちていくことも、どうすればいいのかわからないから、じっとしていた木の葉たち。 でも、こわいもの知らずの一枚が思い切って空へ飛び出したら、あとに続いて一枚、また一枚と、葉っぱたちが枝から離れて旅立っていきます。 《なかまと いっしょに あちこち とびまわるものも いれば、 かぜに みちびかれて 空に へんてこな らくがきを するものもいた。》 * 秋のおとずれと、紅葉がやがて落葉になるさまを、あくまで客観的に描写しているんですが、あくまでも、木々や葉っぱたちの側に立って客観視していて、その視点がとてもユーモラスです。 春や夏の、新緑や若葉の繁った枝をひろげる樹々は、誇らしく堂々として、喜びに満ちあふれているように見える……と思っていたのですが。 《はるから ずっと、 葉や 花や 実の おもみに たえてきたのだから。 なつの やけつくような 太陽のもと、 それが どれほど つらいか、わかるかい?》 つらかったんか、木! 知らんかった! ごめんよ……。 思わず、街路樹に声をかけて木肌をさすったりして。 * 宮沢賢治の『いちょうの実』を思い出しました。 機会があったら、読み比べてみてください。 * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ピーナ・イラーチェ Pina Irace 1967年、イタリア・ポジターノ生まれ。ローマを拠点に長年、舞台女優としてイタリア国内を飛び回り、結婚を機にレッジョ・エミーリアに移り住む。言葉を愛する彼女は、子どもや大人を対象とした演劇・朗読のワークショップを精力的に行っている。本書にて絵本の文章を初めて手がけた。 【絵】 マリア・モヤ María Moya 1988年、スペイン・ムルシア生まれ。イラストレーター。ムルシア大学で美術を学び、イタリア・マチェラータの美術学校アース・イン・ファブラにて、出版イラストレーションコースを修了。イタリアの出版社ZOOlibri刊行の本書が、初めての絵本制作となる。2015年には同出版社より2冊目の絵本が出版された。スペイン・ムルシア在住。 【訳】 小川 文 おがわ あや 山形県生まれ。東京学芸大学卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、ヴェネツィアに遊学。第21回 いたばし国際絵本翻訳大賞(イタリア語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。
-
こらっ、どろぼう!
¥1,540
『こらっ、どろぼう!』 ●●●きじとら出版の絵本●●● 作 ヘザー・テカヴェク 絵 ピエール・プラット 訳 なかだ ゆき タテ266mm×ヨコ220mm 36ページ 定価:本体1,400円+税 ISBN 978-4-908214-07-3 2017年7月31日 第1刷発行 ★★2014年エリザベス・クリーヴァー絵本賞(IBBYカナダ)受賞作品★★ ★★東京都板橋区立いたばしボローニャ子ども絵本館主催 第23回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品★★ 【帯の言葉、推薦文】 「「だれか マックスに ほんとうのことを おしえてあげてケロ!」 「わおっっ!な連続事件だポン!」 くいしんぼう バンザイ! 農園に住む どうぶつたちのおもしろ絵本だよ。」 ―――――ケロポンズ(音楽ユニット) * タイトルどおり、これは捕物帳なんです。表紙の犬の名前はマックス。はりきって「こらっ、どろぼう!」と追いかけているところ。 でも……誰を?(笑) ほんと、マックスに、教えてあげてよ。 犬って、かしこいんだか、かしこくないんだか……。 マックス、がんばれ! ケロポンズさんも、応援してくれてます! * 絵本の冒頭はこんなふう: 《あるひ、のうじょうの ごしゅじんが いいました。 「マックス、どろぼうを つかまえられるかい?」 