神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語

著者 ヴェロニク・タジョ
訳者 村田はるせ

四六判 216ページ
定価:2,000円+税
ISBN978-4-909819-06-2
2019年10月25日初版第一刷発行

《わたしはある前提とともに出発しようとしていた。それは、起こったことはわたしたちすべての人間にかかわりがある、というものだ。ルワンダのジェノサイドは、アフリカの黒い中心で孤立し、忘れ去られた一国民だけの問題ではない。大騒ぎし、ただ激高したあげくにルワンダを忘れるのは、片目を失うこと、声を失うこと、ハンディを負うことだ。暗闇を、延ばした両手でさぐり、ふいに未来に衝突しないよう歩くようなものだ。》(本書p.10)

ヴェロニク・タジョはコートジヴォワール人の作家、絵本作家、児童文学研究家。母の国フランスで生まれ、父の国コートジヴォワールで育ち、パリのソルボンヌ大学で学び、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めました。絵本作家として絵本を多数世に出し、そのなかには自ら絵とテキストの両方を手がけた作品もあります。児童文学研究家としては、アフリカの子どもたちに母語で語り継がれる自分の国の物語を残すため、マリやベナン、チャドやルワンダで絵本制作のワークショップを展開もしました。

長い植民地支配から抜け出した国々にとって、自分たちの歴史を読み直すため、自分たちの物語を紡ぎなおすためには、旧宗主国から与えられる書物だけでは不十分なはずです。「わたしは何者か」を自問するためには、自分たちの言葉で考え、読み、書く必要があったでしょう。そしてそれを子どもたちが受け継いでいく必要があったでしょう。
こうした背景から、タジョは、アフリカの子どもたちのための絵本づくりに打ち込んだのでした。

タジョにとって1994年にルワンダで起きた民族対立・大量虐殺は目を逸らすことのできないとてつもない出来事でした。タジョ自身の故国コートジヴォワールにおいても、国民間の対立や外国人排斥の動きはすでにあり、他人事(ひとごと)と済ませられない危機感をもって、1998年、タジョはルワンダへ向かったのでした。

2度のルワンダ訪問を終え、その見聞をもとに考察し、紡ぎ出した物語をタジョは2000年、フランスで出版しました。L'Ombre d'Imana(イマーナの影)。かねてよりアフリカの児童文学事情を研究し、ヴェロニク・タジョとも接触を図っていた村田はるせさんがこの本に注目し、研究対象として読み込んでいました。
その村田さんが、あるとき大阪でアフリカ絵本の展示と読み聞かせの会を開くということを耳にし、エディション・エフはいそいそと出かけ、村田さんにお話をうかがうことができたのでした。

人類史上にはけっして消すことのできない苛酷な事件が、悲しいことに幾度も起こっています。ルワンダのジェノサイドは間違いなくそのひとつに数えられます。数多くの検証の書、贖罪の声を集めたルポルタージュなどが出版され、日本語での出版もされています。それでも、このことについてわたしたちはやはり知らなすぎるのではないか、センセーショナルな一事件としてのみ扱ってきていないか。エディション・エフは、2000年刊行の原書ながら、いまこそ本書を広く共有したいと考えました。負ってしまった深い傷はなかなか癒えないこと、憎しみは何も生まないことを知り、安易にヘイトスピーチに走る現在の風潮に一石を投じたいのです。もう一度ルワンダを見直すことで、私たち自身の社会にかんする考察にもつながると思い、この本を世に送り出します。

『神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語』。

⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩※ご注意※延期になりました※⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩
【【【【著者ヴェロニク・タジョ氏は来夏、来日予定です】】】】

本書のカバーの写真は、訳者の村田はるせさんがルワンダで撮影された写真を使わせていただきました。


【目次】
初めてのルワンダ

南アフリカ、ダーバンにて――海岸沿いの駐車場で出会った男/ヨハネスブルグからパリへ/パリ経由でブリュッセルへ/サベナ五六五便に乗る/キガリの街を歩く/ニャマタの教会/展示された武器/ンタラマの教会/トニア・ロカテッリ/ブタレへの道/王都ニャンザ/ギタラマを通過する/ビュンバにて――クブウィマナ一家訪問/キガリの弁護士/途方にくれる男/小説家/コンソラートに起きたこと/プロジェクトリーダー/仮面を蒐集する男/ジャーナリスト/キガリ、アマホロ・スタジアムに近いミギナ界隈にて――ネリーのこと/キガリで耳にした物語/最初の帰還


