神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語
¥2,200 税込
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著者 ヴェロニク・タジョ
訳者 村田はるせ
四六判 216ページ
定価:2,000円+税
ISBN978-4-909819-06-2
2019年10月25日初版第一刷発行
【【【!!!最新ニュース!!!】】】
【著者ヴェロニク・タジョさん来日決定】
【【【!!!2023年3月初め!!!】】】
もともと2020年の夏に予定されていた本書の著者ヴェロニク・タジョさんの来日。新型コロナウイルスの大流行という厄災が世界中を覆って、やむなく中止、無期限延期となっていました。その後、状況に鑑み、来日のチャンスが模索されてきましたが、ようやく、ようやく、ようやく!!!叶います!!!
嬉しいです。嬉しい!
ヴェロニク・タジョさんに会える!
東京での講演、京都での「囲む会」を企画しています。SNS等で告知していきます。どうぞご期待ください。
※来日記念講演(東京大学)およびお話し会(堺町画廊)のイベントは終了しました。
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【【【!祝!】】】
【ヴェロニク・タジョさん フランス文化通信省より芸術文化勲章コマンドゥールを受章】
2021年秋、とても喜ばしいニュースが伝わってきました。
『神(イマーナ)の影』著者のヴェロニク・タジョさんにフランスから芸術文化勲章が授章されたのです。コートジヴォワール人を父に、フランス人を母にもつタジョさんはつねにフランス語で発信し、作品を創り続けてきました。その功績をたたえる授章。ほんとうに素晴しいことです。彼女の仕事を評価するフランスにも拍手。
エディション・エフも、ささやかですがこれを祝して単行本の帯を新調しました。
画像を切り替えてご覧ください。
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《わたしはある前提とともに出発しようとしていた。それは、起こったことはわたしたちすべての人間にかかわりがある、というものだ。ルワンダのジェノサイドは、アフリカの黒い中心で孤立し、忘れ去られた一国民だけの問題ではない。大騒ぎし、ただ激高したあげくにルワンダを忘れるのは、片目を失うこと、声を失うこと、ハンディを負うことだ。暗闇を、延ばした両手でさぐり、ふいに未来に衝突しないよう歩くようなものだ。》(本書p.10)
ヴェロニク・タジョはコートジヴォワール人の作家、絵本作家、児童文学研究家。母の国フランスで生まれ、父の国コートジヴォワールで育ち、パリのソルボンヌ大学で学び、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めました。絵本作家として絵本を多数世に出し、そのなかには自ら絵とテキストの両方を手がけた作品もあります。児童文学研究家としては、アフリカの子どもたちに母語で語り継がれる自分の国の物語を残すため、マリやベナン、チャドやルワンダで絵本制作のワークショップを展開もしました。
長い植民地支配から抜け出した国々にとって、自分たちの歴史を読み直すため、自分たちの物語を紡ぎなおすためには、旧宗主国から与えられる書物だけでは不十分なはずです。「わたしは何者か」を自問するためには、自分たちの言葉で考え、読み、書く必要があったでしょう。そしてそれを子どもたちが受け継いでいく必要があったでしょう。
こうした背景から、タジョは、アフリカの子どもたちのための絵本づくりに打ち込んだのでした。
タジョにとって1994年にルワンダで起きた民族対立・大量虐殺は目を逸らすことのできないとてつもない出来事でした。タジョ自身の故国コートジヴォワールにおいても、国民間の対立や外国人排斥の動きはすでにあり、他人事(ひとごと)と済ませられない危機感をもって、1998年、タジョはルワンダへ向かったのでした。
2度のルワンダ訪問を終え、その見聞をもとに考察し、紡ぎ出した物語をタジョは2000年、フランスで出版しました。L'Ombre d'Imana(イマーナの影)。かねてよりアフリカの児童文学事情を研究し、ヴェロニク・タジョとも接触を図っていた村田はるせさんがこの本に注目し、研究対象として読み込んでいました。
その村田さんが、あるとき大阪でアフリカ絵本の展示と読み聞かせの会を開くということを耳にし、エディション・エフはいそいそと出かけ、村田さんにお話をうかがうことができたのでした。