マックスは はりきって とびあがります。なんだって、つかまえて みせますとも! 「どんな やつかは わからない。でも、ニンジンと、イチゴと、マメと、サクランボを、かたっぱしから ぬすんでいくんだ。 すっかり たべられちまうまえに、つかまえて くれないか。」》 * 大好きなご主人様の言いつけとあらば喜んで! マックスは大はりきりで駆け出していきました。 おおっ 犯人と思しき、怪しい影を発見! さあマックス捕物帳のはじまりはじまり! ……なんだけど~ ……あー あー マックスったら…… 《「こらっ、どろぼう!」》 あーん、マックスったらあ~~~~~ * 作者も画家も、これまでにいくつもの児童向けの本を手がけてきたベテランのようで、とても安定感を感じる絵本です。広々とした田園風景。のどかで平和そうで、次々に登場するキャラクターたちもみんな「いいやつ」(笑)っぽくて、安心して読み進むことができます。 そう、心配なのはマックスのことだけ(笑) マックスったらあ~~~~~ * ニンジンやイチゴを盗んじゃうのはいったい誰? あれれ、ねえねえ、マックスったら、気づかないの? あらら、マックスったら、また走り出したよ! 子どもたちにはきっと「一目瞭然」な筋書き。 でもだからこそ、一緒に読んで、とぼけたやりとりを楽しんで! * 以下、カバー袖に記載の著者情報です: 【作】 ヘザー・テカヴェク Heather Tekavec 児童文学作家。カナダ・マニトバ州生まれ。幼稚園教師時代に子どもの本に魅了され、執筆の道に進む。本書は9冊目の作品となる。自らの創作活動に加え、作家志望者を対象とした文章指導、学校での講演などを積極的に行っている。ブリティッシュ・コロンビア州在住。 http://www.tekavec.com/ 【絵】 ピエール・プラット Pierre Pratt カナダを代表する絵本画家のひとり。これまでに50冊以上の絵本を手掛け、カナダ総督文学賞(3回)、BIB金のりんご賞、ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ賞など、数々の賞に輝いている。本作にて、2度目のエリザベス・クリーヴァー絵本賞を受賞。邦訳された作品に『レオンのぼうし』(宝島社)、『すてきな日曜日』(文化出版局)がある。ケベック州モントリオールとポルトガル・リスボンを拠点に活動。 http://www.pierrepratt.com/2015/ 【訳】 なかだ ゆき 中田有紀 東京生まれ。立教大学英米文学科卒業後、イギリスの大学院で児童文学を学ぶ。2017年、本作で第23回いたばし国際絵本翻訳大賞(英語部門)最優秀翻訳大賞を受賞。共訳書に同年6月刊行の『新訳 メアリと魔女の花』(メアリー・スチュアート作 越前敏弥訳 KADOKAWA)がある。
-
Go to Togo 一着の服を旅してつくる
¥1,650
『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』 ■■■烽火書房の本■■■ 著者 中須俊治 四六判 224ページ 定価 1,500円+税 ISBN 978-4-9911160-0-1 2020年4月30日 初版第一刷発行 【帯の言葉】 「誰も見たことのない景色を見に行こう」と ぼくはアフリカ大陸をめざした。 * 著者の中須俊治さんは1990年生まれ。現在は株式会社AFURIKA DOGSの社長としてアフリカから輸入した美しい布地を展示販売したり、オーダーメイドで服に仕立てたり、オリジナル柄の布地をアフリカと京都の職人をコラボレーションさせて開発したりしています。 彼がなぜこうしたビジネスを興したか、その道のりを書いたのがこの『Go To Togo』です。 この本、とても面白い造本になっています。外からの見た目はごく普通の四六判の書籍ですが、ページを開くと、「あれ? 乱丁?」とつい不審に思ってしまいます……。 