死者たちの怒り

彼の声

アナスターズとアナスタジー

そのとき、そこにいなかった人々
カール/セトとヴァランティーヌ


ルワンダ再訪

サベナ五六五便/キガリ――キミフルラ、コテ・カディヤックにて/キチュキル・コミューン内のカガラマ・セクターにて/〝ツチにしか見えない〟ザイール人の女/ノングウェでの巡回軍法会議――旧政府軍少尉エドゥアール・ムジャンベレの裁判/牧師/リリサの刑務所、七千人の囚人/死刑囚・終身刑囚ブロック/ブロック一五――二百五十三人の女性囚/フロデュアル、殺人者となった若い農夫/ジョゼフィーヌ/最高の七人/フツ・パワー〝フツの十戒〟/ルワンダ南西部、キベホ・キャンプで起きたこと――一九九五年四月二二日/シスター・アガト/二度めの帰還


訳注・参考文献

日本語版のためのあとがき   ヴェロニク・タジョ

訳者あとがき


【著者】ヴェロニク・タジョ Véronique TADJO
コートジヴォワール人の父とフランス人の母のあいだに1955年パリに生まれ、父の国の経済首都アビジャンで育つ。詩人、小説家、画家、児童文学作家・研究家。現在は拠点をロンドンとアビジャンに置く。パリのソルボンヌ大学でアメリカ黒人文化を研究し、博士論文を提出。1983年に詩集Laterite(ラテライト)が文化技術協力機構文学賞を受け、以降作家として活動する。そのかたわら、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、2007~2015年には南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めた。児童文学作家としては自ら挿絵を描くこともあり、マリやベナン、チャド、ルワンダなどで絵本制作のワークショップを開催し、アフリカの児童文学発展に貢献した。
最新の小説作品は2017年刊行のEn compagnie des hommes(人間たちとともに)。邦訳作品は本書『神(イマーナ)の影』のほかに絵本『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(村田はるせ訳、風濤社、2018年)がある。

【訳者】村田はるせ Haruse MURATA

東京外国語大学地域文化研究科博士後期課程修了(博士(学術))。アフリカ文学研究者。研究対象はサハラ以南アフリカのフランス語を公用語とする国々の文学。西アフリカで出版された絵本の紹介と展示も全国で展開している。アフリカについて学ぶ「クスクス読書会」主宰。著書に『アフリカ学事典』(共著/昭和堂/2015年)。訳書に『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(ヴェロニク・タジョ文、ベルトラン・デュボワ絵/風濤社/2018年)。

¥ 2,200

※こちらの価格には消費税が含まれています。

※送料は別途発生いたします。詳細はこちら

送料について

この商品の送料は、配送方法によって異なります。
配送方法は、ご購入時に選択することができます。
  • 1冊のみ クリックポスト(日本郵便)

    追跡番号あります。料金205円(クリックポスト198円+ラベル実費7円)。

    全国一律 205円
  • ヤマト宅急便

    ヤマトが提供する定番の配送方法です。荷物追跡に対応しています。

    地域別設定
    • 北海道

      • 北海道 1,500円
    • 東北

      • 青森県 1,100円
      • 岩手県 1,100円
      • 宮城県 1,100円
      • 秋田県 1,100円
      • 山形県 1,100円
      • 福島県 1,100円
    • 関東

      • 茨城県 900円
      • 栃木県 900円
      • 群馬県 900円
      • 埼玉県 900円
      • 千葉県 900円
      • 東京都 900円
      • 神奈川県 900円
      • 山梨県 900円
    • 信越

      • 新潟県 900円
      • 長野県 900円
    • 北陸

      • 富山県 800円
      • 石川県 800円
      • 福井県 800円
    • 東海

      • 岐阜県 800円
      • 静岡県 800円
      • 愛知県 800円
      • 三重県 800円
    • 近畿

      • 滋賀県 700円
      • 京都府 700円
      • 大阪府 700円
      • 兵庫県 700円
      • 奈良県 700円
      • 和歌山県 700円
    • 中国

      • 鳥取県 800円
      • 島根県 800円
      • 岡山県 800円
      • 広島県 800円
      • 山口県 800円
    • 四国

      • 徳島県 800円
      • 香川県 800円
      • 愛媛県 800円
      • 高知県 800円
    • 九州

      • 福岡県 900円
      • 佐賀県 900円
      • 長崎県 900円
      • 熊本県 900円
      • 大分県 900円
      • 宮崎県 900円
      • 鹿児島県 900円
    • 沖縄

      • 沖縄県 1,500円
  • 一般書2冊まで クリックポスト(日本郵便

    注文数が一般書2冊までの時に選択ください。追跡番号あり、205円。

    全国一律 205円
  • 四六判3~4冊 レターパックプラス

    四六判書籍を3~4冊ご注文の時、選択ください。追跡番号あり、対面配達。

    全国一律 540円
  • 一般書1冊 スマートレター

    一般書(四六判、A5判)1冊ご注文時に選択いただけます。追跡番号なし。

    全国一律 190円

※10,000円以上のご注文で国内送料が無料になります。

通報する

ショップの評価