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モンブラン

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『モンブラン』

著者 ファビオ・ヴィスコリオージ
訳者 大林 薫
四六判 242ページ
定価 1,800円+税
ISBN 978-4-9908091-7-1
2018年7月20日初版第一刷発行

“ポケットに入れて、背中にかついで、心に思って、僕はモンブランを連れていく。”

突然の大惨事から10年以上を経て
記録と、記憶と、創作をからませて綴った
心の再生の物語。

1999年3月、アルプス最高峰モンブランのふもと、フランスとイタリアをつなぐトンネルで火災事故が発生。著者ファビオ・ヴィスコリオージの両親は、そのモンブラントンネル火災事故で帰らぬ人となったのです。突然の大惨事から10年以上を経て、ようやく書きあげた当時の衝撃、両親の思い出、家族の記憶……。著者自身の心の再生を綴った物語です。(原書の刊行は2011年)

突然、事故や災害の犠牲者、被害者遺族になった。愛する人々の死を信じられないまま、気持ちの整理がつかないまま、時間だけが過ぎてゆく。怒りや悲しみはぶつける先が定まらないまま、消化不良状態でからだのどこかに残っている……。

ヴィスコリオージは、なすすべもなくただ目の前のさまざまなことをやり過ごしきた、あの時、この時を綴りました。

忘れたようで忘れられない、癒えたと思っていた傷がまだ疼く。心のどこにも片づけることのできない思いを抱えている人に、読んでいただきたい一冊。

装幀家、司修氏による表紙・カバー・帯デザインです。

【著者】
ファビオ・ヴィスコリオージ Fabio Viscogliosi
1965年、フランス・リヨン市郊外ウランに生まれる。リヨン在住。小説家として本書を含む3作品を出版するほか、グラフィック・アーティスト、漫画家、ミュージシャンとしても活躍している。1990年代初めから現在まで漫画本、絵本をコンスタントに出版。リヨン現代美術館(2009年)、モントルイユ公立図書館(2016年)等各地で作品展を行っている。音楽活動では2002年と2007年に自身のソロアルバムをリリースしたほか、他ミュージシャンとのコラボレーションや映画音楽、朗読BGMなど幅広く手がけている。

【訳者】
大林 薫 おおばやし かおり
青山学院大学フランス文学科卒業。フランス語翻訳家。訳書にコリーヌ・ルパージュ著『原発大国の真実 福島、フランス、ヨーロッパ、ポスト原発社会に向けて』(長崎出版/2012年)、共訳書にアドニス著『暴力とイスラーム 政治・女性・詩人』(エディション・エフ/2017年)、モーリス・ルブラン著『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン 奇岩城』(角川つばさ文庫/2016年)などがある。

【モンブラントンネル火災事故】
「モンブラントンネル火災事故」は、1999年3月24日の火災発生から26日に鎮火するまでの3日間の惨事を指す呼称である。3月24日午前11時頃、トンネル内を通過中の冷蔵貨物トレーラーが燃料漏れにより爆発、たちまちトンネル内に火災が拡大する。激しい煙と高温のため多くの被害者はトンネル内シェルターにたどり着くことすらできず、結果、死者が39名に及ぶ大惨事となった。トンネルは事故後閉鎖され、修復と設備増強の工事、管理指揮系統の全面見直しと再構築を行い、約3年後に再び開通した。
事故現場のトンネル入り口付近には、事故の犠牲者の名を刻んだ慰霊碑が建立されている。

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