以下、版元の烽火書房さんのHPからの引用です。 《「グローバル人材」の意味がわからず就職活動をやめて、アフリカ・トーゴのラジオ局に行ったことから、大きく動きだした人生。 トーゴで出会った友達との「みんなが笑って過ごせる世界をつくりたい」という約束を守るため、いったん就職後、独立起業。トーゴ布職人と京都の染色職人の技術をつなぎながら、見落とされてしまうたくさんの価値をつないで、新たな服づくりに挑戦する株式会社AFURIKA DOGS中須俊治の奮闘記。 文化も違えば言葉も違う1万3000キロ離れたトーゴへ行くことは、文字通り価値観が回転するような体験です。この書籍では「日本編=縦書き」「トーゴ編=横書き」で展開し、舞台が入れ替わるたびに書籍を180度回転させながら読み進めていく一冊です。》 * 2020年4月にこの本が発売された当時、世の中はコロナ禍に見舞われ、誰もが思うような行動をとれずにいました。ところが中須さんの以降の活躍は目を瞠るものがありました。すでに手許にあった、トーゴから持ち帰った布地や雑貨、アート作品などを積極的に展示販売していきました。もちろん、人の集まるイベントがことごとく中止になっていくなか、そうした機会を得ることは困難の極みでしたが、小さなチャンスを掬いとるようにものにして、「アフリカ」を見せてアピールしていきました。 今ではオフィスと直営店舗を構え、トーゴと京都に自社のための製品を製造・販売するスタッフを抱えています。 中須さんを知る人は、彼の明るさと腰の低さ、人を傾聴する姿勢を褒めたたえます。それは彼が金融マン時代に培った処世術かもしれないし、あるいは生来の美徳なのかもしれません。 『Go To Togo 一着の服を旅してつくる』は、タイトルどおり、中須さんが旅の途上にあり、ビジネスも緒に就いたばかりのところで締めくくられています。アフリカと日本にしっかり拠点を置き、新たな展開を模索し続ける中須さんの「その後、そして今」を読みたいものですよね! 【著者】 中須俊治 なかす としはる 1990年京都府生まれ。滋賀大学経済学部卒業。株式会社AFURIKA DOGS代表取締役社長、重彩プロデューサー。 大学在学中、就職活動に疑問を感じ、アフリカのトーゴ共和国を訪れ、現地のラジオ局にてジャーナリストとして番組制作に携わる。帰国し、卒業後は金融機関に入社、営業担当として勤務したのち、独立、起業。 「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ために日本とトーゴを往復し、築いた人脈を強固にしながら、両国の職人の技術をつないで自社製品の開発を進めている。トーゴから輸入した独特の模様のプリント布地は人気を博し、有力百貨店での展示販売を行うなど、アパレル業界に静かなる旋風を起こしつつある。
-
京都の里山を駆けぬけて
¥1,980
『京都の里山を駆けぬけて アルキニスト/民族植物学者の哲学と軌跡』 ■■■英明企画編集の本■■■ 編著者 阪本寧男、物集女くらぶ 四六判 294ページ 定価 1,800円+税 ISBN 978-4-909151-80-3 2022年1月26日 発行 【帯の言葉】 孤高にして自由 そして天邪鬼な探究者 阪本寧男の魂の記録 【推薦文】 京都大学という密林(ジャングル)は、計り知れない知と行動力をそなえた人財の多様性中心である。人と植物との関わりを探究して世界を駆け巡ったフィールド研究者、阪本寧男の世界は、そのなかでもひときわ引き立ついぶし銀の輝きをはなっている。 ―――――山極寿一 第26代京都大学総長/ 総合地球環境学研究所所長 * 著者の阪本寧男氏は、民族植物学者とありますが、本書は阪本氏が子どもの頃に遊んだ里山の記憶を基点に、「発展」し「便利」になる暮らし、激しく姿を変えてゆく町、失われる里山の自然、戦争の爪痕……といった歴史的、経済的、文化的な側面にも言及しつつ、あちこちに生息していた動物、虫類、もちろん植物も、あらゆる生物についての調査を披露する報告書であるといえます。