人類史上にはけっして消すことのできない苛酷な事件が、悲しいことに幾度も起こっています。ルワンダのジェノサイドは間違いなくそのひとつに数えられます。数多くの検証の書、贖罪の声を集めたルポルタージュなどが出版され、日本語での出版もされています。それでも、このことについてわたしたちはやはり知らなすぎるのではないか、センセーショナルな一事件としてのみ扱ってきていないか。エディション・エフは、2000年刊行の原書ながら、いまこそ本書を広く共有したいと考えました。負ってしまった深い傷はなかなか癒えないこと、憎しみは何も生まないことを知り、安易にヘイトスピーチに走る現在の風潮に一石を投じたいのです。もう一度ルワンダを見直すことで、私たち自身の社会にかんする考察にもつながると思い、この本を世に送り出します。
『神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅―記憶・証言・物語』。
本書のカバーの写真は、訳者の村田はるせさんがルワンダで撮影された写真を使わせていただきました。
【目次】
初めてのルワンダ
南アフリカ、ダーバンにて――海岸沿いの駐車場で出会った男/ヨハネスブルグからパリへ/パリ経由でブリュッセルへ/サベナ五六五便に乗る/キガリの街を歩く/ニャマタの教会/展示された武器/ンタラマの教会/トニア・ロカテッリ/ブタレへの道/王都ニャンザ/ギタラマを通過する/ビュンバにて――クブウィマナ一家訪問/キガリの弁護士/途方にくれる男/小説家/コンソラートに起きたこと/プロジェクトリーダー/仮面を蒐集する男/ジャーナリスト/キガリ、アマホロ・スタジアムに近いミギナ界隈にて――ネリーのこと/キガリで耳にした物語/最初の帰還
死者たちの怒り
彼の声
アナスターズとアナスタジー
そのとき、そこにいなかった人々
カール/セトとヴァランティーヌ
ルワンダ再訪
サベナ五六五便/キガリ――キミフルラ、コテ・カディヤックにて/キチュキル・コミューン内のカガラマ・セクターにて/〝ツチにしか見えない〟ザイール人の女/ノングウェでの巡回軍法会議――旧政府軍少尉エドゥアール・ムジャンベレの裁判/牧師/リリサの刑務所、七千人の囚人/死刑囚・終身刑囚ブロック/ブロック一五――二百五十三人の女性囚/フロデュアル、殺人者となった若い農夫/ジョゼフィーヌ/最高の七人/フツ・パワー〝フツの十戒〟/ルワンダ南西部、キベホ・キャンプで起きたこと――一九九五年四月二二日/シスター・アガト/二度めの帰還
訳注・参考文献
日本語版のためのあとがき ヴェロニク・タジョ
訳者あとがき
【著者】ヴェロニク・タジョ Véronique TADJO
コートジヴォワール人の父とフランス人の母のあいだに1955年パリに生まれ、父の国の経済首都アビジャンで育つ。詩人、小説家、画家、児童文学作家・研究家。現在は拠点をロンドンとアビジャンに置く。パリのソルボンヌ大学でアメリカ黒人文化を研究し、博士論文を提出。1983年に詩集Laterite(ラテライト)が文化技術協力機構文学賞を受け、以降作家として活動する。そのかたわら、コートジヴォワールのアビジャン大学で教鞭をとり、2007~2015年には南アフリカ共和国のヴィットヴァターズランド大学でフランス語部門の責任者を務めた。児童文学作家としては自ら挿絵を描くこともあり、マリやベナン、チャド、ルワンダなどで絵本制作のワークショップを開催し、アフリカの児童文学発展に貢献した。
最新の小説作品は2017年刊行のEn compagnie des hommes(人間たちとともに)。邦訳作品は本書『神(イマーナ)の影』のほかに絵本『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(村田はるせ訳、風濤社、2018年)がある。
【訳者】村田はるせ Haruse MURATA
東京外国語大学地域文化研究科博士後期課程修了(博士(学術))。アフリカ文学研究者。研究対象はサハラ以南アフリカのフランス語を公用語とする国々の文学。西アフリカで出版された絵本の紹介と展示も全国で展開している。アフリカについて学ぶ「クスクス読書会」主宰。著書に『アフリカ学事典』(共著/昭和堂/2015年)。訳書に『アヤンダ おおきくなりたくなかったおんなのこ』(ヴェロニク・タジョ文、ベルトラン・デュボワ絵/風濤社/2018年)。
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