阪本氏は山科の生まれ。彼が生まれた山科と、現在の山科とではあまりにも風景が異なるそうです。 《ちょっと個人的なことを述べて恐縮であるが、そこがどんな場所であったかというと、標高約一八〇メートルのアカマツ林の典型的な里山であった。生活するのに必要な水はまさに、”水は天から貰い水”で、雨水だけが頼りであった。飲料水は雨水というわけにはいかず、地図の黒丸の左下に旭滝と書いてあるが、この小さな滝へ雨が降ろうが、雪が降ろうが、幼い子供の時から毎朝父と一緒に水汲みに行くことが、誰も絶対文句を言うことのできない日課であった。》(32~33ページ、2 私の「すいば」より) 昼間は停電し、夕方、外が薄暗くなると電気がきて灯りをつけることができる、といった記述もあり、現在では想像のつかないような、戦前の庶民の暮らしぶりが垣間見えます。 阪本氏はアメリカやフィリピンに渡航しての調査も行っています。 どこへ行っても、ひたすら歩いて採集し、調べています。 本書のタイトルには「駆けぬけて」とありますが、サブタイトルの「アルキニスト」とは、登山家をいう「アルピニスト」をもじった「アルキニスト=歩きにすと」なのだそうです。 カッコイイですね! * カバー袖、奥付に記載されている編著者情報です。 【著者】 阪本寧男 さかもと さだお 1930年京都市生まれ。1954年京都大学農学部農林生物学科卒業。1962年ミネソタ州立大学大学院修士課程修了、農学博士(京都大学)。国立遺伝学研究所研究員、京都大学農学部助教授、同教授、龍谷大学国際文化学部教授を歴任。民族植物学専攻。 【編者】 物集女くらぶ もずめ くらぶ 本書の編纂の結成されたゆるやかな集まり。
-
ひとふでがき 365×10×1
¥1,870
SOLD OUT
『ひとふでがき 365×10×1』 ■■■烽火書房の本■■■ ※※※本書は小さいながら厚みがあるため、単独の場合、発送手段が「レターパックプラス」のみとなります。ご注意ください。※※※ 著者 minaco sakamoto A6判(105×148mm)368ページ 定価 1,700円+税 ISBN 978-4-9911160-2-5 2020年12月20日 初版発行 【帯の言葉】 「10年 一本の線で 描きつづけた」 * 葉書とほぼ同じくらいの大きさの小さな本……だと思ったら368ページもあるので厚みが3センチもあります。小さな本には違いないのですが、その厚みが、本に作者の思いの濃さとほのかな温度を持たせています。面白い造本です。「PUR製本」と、版元の烽火書房さんのHPには記してありました。以下、そのHPからの引用です。 《昔から好きだった絵の勉強をちゃんとしてみようと、 大人になってから思い立った。 ずっと学びつづけている周囲とのレベル差に焦るなか、 通い 出した専門学校の先生に言われた 一言「 一日一枚絵を描き続けたらうまくなるよ」。 それから私は、 ひとふでがきを10年描き続けていた。 ひとふでがき作家、靴下ソムリエである、著者・minaco sakamotoが10年描き続けてきたひとふでがき作品を厳選して収録。何を考えて、何をモチーフに作品づくりを続けてきたのか、その道のりを辿ります。》 * 「ひと筆」で描くことにこだわって10年間描きつづけてきたなんて、すごいですね。 収録された絵の数々は、たしかに「なるほど、これは一筆描きだな」と一目瞭然のものから、とても込み入った複雑な線の重なりのある、ひと筆とは信じられない作品まで、たいへんヴァリエーション豊かです。 こちらをご覧になっているお客さまは、ぜひ中須俊治著『Go To Togo 一着の服を旅してつくる』のページもご覧ください。その本の表紙画を描いているのはこのminaco sakamotoさんです。恐るべし、ひとふでがき。 ところで、minacoさんは靴下ソムリエでもあります。靴下ソムリエって……何する人なんでしょう(笑)。靴下をオリジナルでデザインし、製品化されているそうですが、ソムリエというからには足元のコーディネートや足にぴったりの靴下を選ぶコツ、などアドバイスもらえたりするのかな? ぜひ、いつかminacoさんにお目にかかって、靴下のお話をうかがいたいものです。 【著者】 minaco sakamoto(さかもと みなこ) 鳥取県生まれ。自然や動物が好きで、出張や旅行先でその土地の動物園や水族館に行くのを楽しみとしている。2011年から1日1枚「ひとふでがき」を描き続け、10年を超えた今も続けている。2017 年からオリジナルデザインの靴下を製作(国産)。つま先や足裏など、靴を履くと隠れる部分のデザインにもこだわり、工夫を凝らしている。靴下ソムリエの資格をもつ(第18354号)。ブランドコンセプトは「アソビゴコロ」。
-
Eyes 原田和枝の世界 2023年カレンダー
¥1,100
エディション・エフのアートカレンダー、2023年はもう一つ、インドを描く画家・原田和枝の画集カレンダーもつくりました。 タイトルは『Eyes』(アイズ)。その眼差しが印象的な、魅力あふれる人物画を集めました。よろしくお願いいたします♡ 【発送手数料について◆ご注意ください】 【ご購入時に発送方法を選択する必要があります】 ★1回のご注文につき、3冊までなら発送手数料は195円です。(スマートレター使用、追跡番号なし)3冊以下の時は「スマートレター」を選んでください。 ★4冊以上のご注文をお考えのかたは、以下のようにお願いいたします。 購入アクションを進めていただき、「送料」の選択時に: ●4~6冊……「クリックポスト」を選択 ●7~9冊……「レターパックプラス」を選択 ※10冊以上は商品代金が10,000円を超えますので、発送手数料は無料となります。 ******************************************* 『Eyes 原田和枝の世界』2023年カレンダー 著者 原田和枝(はらだ・かずえ) サイズ タテ183mm×ヨコ128mm(B6サイズ) 仕様 プラスチックケース入り 卓上、壁掛けどちらも可能 ******************************************* 大阪出身、京都精華大学卒、東京都在住の原田和枝。絵画教室「アトリエ・ラーダ」を主宰しながら、ずっとインドをモチーフにして絵画制作をしています。 エディション・エフでは、その美しい色遣いの絵の中からとくに人物画に絞って画集カレンダーをつくりたいと考え、画家に企画を申し入れて快諾いただき、『Eyes』は実現しました。 * 携帯端末の進化、SNSの普及などによって、人と人とのコミュニケーションは簡単で楽になった。あなたはそう考えますか? わたし(エディション・エフ)は、そういうふうには思えないのです。 たしかに、遠くにいる人との連絡は容易になりました。 高い旅費交通費を払わなくても、手段によっては顔を見て会話することもできます。 とても便利です。いま現在の肉親の安否確認などには、とても役立っています。 けれど、本来の意味の「コミュニケーション」はむしろ成り立たなくなっていて、本当に伝えたい、伝えるべきこと、交換されるべき意図、思考、意思の疎通は粗雑で曖昧なまま置き去りにされています。「KY」なんて妙な言葉が流行語になる以前からそういう傾向がありましたが、コロナ禍に見舞われた世界は、人間どうしの直接的な接触を忌避するようになってしまい、コミュニケーションの空疎化は決定的になったような気がします。 相手の目を見て、話しましょう。 相手の目を見て、答えましょう。 相手の目を見て、その瞳の奥に潜むものを酌みましょう。哀しみを、望みを、諦めを。 相手の目を見て、分かち合いましょう。慄きを。歓びを。 原田和枝の描く人物の強い視線が、見つめられ、見つめ返す快感を呼び覚ましてくれます。 ぜひ原田和枝の画集カレンダー『Eyes 原田和枝の世界』をそばに置いてください。 ワークデスクに、リヴィングに、ダイニングの壁に。 * おなじみの、マルチユースなプラスチックケース入り。 プラスチックケースは複数のフックが選べる仕様になっており、卓上カレンダーとしても、壁掛けカレンダーとしてもお使いいただけます。 【著者プロフィール】 原田和枝 Kazue HARADA はらだ・かずえ 京都精華大学美術学部デザイン科卒業。インドに魅せられ、スケッチのため各地を旅し、インドをモチーフに水彩ガッシュで心象風景を描く。現在はテーマをインドに限定せず、いろいろなモチーフで自分の心の世界を表現している。同時に鉛筆画、ダーマトグラフによるドローイング、色鉛筆によるイラストも継続して制作。インド舞踊バラタナティアムの背景画(約6m×4m)、三輪壁画(51m)、インドレストラン・バルティヤザイカ小田原店、平塚店内装壁画(各5m×2m)、インドレストランDEEP池袋店(現ニュールンビニキッチン)内装壁画など大型の作品も多数制作。 絵画造形教室アトリエ・ラーダを主宰し、幼児から小中高生、社会人、シニア世代まで受け入れ、表現技法を指導しながらアートの楽しさをわかち合う場としている。 アトリエ・ラーダ https://atelierrada.com/ インスタグラムアカウント instagram.com/kazu_bee_moon
-
希望について 申芳礼ドローイング集 2023年カレンダー
¥990
申芳礼カレンダー第2弾!!! 画家・造形作家の申芳礼(しん・よしれい)によるドローイングを集めたカレンダー、2023年版ができあがりました。タイトルは『希望について』。よろしくお願いいたします♡ 【ご購入時に発送方法を選択する必要があります】 ★1回のご注文につき、3冊までなら発送手数料は195円です。(スマートレター使用、追跡番号なし)3冊以下の時は「スマートレター」を選んでください。 ★4冊以上のご注文をお考えのかたは、以下のようにお願いいたします。 購入アクションを進めていただき、「送料」の選択時に: ●4~8冊……「クリックポスト」を選択 ●9冊または10冊……「レターパックプラス」を選択 ※11冊以上は商品代金が10,000円を超えますので、発送手数料は無料となります。 ******************************************* 『希望について』申芳礼ドローイング集 2023年カレンダー 著者 申芳礼(しん・よしれい) サイズ タテ183mm×ヨコ128mm(B6サイズ) 仕様 プラスチックケース入り 卓上、壁掛けどちらも可能 ******************************************* パリと京都に拠点を置いて制作を続ける画家・造形作家の申芳礼(しん・よしれい)。 昨年、彼女のドローイング作品を集めて2022年のカレンダー『問ふ月々』をつくりました。 好評に気をよくした画家は、2023年版も作るぞ!と決意。 2023年のカレンダーはその名も『希望について』。 みなさん、「希望」って何ですか? ロケットとか船とか政党の名前じゃなくて。 人間がほかの動物と違うのは、未来に希望をもつ、希望を抱いてポジティヴな思考を保つことができる、そういうところにほかなりません。 いま、なんとなく、「希望」という名詞がむなしく響く、そんな世の中じゃないかな……だからこそ、もう一度、希望について考えましょう。 希望について。 希望について。 希望について。 希望について。 画家のゆかりのある四つの言語でタイトルを記しました。 2023年のドローイング作品たちは、申芳礼絶好調!感に満ちています。絵のニュアンスカラーを生かした配色、デザインは昨年と同じシュヴァーブ・トム。 希望について、月ごとに、問いましょう。望みは叶います。 『問ふ月々』と同様、プラスチックケース入り。 プラスチックケースは複数のフックが選べる仕様になっており、卓上カレンダーとしても、壁掛けカレンダーとしてもお使いいただけます。 【著者プロフィール】 申 芳礼 Shin Yoshirei 1970年生まれ。長野県出身。 韓国延世大学新聞放送学科卒業。 これまで日本、韓国、イギリス、フランスに暮らしながら制作を続けている。 2021年秋、ドローイング作品集を兼ねた2022年カレンダー『問ふ月々』を刊行。 パリ在住。 yoshireishin.com
-
水平線
¥1,320
著者 山川三多(やまかわさんた) A5判、104ページ 定価 1,200円+税 ISBN978-4-9908091-2-6 2016年6月30日初版第一刷発行 『昼のビール』に続く山川三多詩集第2弾! ◆書き下ろし詩編35編と「あとがき」を収録しました。 帯文は、「八十路の 清々しさに 背筋が 伸びる」。 年長者の発言には重み、含みがあります。背景には歳月という長い道のりがあります。山川三多は八十歳。詩篇の一行一行、一語一語、またひと文字ひと文字を目で追って読んでいくと、知らず背筋を伸ばし姿勢を正している自分に気づきます。 ◆表紙画・挿画は『昼のビール』と同じくナカライエイコが描きました。 ◆装幀は京都のデザインプロダクション、ウーム総合企画事務所の俊才デザイナー、岩永忠文が担当しました。 【書き下ろし詩集です】 『昼のビール』に好評を得て、再びエディション・エフから詩集を刊行することを念頭に、山川三多はいくつもの詩を書きました。幾度も、書き直しました。エディション・エフの編集室には、赤字や二重線でいっぱいになった原稿用紙が届きました。パソコンに打ち込んで、出力した詩篇の束は、さらに詩人と編集室を往復しました。 2015年に『昼のビール』が刊行された頃、山川三多は船旅に出ていました。海と空を見つめて過ごす幾日かのあいだに、多くのことを考えました。さまざまなことを考えました。旅の友と人生談義に花を咲かせました。船旅は非日常のようでいて、日常でもありました。発見にもあふれていましたけれど、人生のおさらいでもありました。 『水平線』の収録詩は、船旅のあいだ、または帰着後に書き綴られたものばかりです。八十路にして、「人生の第四コーナー」をまわるぞと意気込み、「やるべきことは山ほどある」と言い、「青春なんて/あとからいくらでも/つくり出せるのに」と老いる気配のない、山川三多です。 山は山にあらず 川は川にあらず などと悩んだこともあり ちっぽけもわるくはないと、 ちっぽけな自分がいます。 ——(「風」)
-
昼のビール
¥1,320
『昼のビール』 山川三多詩集 著者 山川三多(やまかわさんた) A5判、88ページ 定価 1,296円(税込) ISBN978-4-9908091-0-2 2015年6月30日初版第一刷発行 『昼のビール』は、山川三多の29篇の詩を仏訳とともに編んだ詩集。 ◆著者の山川三多はビジネスマンとして多くの事業を手掛け、いち早くIT業界にも進出し現在のインターネットプロバイダ産業の基礎固めにも貢献した人物です。過去にはビジネス関連の著作も多数あります。学生時代に聴講した西脇順三郎はじめ内外の詩人に造詣が深く、一線を退いたあとは詩作に励んでいます。これまでに『ざまあみろ』等三冊の詩集(いずれも敬文舎)を上梓。 ◆仏訳を担当したのはナディア・ポルキャール。現在パリのソルボンヌ大学でフランス文化を教える傍ら、映画製作や小説の執筆を行うアーチスト。16年間京都に住んでいた経験を活かし、さまざまなジャンルで日仏翻訳を手がけています。 ◆挿絵を描いたナカライエイコは幻想的かつ温かみのある画風が特徴。『昼のビール』では自身のデザインオフィス名義で装幀も手がけました。
-
明日も猫はわたしの膝に
¥770
著者 おづちともか(写真・文) B6判(182×128mm) 32ページ(見返し含) 定価 700円+税 ISBN 978-4-9908091-9-5 2018年9月発行 寝る猫とともに居るとき、おそらくわたしはいっさいを忘れて猫への愛に溺れている。(「猫に溺れる」) B6判32ページの小さな小冊子に、短いエッセイを2篇収録。 「猫に溺れる」 「明日も猫はわたしの膝に」 著者が撮った愛猫の写真を挿して。 2015年に制作された手づくり写真文集『今日も猫はわたしの膝に』を再編集し、新たに書き下ろし文を加えてつくられました。 大切な愛するものを猫に重ねる日々と、猫そのものがかけがえのない存在となった暮らし。穏やかで、しかし唯一無二の毎秒毎秒。 印刷・製本 KAMIKOBO 紙工房(バックス画材) 【著者】 おづちともか ライター。著者に『ひなたぼっこねこ』(エディション・エフ、2015年)。仏日翻訳業も。
-
今日も猫はわたしの膝に
¥770
著者 おづちともか(写真・文) B6判(182×128mm) 28ページ(見返し含) 定価 700円+税 ISBN 978-4-9908091-8-8 2018年9月発行 この次ひとつ歳をとると、わたしより四つも「お姉さん」になるらしい。しかし、とりあえずそれまでは同い歳なのだ。(「猫と同い歳」) B6判28ページの小さな小冊子に、短いエッセイを2篇収録。 「今日も猫はわたしの膝に」 「猫と同い歳」 著者が撮った愛猫の写真を挿して。 本書は2015年に制作された手づくり写真文集『今日も猫はわたしの膝に』を再編集してつくられました。 子育てにも似た子猫との時間。いつのまにか自分と同じくらいに老けてきた愛猫。静かで、どこにでもある生活の断片。 印刷・製本 KAMIKOBO 紙工房(バックス画材) 【著者】 おづちともか ライター。著者に『ひなたぼっこねこ』(エディション・エフ、2015年)。仏日翻訳業も。
-
問ふ月々 申芳礼ドローイング集 2022年カレンダー
¥990
画家・造形作家の申芳礼(しん・よしれい)によるドローイングを集めた2022年カレンダー『問ふ月々』、よろしくお願いいたします♡ ※2021年10月8日(金)までの特典付き早期予約は終了しました。 ※2021年10月25日(月)までの先行予約は終了しました。 【発送手数料について◆ご注意ください】 ★1回のご注文につき、3冊までなら発送手数料は195円です。(スマートレター使用、追跡番号なし) ★4冊以上のご注文をお考えのかたは、以下のようにお願いいたします。 【◆◆訂正しました◆◆2021.11.16】 購入アクションを進めていただき、「送料」の選択時に: ●8部まで……「クリックポスト」を選択 ●8部以上10部……「レターパックプラス」を選択 ※11部以上は商品代金が10,000円を超えますので、発送手数料は無料となります。 ******************************************* 『問ふ月々』申芳礼ドローイング集 2022年カレンダー 著者 申芳礼(しん・よしれい) サイズ タテ183mm×ヨコ128mm(B6サイズ) 仕様 プラスチックケース入り 卓上、壁掛けどちらも可能 ******************************************* パリと京都に拠点を置いて制作を続ける画家・造形作家の申芳礼(しん・よしれい)。彼女のドローイング作品を集めて2022年のカレンダーにしました。 月ごとに軽快なタッチの鮮やかな絵を楽しめます。 プラスチックケースは複数のフックが選べる仕様になっており、卓上カレンダーとしても、壁掛けカレンダーとしてもお使いいただけます。 2022年、申芳礼のキュートで刺激的なカレンダーに心を刺されてみませんか? 【著者プロフィール】 申 芳礼 Shin Yoshirei 1970年生まれ。長野県出身。 韓国延世大学新聞放送学科卒業。 これまで日本、韓国、イギリス、フランスに暮らしながら制作を続けている。パリ在住。 yoshireishin.com